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増大な魔力

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次第に視界から眩しさがきえる。

「ソラ………目…いたい…」

「ご、ごめん。僕もこんなに光が出るとは………」

目を開けるとギュッと目をつぶったウミが顔を近づけている。

そして怪我人を見ると、一つの傷もない肌になっていた。

「よかったぁ、ちゃんと治ってる……これで僕はウミちゃんと同じで水と回復が使えるってことがわかったね」

「ん……でも私より凄い………」

「そう?ただ魔力を込めすぎたとかじゃなくて?」

ウミは首を振り、周りを見渡した。

「…ん?……………あぁ!………」

ウミちゃんに釣られて僕も顔を動かすと、その目線の先には今まで怪我で苦しんでいた人々が消え。
代わりに怪我もなく落ち着いて寝ている人々がいた。

「えぇ!?この人達の傷も僕が!?」

「ん………さっきの光に当たった人全員…………………………………………………たぶん……」

ソラの言葉にさらに驚く。
うぇぇ………本当に僕がやったのか…しかも光に当たった人って……ここは部屋の中だから分からないけど、あの感じからしてかなり範囲が広いって事だよね……
しかもカレンさんが言うにはこの治りようは異常みたいだし……………

「ま、まぁこれでここの部屋にいる怪我人は安心だね。聖女様には悪いけど…」
頭を掻きながら言う、するとカレンが部屋に戻ってくる。

「聖女様、こちらからお願い致します」
「はい、案内ありがとうございますですの」
「いえ、憧れの聖女様のお力になれて光栄です」

カレンの後ろから白いドレスを着た女性が入ってくる、この人が聖女様だろう。

「あら?カレンさん……この部屋には怪我人はいらっしゃらないではありませんですの」
「へ?」

キョロキョロとカレンが見渡す。
「……あ、あぁ!す、すいません!間違えました!こっちの部屋です!」

すこし考えたあと、何がどうして怪我人が居なくなったのかを理解したカレンは、聖女様に見えないようにソラの事を睨みながら違う部屋に行った。

「あ、あははは……カレンさんにも迷惑掛けちゃったな」

「ん……………睨まれた……」

まぁ、カレンさんには悪いけど怪我人が良くなってよかった。
ウミちゃんも僕が回復魔法を使えることに嬉しがってるしね。




ドタドタドタドタ!!!

「な、なに!?」


しばらく聖女様の邪魔をしないため、自分の部屋に戻って、ベッドの上でウミちゃんに、先ほどの事で頭を撫でてのんびりしていたら突然騒がしい足跡が近づいてくる。

足跡はどんどん大きくなって行き、バン!とソラの部屋の扉が開く。

「ソラさんウミさん!」

「はい!?」

な、なんだろ!?
入ってきたのはカレンさんで、その顔はとても驚いた顔をしていた。

「ほかの怪我人もウミさんが治したんですか!?」

え?

「?ごめんどういう事?」
僕は魔法が使った部屋にしか行っていないからほかの部屋のことは覗いてもいなく、どうなっているのか分からないけど…

「つ!来てください!」

カレンは僕とウミちゃんの手を取って引っ張って行く。
そしてこの宿の部屋を全てを回って行く、ソラ達が見たのは寝込んでいる人がいる光景だった。

最後、一番奥の部屋に行くとカレンは深呼吸で少し落ち着き、扉をノックする。

「すいません、聖女様カレンですが……」
中から「どうぞ」と聞こえる。

「すいません先程はいきなり部屋を飛び出てしまって…」

「いえいえ、大丈夫ですわ。宿に怪我人がいないことに関係があるとお見受けいたしましたわ。そして先程お見掛けいたしましたその殿方達が原因と」

聖女様は微笑みながらカレンを見る。
「お話していただけますか?」
説明を頼む聖女様に「あっ、はい!分かりました!」と慌てて背筋を伸ばすカレンは説明を始めた。















「そ、その話が本当なのでしたら是非私の専属魔導師として雇いたい所ですわ」

「あはは……」

僕は少し口を引き攣りながら笑う。それも仕方が無いことで、カレンが話したことは少し間違っているが、心当たりが当たりがあるからだ。

カレンの言う説明は、まず聖女様を連れた部屋にいた人達は先程まで怪我で苦しんでいた事。
そして、少し前にしたウミちゃんの魔法の事。
そしてカレンさんはこの事から宿の怪我人を治したのはウミちゃんだと言う考えを話したのだ。

そのことに対して僕は
多分それはウミちゃんではなく先程行った僕の魔法が原因だろなぁ…
と考えている。

しかも、聖女様が言った専属魔導師をウミちゃんに頼みたいと言っていることは、それ以上の事をした僕は聖女様の父親、この街の王様と思われる人の専属に、とか言われるかもしれない…

それは流石に不味い、ウミちゃんを狙って来るかもしれない魔族と言う者からの被害で街に迷惑をかけてしまうかもしれない……いや、まぁこの街にいるだけでもその可能性があるんだけど、この街の城の中にいるよりはまだマシだからね…

「…?」

ウミちゃんはというと、何も察してないという感じで首を傾げている。
そのウミちゃんに小声で声をかける。

「多分僕のさっきのやつだよ…………勧誘されるの嫌だから誤魔化すから僕の話に合わせてね?」
その言葉に頷くウミを横目に、僕は聖女様に話しかける。

「すいません、僕はソラと申します。そしてこっちがウミちゃんです。そして今の話なのですがウミちゃんは僕とずっと一緒にいたので分かりますが、ウミちゃんはあの部屋の人達は治しましたが他の部屋には行ってもいません」
僕の言葉に頷くウミちゃんに続いて話も続ける。

「そして、先程の専属……あー、すいません。その専属魔導師と言うものになる事にはウミちゃんにならせる訳にはいけないのです」

「な、何故ですの?専属魔導師というのは住み込みになりますが給料も高く、割のいい仕事だと思いますが………それに彼女自身の言葉も……」

「やだ…」
「へっ?」

「縛られるの………やっ…………」

ぎゅっ、
とウミがソラに抱きつく。
それを見て聖女様は顔を赤くする。うぶなのかな?

「ウミ様はソラ様の恋仲、ということですの?離れるのが嫌なのでしたらソラ様も城で暮らすということでも構いませんが………」

何としてでもウミという凄腕の魔法使いを勧誘したいのであろうが、それは叶わない。

「すいません、僕も行くつもりはありません。僕達は縛られるのが嫌いなので」
先程ウミが言ったことを利用して話す。

「…そうですか、気が変わったらすぐに城に来てください。いつでも歓迎です」

「ははは、気が変わったら考えます」

「それにしても誰が怪我人を治したのでしょうか?あれほどの人数を治療したとなったら、ウミ様と…いえそれ以上?」

まずいっ、さがされたらまずいっ!
どんなスキルがあるかわからないけど、もし僕だってわかるようなスキルがあったらこまるっ!バレないことをいのってようっと…

「それでは私はもう行きますね。街にいる怪我人を放っていけませんですので…」

聖女様は立ち上がり馬車で去っていった。それを見送ったあと、カレンさんが僕の部屋にきた。



「ソラさん、ウミちゃんは本当にほかの人達は治してないんですか?」

「うん、そう言いきれるよ?」
多分僕だしね…


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