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第一章
新ダンジョン探索-10-
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花蓮さん、鈴羽さん……心配してくれてもらってありがたいけど、申し訳ない。
と、俺は心の中でお二人に最大限の謝罪をして、スマホをポケットに戻そうとした。
なんというか俺は、既にダンジョンを探索した以上の疲労感に全身が襲われていた。
と、その時新たなメッセージの通知が入った。
それはまた、麻耶さんからの長文メッセージであった……。
俺はその瞬間、目の間にいる美月さんに、
「あの……申し訳ないのですが、ダンジョンから戻ってくる間、自分のスマホを預かっておいていてください。では自分はこれで」
と、半ば無意識に自分のスマホを押し付けて……いや渡していた。
「え……いやち、ちょっと待ってください、二見さん、わたしに渡されても困りますよ」
美月さんはそう非常に迷惑そうな顔をしていたが、俺はそれを見てみないふりをして、そそくさと綾音さんの後を追って、目の間の建物に逃げ込むように入る。
建物の中は照明が落とされているせいか、昼間にもかかわらずやけに薄暗く、人もおらずひっそりとしていた。
綾音さんはどこに行ったんだろう……と、顔を左右に向けると、廊下の端に十名くらいの隊員たちが固まっているのが目に入った。
俺が案内でも頼もうかと、その近くに行くと、隊員たちが俺の方を一斉に向く。
彼らのその反応はいささか大げさだっため、俺は違和感を覚えた。
それに彼らの表情もまた輪をかけて大仰であった。
彼らは、まるで何か不気味なものでも見てしまったかのようにギョッとした顔を一様に浮かべている。
部外者である俺が勝手に入ったのがまずかったのだろうか。
まあ……考えてみれば俺は許可をもらっているとはいえ、一民間人だし、駐屯地内を一人で歩き回っていたら不審者扱いされるのも当然か……。
問題になる前に、大人しく外で綾音さんを待っていた方がよさそうだ。
俺はそう思って、彼らの目の前でクルリと背を向けて戻ろうとした。
すると突然、
「待て! お、お前はあの二見敬三か?」
と、隊員の一人からそう大きな声で声をかけられる。
「え……自分ですが」
俺が戸惑いながらそう答えると、隊員たちの様子は先ほどよりもさらに極端なものになった。
ほとんど同時に隊員たちは後ろに大きくのけぞって、俺から距離を取ろうとする。
そして、彼らの顔は大きく歪み、何かを恐れるような表情を浮かべている。
彼らのその様子はまるで俺が爆弾でも隠し持っているかのような物々しい振る舞いであった。
俺の方も、彼らのその異様な態度にいったい何事かと思わず身構えてしまう。
しばし無言の間のまま彼らと向かい合っていると、やがて隊員たちの中から一人の大柄な男が一歩前に出てくる。
「二見……さんだな? こないだはすまなかった」
そう言うなり、その大柄な男は突然深々と頭を下げる。
「な、中里曹長! 何も曹長が謝ることでは……。あれは上からの命令なのですし——」
「ばかやろう! 俺たちはこの人に命を救われたんだぞ! この人がいなかったら、俺等は全員あの化け物の殺されていたんだ! 自衛官である前に、一人の人間、男として最低限の礼儀があるだろう!」
と、中里曹長と呼ばれた男は、隊員の男の方を見ると、そう一喝する。
「そ、それは確かに……そうですが」
一喝された隊員は下を向いて、押し黙ってしまう。
そして、中里曹長は、俺の方に向き直ると、
「二見さん、失礼な態度を取ってしまって悪かった。俺等も色々とまだ整理ができていなくてな。ただ、俺もこいつらもあんたには感謝しているんだ。それだけは信じてくれ」
と、真摯な眼差しを向けられる。
この中里という男のその言葉はぶっきらぼうではあったが、彼のその態度や振る舞いを見る限り、その言葉には嘘偽りがないように俺には感じられた。
だが、問題が一つある。
というのも、俺は彼らが言っていることにまるで心当たりがないのだ。
中里曹長の言葉から推測するに、彼らは綾音さんの部下なのだろう。
おそらく花蓮さんの家で俺のことを急襲してきた部隊のメンバーなのだろう。
あの時は全員が目をスコープのようなもので隠していたから、正直誰が誰なのかまるで覚えていないのだが……。
と、俺は心の中でお二人に最大限の謝罪をして、スマホをポケットに戻そうとした。
なんというか俺は、既にダンジョンを探索した以上の疲労感に全身が襲われていた。
と、その時新たなメッセージの通知が入った。
それはまた、麻耶さんからの長文メッセージであった……。
俺はその瞬間、目の間にいる美月さんに、
「あの……申し訳ないのですが、ダンジョンから戻ってくる間、自分のスマホを預かっておいていてください。では自分はこれで」
と、半ば無意識に自分のスマホを押し付けて……いや渡していた。
「え……いやち、ちょっと待ってください、二見さん、わたしに渡されても困りますよ」
美月さんはそう非常に迷惑そうな顔をしていたが、俺はそれを見てみないふりをして、そそくさと綾音さんの後を追って、目の間の建物に逃げ込むように入る。
建物の中は照明が落とされているせいか、昼間にもかかわらずやけに薄暗く、人もおらずひっそりとしていた。
綾音さんはどこに行ったんだろう……と、顔を左右に向けると、廊下の端に十名くらいの隊員たちが固まっているのが目に入った。
俺が案内でも頼もうかと、その近くに行くと、隊員たちが俺の方を一斉に向く。
彼らのその反応はいささか大げさだっため、俺は違和感を覚えた。
それに彼らの表情もまた輪をかけて大仰であった。
彼らは、まるで何か不気味なものでも見てしまったかのようにギョッとした顔を一様に浮かべている。
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まあ……考えてみれば俺は許可をもらっているとはいえ、一民間人だし、駐屯地内を一人で歩き回っていたら不審者扱いされるのも当然か……。
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俺はそう思って、彼らの目の前でクルリと背を向けて戻ろうとした。
すると突然、
「待て! お、お前はあの二見敬三か?」
と、隊員の一人からそう大きな声で声をかけられる。
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ほとんど同時に隊員たちは後ろに大きくのけぞって、俺から距離を取ろうとする。
そして、彼らの顔は大きく歪み、何かを恐れるような表情を浮かべている。
彼らのその様子はまるで俺が爆弾でも隠し持っているかのような物々しい振る舞いであった。
俺の方も、彼らのその異様な態度にいったい何事かと思わず身構えてしまう。
しばし無言の間のまま彼らと向かい合っていると、やがて隊員たちの中から一人の大柄な男が一歩前に出てくる。
「二見……さんだな? こないだはすまなかった」
そう言うなり、その大柄な男は突然深々と頭を下げる。
「な、中里曹長! 何も曹長が謝ることでは……。あれは上からの命令なのですし——」
「ばかやろう! 俺たちはこの人に命を救われたんだぞ! この人がいなかったら、俺等は全員あの化け物の殺されていたんだ! 自衛官である前に、一人の人間、男として最低限の礼儀があるだろう!」
と、中里曹長と呼ばれた男は、隊員の男の方を見ると、そう一喝する。
「そ、それは確かに……そうですが」
一喝された隊員は下を向いて、押し黙ってしまう。
そして、中里曹長は、俺の方に向き直ると、
「二見さん、失礼な態度を取ってしまって悪かった。俺等も色々とまだ整理ができていなくてな。ただ、俺もこいつらもあんたには感謝しているんだ。それだけは信じてくれ」
と、真摯な眼差しを向けられる。
この中里という男のその言葉はぶっきらぼうではあったが、彼のその態度や振る舞いを見る限り、その言葉には嘘偽りがないように俺には感じられた。
だが、問題が一つある。
というのも、俺は彼らが言っていることにまるで心当たりがないのだ。
中里曹長の言葉から推測するに、彼らは綾音さんの部下なのだろう。
おそらく花蓮さんの家で俺のことを急襲してきた部隊のメンバーなのだろう。
あの時は全員が目をスコープのようなもので隠していたから、正直誰が誰なのかまるで覚えていないのだが……。
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