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第一章
新ダンジョン探索-13-
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一人離れていたところに残っていた中里曹長が俺の方に近づいてきて、
「二見さん、一民間人のあんたにこんなことを言うのは筋違いだってことは十分わかっているんだが……隊長は俺等にとっては単なる上官ってだけじゃないんだ。まあ……言葉にするのは難しいが……」
そう言うと、やや気恥ずかしそうに苦笑いをして、下を向いて頭をかく。
大柄で顔もいかつい中年の中里曹長は、同じくオッサンの俺が言うのも何なのだが、前に立つと正直圧迫感すらあった。
そんな彼が、こんな優しい顔をするのかと俺はいささか驚いていた。
それだけ彼に……いやきっと部隊の隊員たちにとって綾音さんは大切な存在なのだろう。
中里曹長は、すぐにいつものいかめしい表情に戻り、
「隊長が遅れを取ることはないと信じたいが、ダンジョン関連のたぐいは何があるかわからない。こないだの化け物のことだってあるしな。ましてや今回は少数で、俺たちも同行できない上に、さらには新ダンジョンときた。つまり……なんだ。あんたの力が頼りなんだ」
とそういった後で、中里曹長は、その姿勢を正し、
「二見さん、先ほどの言葉信じてます! 隊長のことを頼みます!」
とそう言って、敬礼をする。
俺はあまり何かを断言したり、約束したりすることは好きではない。
この世の事柄に絶対や100%というものは存在しないし、人の感情はうつろいでいく。
俺はそのことを異世界での経験で嫌というほど知っている。
しかし……それでも、人は何かを断言し、約束しないといけない場面があるということもまた俺は知っている。
俺は中里曹長の目をまっすぐに見て、
「わかりました。間宮三尉のことは自分が必ず守ると約束します」
と、そう力強く断言する。
彼や彼らの気持ちに俺は答えなければならないだろう。
仲間を失うという経験とその痛み……俺はそれをそれなりに知っているつもりだ。
中里曹長は無言でただうなずき、
「それでは、失礼します」
と言って、その場を後にした。
一人残された俺は、薄暗い廊下で小さなため息をつく。
守るか……。
俺は今更ながら責任の重さを痛感していた。
綾音さん、それにキャシーさん……彼女にも綾音さんと同じように彼女のことを大切に思っている人々がいるだろう……。
彼女たちになんとしても危険が及ばないようにしないとな。
やはりソロで探索する方が今の俺には性にあっている。
自分一人の命ならば、それは俺だけの責任だ。
いや……今の俺はもう一人では——。
脳裏に心配そうな表情をしている花蓮さん、鈴羽さん、美月さん、麻耶さんの顔が浮かんだ。
俺もまたこの世界で仲間ができたのだろか。
俺は首を振って、苦笑する。
何を馬鹿な……彼女たちはわずか数日前に知り合った人たちで、俺とは生きている場所も違う令嬢たちだ。
俺は、しがらみがない一人の方が好きだ。
異世界でもこの世界でも結局のところ、一人でいた時の方が気楽だった。
人とのつながりは否が応でも面倒事……大抵それは異世界では争いだった……をもたらす。
この平和な世界でもまたそうなのだろうか。
だとしたらやはり俺は、一人でいるべきかもしれないな。
ヘリが着陸する音が、耳にこだまする。
どうやらそろそろ出発らしい。
俺は建物の入り口へと足を運ぶ。
薄暗い建物内にいたからなのか、やけに日光に照らされた外の光が眩しくみえる。
俺は空を仰ぎ見て、その眩しさに顔をしかめる。
俺は脳裏に浮かんでいた花蓮さんたちの顔を脇に追いやり、着陸したヘリの元へとかけよった。
「二見さん、一民間人のあんたにこんなことを言うのは筋違いだってことは十分わかっているんだが……隊長は俺等にとっては単なる上官ってだけじゃないんだ。まあ……言葉にするのは難しいが……」
そう言うと、やや気恥ずかしそうに苦笑いをして、下を向いて頭をかく。
大柄で顔もいかつい中年の中里曹長は、同じくオッサンの俺が言うのも何なのだが、前に立つと正直圧迫感すらあった。
そんな彼が、こんな優しい顔をするのかと俺はいささか驚いていた。
それだけ彼に……いやきっと部隊の隊員たちにとって綾音さんは大切な存在なのだろう。
中里曹長は、すぐにいつものいかめしい表情に戻り、
「隊長が遅れを取ることはないと信じたいが、ダンジョン関連のたぐいは何があるかわからない。こないだの化け物のことだってあるしな。ましてや今回は少数で、俺たちも同行できない上に、さらには新ダンジョンときた。つまり……なんだ。あんたの力が頼りなんだ」
とそういった後で、中里曹長は、その姿勢を正し、
「二見さん、先ほどの言葉信じてます! 隊長のことを頼みます!」
とそう言って、敬礼をする。
俺はあまり何かを断言したり、約束したりすることは好きではない。
この世の事柄に絶対や100%というものは存在しないし、人の感情はうつろいでいく。
俺はそのことを異世界での経験で嫌というほど知っている。
しかし……それでも、人は何かを断言し、約束しないといけない場面があるということもまた俺は知っている。
俺は中里曹長の目をまっすぐに見て、
「わかりました。間宮三尉のことは自分が必ず守ると約束します」
と、そう力強く断言する。
彼や彼らの気持ちに俺は答えなければならないだろう。
仲間を失うという経験とその痛み……俺はそれをそれなりに知っているつもりだ。
中里曹長は無言でただうなずき、
「それでは、失礼します」
と言って、その場を後にした。
一人残された俺は、薄暗い廊下で小さなため息をつく。
守るか……。
俺は今更ながら責任の重さを痛感していた。
綾音さん、それにキャシーさん……彼女にも綾音さんと同じように彼女のことを大切に思っている人々がいるだろう……。
彼女たちになんとしても危険が及ばないようにしないとな。
やはりソロで探索する方が今の俺には性にあっている。
自分一人の命ならば、それは俺だけの責任だ。
いや……今の俺はもう一人では——。
脳裏に心配そうな表情をしている花蓮さん、鈴羽さん、美月さん、麻耶さんの顔が浮かんだ。
俺もまたこの世界で仲間ができたのだろか。
俺は首を振って、苦笑する。
何を馬鹿な……彼女たちはわずか数日前に知り合った人たちで、俺とは生きている場所も違う令嬢たちだ。
俺は、しがらみがない一人の方が好きだ。
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人とのつながりは否が応でも面倒事……大抵それは異世界では争いだった……をもたらす。
この平和な世界でもまたそうなのだろうか。
だとしたらやはり俺は、一人でいるべきかもしれないな。
ヘリが着陸する音が、耳にこだまする。
どうやらそろそろ出発らしい。
俺は建物の入り口へと足を運ぶ。
薄暗い建物内にいたからなのか、やけに日光に照らされた外の光が眩しくみえる。
俺は空を仰ぎ見て、その眩しさに顔をしかめる。
俺は脳裏に浮かんでいた花蓮さんたちの顔を脇に追いやり、着陸したヘリの元へとかけよった。
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