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恋する少女

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「お兄様……わ、私のお兄様が……………うーん……」

力を貯めるようにしていた奏美は、急に身体の力を緩めふらっと倒れてしまった。
丁度ソラのベッドの上に倒れた奏美はそのまま…うーん…うーんと、呻き声をあげながら寝てしまった。

これは説明は起きてからかな?今日の学校は休みにして置こう……色々話したいしね。もしかしたら奏美ちゃんまでにも魔族の手にかかるかもしれないから心の準備だけでもしてもらわないと……ごめんね奏美ちゃん。


「ウミちゃん、下におりよっか?奏美ちゃんは見ての通りだからウミちゃんに先に話しておくよ」

「…………ん…」

こくり…と頭を下げ、ソラの手を握ると、その手を引いて一階へと降りていく。

「さてと、じゃあウミちゃんはそこに座ってくれる?」

椅子に座ったソラは正面の椅子にウミちゃんを座らせ、この世界の事、そして今までウミちゃんがいた世界のこと……そして今後の事を説明した。

今後の事は、一応もう1日は様子を見るつもりだが、このまま夢の中ではなく現実に来ることが続いたらソラはウミを養うことが出来ない。そのためソラはバイトをしようと決め、更にウミにも手伝ってもらおうと決めた。

そして、学校へもウミには来てもらうことにした。といっても受験や勉強も出来ず、更にこちらの文字を知らないウミには難しいと思うため、かなりのズルをしてもらうことにした。

その方法は、ソラの作るアイテムだ。作るアイテムの効果や形は簡単で、カンニングの出来る眼鏡型の魔法具だ。そしてカンニングだけでは不安も残るであろうと、一応言葉の意味や文字を書けるように聞いた言葉を説明してくれる機能も付けようと考えた。

「…まぁ、そのアイテムさえ作れれば心配することはなくなるからね……それに次の受験日は3ヶ月も先の事だから、それまではウミちゃんは家でゴロゴロしてていいよ。
あ、もちろん少しでもいいから世間を知るために僕と一緒に出掛けたりはするよ?」

「……ん…了解」

そう言ってウミは椅子から立ち上がりソラの部屋へ行くと言って、階段を上がって行った。



「ふぅ……」

少し疲れたなぁ………これからはバイト生活か…僕達が出来る仕事って言ったらな…力仕事?いやでもな…… 

ソラはノートパソコンを取り出し、バイトの求人サイトを見回っていく……

近くだと…
「んー……パン屋さんにファミレスに……喫茶店」

このくらいかな……力仕事をしてウミちゃんに何かあったら怖いしね…ここらへんなら、ウミちゃんを見守れる範囲にいることが出来るし良さそうだな。
よし、明日の学校行った後にウミちゃんと1度見に行ってこよう。

「それにしても明日はウミちゃんに家に待っててもらわないとだからな……心配だ…」
常に周りに気づかれないでビデオ会話が出来るものでも作ろうかな……あ、ブラッドオーブ(中)100個って…僕今夢の中の僕の家にある分入れても半分もいかないんだけど…

今日の夢はとにかく狩りかな?
あ、そういえばギルドからお金を貰わないとだ…それと向こうでも学園に行かないと…
受験無いといいけど……









その後部屋に戻ったソラはあのまま寝ている奏美を自分の部屋へと戻し、その隣で寝ていたウミの隣に寝転がって、眠りについた。










いつものように夢の中で起きると、ウミちゃんは先に起きていたのか、隣でずっと僕の顔を見ていた。

「おはよウミちゃん」

「……おは…………」

「あ~ウミちゃんみたいな可愛い彼女が寝起きで見れるってなんかいいね。」

「…………///………」

「あはは、やっぱり可愛いなぁ」

からかうように言ったソラの言葉に、顔をソラの胸に顔を隠すウミの頭を撫でながらそう言った。

「よしっ!今日は忙しいよウミちゃん!学園にまた行かなきゃだからね!」

「…///…………わかってる……」


身体を起こし着替えをした後、カレンに会ってギルドの人が来てないか聞くが、まだ来ていないようだった。 

「ソラさんにウミさんはお早い朝なのですね。まだ朝の6時ですよ?」

「あー、そっか」
僕は現実で学校があるからこの時間で起きるのが当たり前になってるからなぁ…そっか6時って朝早いんだったなぁ

「まぁ、早寝早起きは身体にいいからね。それよりカレンさんも朝早くからお仕事なの?」

「あ、はい。これから朝食の準備ですね。本日のメニューは野菜を挟んだパンとスープですよ、出来上がりましたらすぐにそちらのお部屋にお運びしましょうか?」

「あ、お願いするよ。それとギルドの人が来たなら呼びに来てもらえないかな?」

「分かりました、それでは後ほど伺いますね」

「うん、よろしく」

「………また……あとで…」

「「っ!?」」
ソラとカレンが驚く、なぜ驚いたかと言うと、ウミがカレンに向かって話しかけたからだ。

う、ウミちゃんが話しかけた!

「あ…はい!また後でですウミさん!」

あらら、カレンさんが戸惑っちゃってる。それよりも…
「…うん、ウミちゃん挨拶が出来て偉いねぇ」

「………ソラの………彼女だから…このくらい………楽勝」

ウミは猫のように目を細めてこちらに寄る。

「…彼女……」

「ん?ごめんカレンさん、何か言った?」

「いえ……なんでもありません。それでは後ほど…失礼します」

ぺこりと頭を下げ厨房へカレンは向かった。

「……あはは…これは………いつものパターンかな?」


    
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