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第一章
新ダンジョン探索-06-
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その声に周りを行き交う隊員たちも何事かとこちらを見る。
もっとも、彼らは、綾音さんの紅潮した顔を確認するやいなや、まずいものを見たとばかりに、すぐに視線をはずしてしまうが……。
俺は綾音さんの言葉は今度こそはっきりと聞こえたし、その意味することも理解できた。
しかし、だからこそ綾音さんの話しはまるで意味不明なのであり、俺の頭は混乱していた。
綾音さんはといえば、何か吹っ切れた様子で、せきを切ったように話しはじめる。
「ふ、二見、は、はっきりさせておきたいが、わたしは、お前があの化け物を倒して、わたしと……何よりも部下たちの命を助けてくれたことには深く感謝している。わたし……いえわたしたちは麻耶さんの命令とはいえ、お前のことを一方的に攻撃して、拘束までしたというのにな……」
そして、綾音さんはそこで大きく息を吸い込んで、両手で自分の体を包み込むようにギュッと抱きすくめる。
その綾音さんの仕草は心なしかとても女性らしく見えた。
いや……なんとなくさっきから綾音さんの言動や振る舞い全体がとても女性っぽく見える。
ついで、綾音さんは
「だ、だから、わたしは……わたしは、や、約束は守る。も、もうお前に見られても、わたしはなんともない……はずだ。問題は克服した。い、今まで二人っきりになる機会がなかったが、言えなかったが……」
と、言うと、その目を潤ませながら、ためらいがちな表情を浮かべながらも、俺の目を見つめてくる。
綾音さんは緊張しているのか、その体が小刻みに震えていた。
「そ、そういうことだ……。わ、わたしは覚悟はできている」
俺は混乱している頭を整理しながら、綾音さんの話しをきいていた。
だが、最後まで聞いてもやはり現在の状況についてまるで検討がつかない。
ただ……綾音さんの様子がおかしいことだけは理解できる。
まさか……俺は記憶を失っている間に、綾音さんにも回復魔法を使ったのだろうか……。
そして、鈴羽さんの時のように綾音さんもその副作用で——。
そう思うと、俺は綾音さんのことが無性に心配になってきた。
「その……自分は綾音さんのことを——」
俺が綾音さんの方に歩み寄ると、綾音さんは突然ビクリと体を震わせる。
そして、綾音さんは、
「待て……いえ、ま、待って! お、お願い……ここでは……ダメ」
と、後退りをして、膝を折り、絞るような声を漏らす。
そして、俺の方を上目遣いで見ながら、懇願するように言う。
「や、約束は確かに守る。だ、だが……今はその時ではない。こ、これからわたしたちはダンジョン探索に挑まなければならないんだ。だ、だから……これが終わるまで……待っていて。そ、それに……わたしはやはりまだ……あなたに長い間見つめられると——ああ……ダメ……また……」
綾音さんのその変わり用に俺はますます懸念をつのらせる。
綾音さんの様子は見ているそばからますますおかしくなっている。
先ほどまでの綾音さんは堂々と姿勢正しく立っていて、その姿はまさに士官にふさわしい佇まいであった。
だが、今の綾音さんは、その長くスラリと伸びた足を内股気味にさせて、太腿をモジモジとこすりあわせている。
さらに、綾音さんのその眼も妙な熱を帯びはじめていて、もはやその目は俺の方を見ておらず、あさっての虚空を見ている。
綾音さんは何かに耐えているように必死に唇を固く結ぼうとしているが、こらえきれないのか、半開きになり、喘ぎ声のようなものまで漏れ出している。
俺は綾音さんのその尋常でない様子を見て、
「だ、大丈夫ですか? 誰か呼んだ方が——」
と、思わず肩に触れてしまった。
それが引き金になってしまったのかどうかは定かではないが、綾音さんは何かの我慢の限界に達したように、
「ああ……ダメ……いま触れられたら!! ああ……きたきた……だ、ダメよ……もう——」
と、抑えきれないような喘ぎ声を上げる。
もっとも、彼らは、綾音さんの紅潮した顔を確認するやいなや、まずいものを見たとばかりに、すぐに視線をはずしてしまうが……。
俺は綾音さんの言葉は今度こそはっきりと聞こえたし、その意味することも理解できた。
しかし、だからこそ綾音さんの話しはまるで意味不明なのであり、俺の頭は混乱していた。
綾音さんはといえば、何か吹っ切れた様子で、せきを切ったように話しはじめる。
「ふ、二見、は、はっきりさせておきたいが、わたしは、お前があの化け物を倒して、わたしと……何よりも部下たちの命を助けてくれたことには深く感謝している。わたし……いえわたしたちは麻耶さんの命令とはいえ、お前のことを一方的に攻撃して、拘束までしたというのにな……」
そして、綾音さんはそこで大きく息を吸い込んで、両手で自分の体を包み込むようにギュッと抱きすくめる。
その綾音さんの仕草は心なしかとても女性らしく見えた。
いや……なんとなくさっきから綾音さんの言動や振る舞い全体がとても女性っぽく見える。
ついで、綾音さんは
「だ、だから、わたしは……わたしは、や、約束は守る。も、もうお前に見られても、わたしはなんともない……はずだ。問題は克服した。い、今まで二人っきりになる機会がなかったが、言えなかったが……」
と、言うと、その目を潤ませながら、ためらいがちな表情を浮かべながらも、俺の目を見つめてくる。
綾音さんは緊張しているのか、その体が小刻みに震えていた。
「そ、そういうことだ……。わ、わたしは覚悟はできている」
俺は混乱している頭を整理しながら、綾音さんの話しをきいていた。
だが、最後まで聞いてもやはり現在の状況についてまるで検討がつかない。
ただ……綾音さんの様子がおかしいことだけは理解できる。
まさか……俺は記憶を失っている間に、綾音さんにも回復魔法を使ったのだろうか……。
そして、鈴羽さんの時のように綾音さんもその副作用で——。
そう思うと、俺は綾音さんのことが無性に心配になってきた。
「その……自分は綾音さんのことを——」
俺が綾音さんの方に歩み寄ると、綾音さんは突然ビクリと体を震わせる。
そして、綾音さんは、
「待て……いえ、ま、待って! お、お願い……ここでは……ダメ」
と、後退りをして、膝を折り、絞るような声を漏らす。
そして、俺の方を上目遣いで見ながら、懇願するように言う。
「や、約束は確かに守る。だ、だが……今はその時ではない。こ、これからわたしたちはダンジョン探索に挑まなければならないんだ。だ、だから……これが終わるまで……待っていて。そ、それに……わたしはやはりまだ……あなたに長い間見つめられると——ああ……ダメ……また……」
綾音さんのその変わり用に俺はますます懸念をつのらせる。
綾音さんの様子は見ているそばからますますおかしくなっている。
先ほどまでの綾音さんは堂々と姿勢正しく立っていて、その姿はまさに士官にふさわしい佇まいであった。
だが、今の綾音さんは、その長くスラリと伸びた足を内股気味にさせて、太腿をモジモジとこすりあわせている。
さらに、綾音さんのその眼も妙な熱を帯びはじめていて、もはやその目は俺の方を見ておらず、あさっての虚空を見ている。
綾音さんは何かに耐えているように必死に唇を固く結ぼうとしているが、こらえきれないのか、半開きになり、喘ぎ声のようなものまで漏れ出している。
俺は綾音さんのその尋常でない様子を見て、
「だ、大丈夫ですか? 誰か呼んだ方が——」
と、思わず肩に触れてしまった。
それが引き金になってしまったのかどうかは定かではないが、綾音さんは何かの我慢の限界に達したように、
「ああ……ダメ……いま触れられたら!! ああ……きたきた……だ、ダメよ……もう——」
と、抑えきれないような喘ぎ声を上げる。
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