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第五話
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「知らない天井だ……」
目が覚めると俺は覚えのない部屋にいた
起き上がろうとしたが両手両足が布で縛られているため、全く身動きが取れない
「確か……俺は白の家で飯を食っていて……」
で、意識を失って今……か、最後に見た白が笑っていたように見えたが――
「ふっふふん、ふっふふん、ふっふふん、ふふっふー」
部屋の外からやけに上機嫌な鼻歌が聞えてきた
声色からして間違いなく白の声だ
その声に注意深く耳を傾けている――と、
「起きました?先輩」
「……ああ、こんなに厳しい寝起きは初めてだ」
白がドアを開けて入ってきた、何故か体にバスタオル一枚だけをまとった状態で
こちらを見る白の目には光が無い、無感情とはまた違う何かを秘めたかのような暗い目だ……
状況から考えて白が俺を眠らせて縛ったのは確定として、その狙いは何だ?
「先輩……ごめんなさいっ、」
「謝るくらいなら早く外せ」
「私を受け入れてください……!」
「話を聞け」
「ねぇ……しよ?先輩」
白が一歩、また一歩と近づいてくる……そしてついに吐息がかかる距離まで来た
「いきなりどうした、物事には順序があるだろ」
姿と匂いからしてシャワーを浴びた後みたいだ
ただでさえ寝起きで頭回んねーのに甘い香りでさらに思考を奪い取られる
「いくね、先輩」
「――っう、」
引くほど話を聞かない白は俺の服の隙間に手を伸ばしてくる
程よい熱を帯びた白の手が肌に触れると、その場所から興奮が全身に広がっていく
「……おい!なんで俺を襲おうとする!」
「先輩と私が幸せになるために必要なことだからですよ……」
「俺と白の幸せに必要なことがこれ?こんなことをしても、誰も幸せにならねぇよ」
「なりますよ!!」
白が急に声を荒げた
俺はこんなに大声を出す白を見たことがない……
それだけで今の白がどれだけ精神的に不安定なのかが伝わってくる
「先輩は優しいからっ、無理にでもっ!既成事実を作れば!私とずっと一緒にいてくれますよね?私だけの先輩で居てくれますよねぇ!?」
「……作んなくてもいてやるよ」
「???」
「既成事実なんか無くても一緒にいてやる」
「そっ、それって……ええっ!?」
白が俺に対してそこまで重い感情を寄せているのなら逆にそれを利用すればいいだけだ
レイプ魔には屈しない!
「白が俺と同じ気持ちみたいで嬉しいよ」
「同じって!……先輩、がっ、私を……好き!?」
「ああ、だからあの日助けた……それよりも今はお前を抱きしめたい気分だ」
「わっ、わたっ、し、を……だ、抱きしめたい!?」
「そうだ……でも布が邪魔で動けない、困ったな」
「すっすぐに外します!」
白は赤面しながら顔に当てていた手を離して
一枚ずつ布を外していく――
「……これで最後です、跡とかは大丈夫ですか?」
「大丈夫だ……助かった、礼を言う」
なんで俺はレイプ魔に礼を言っているんだろう……
「先輩っ!」
「うぉっ!?……おい、勢い良く抱き着きすぎだ」
「……何で手を回してくれないんですか?」
「何で?って……さっきまでの話はなぁ、全部」
「まさか……噓だ何て言いませんよね??」
本心を打ち明けようとした瞬間――背中に冷たい何かが当たる
「もし、私と結婚を前提に付き合っているという事実を冗談でも噓だなんて言ったら……刺し殺します、そして私も死にます」
「う、噓じゃない……俺たちは付き合ってる、よ」
「結婚を前提にした、お付き合いですよ……ふふっ、言質、取りましたからね」
白がニンマリと笑った、最後のほうが聞き取れなかったが……
「……白は笑った顔が一番可愛いな」
「えっ、私が……か、可愛い!?」
「そうだが、自覚なかったのか?」
「そんなこと……初めて言われましたっ、噓だと分かっていても喜んでしまいます……!!」
白は恥じらいを見せて赤くなった顔を小さな手で覆った
多少歪んではいるが結構中身も可愛い所あるし、付き合うのもそこまで悪い話じゃないのかもな……
こうしてこの日、俺に初めて彼女ができた
目が覚めると俺は覚えのない部屋にいた
起き上がろうとしたが両手両足が布で縛られているため、全く身動きが取れない
「確か……俺は白の家で飯を食っていて……」
で、意識を失って今……か、最後に見た白が笑っていたように見えたが――
「ふっふふん、ふっふふん、ふっふふん、ふふっふー」
部屋の外からやけに上機嫌な鼻歌が聞えてきた
声色からして間違いなく白の声だ
その声に注意深く耳を傾けている――と、
「起きました?先輩」
「……ああ、こんなに厳しい寝起きは初めてだ」
白がドアを開けて入ってきた、何故か体にバスタオル一枚だけをまとった状態で
こちらを見る白の目には光が無い、無感情とはまた違う何かを秘めたかのような暗い目だ……
状況から考えて白が俺を眠らせて縛ったのは確定として、その狙いは何だ?
「先輩……ごめんなさいっ、」
「謝るくらいなら早く外せ」
「私を受け入れてください……!」
「話を聞け」
「ねぇ……しよ?先輩」
白が一歩、また一歩と近づいてくる……そしてついに吐息がかかる距離まで来た
「いきなりどうした、物事には順序があるだろ」
姿と匂いからしてシャワーを浴びた後みたいだ
ただでさえ寝起きで頭回んねーのに甘い香りでさらに思考を奪い取られる
「いくね、先輩」
「――っう、」
引くほど話を聞かない白は俺の服の隙間に手を伸ばしてくる
程よい熱を帯びた白の手が肌に触れると、その場所から興奮が全身に広がっていく
「……おい!なんで俺を襲おうとする!」
「先輩と私が幸せになるために必要なことだからですよ……」
「俺と白の幸せに必要なことがこれ?こんなことをしても、誰も幸せにならねぇよ」
「なりますよ!!」
白が急に声を荒げた
俺はこんなに大声を出す白を見たことがない……
それだけで今の白がどれだけ精神的に不安定なのかが伝わってくる
「先輩は優しいからっ、無理にでもっ!既成事実を作れば!私とずっと一緒にいてくれますよね?私だけの先輩で居てくれますよねぇ!?」
「……作んなくてもいてやるよ」
「???」
「既成事実なんか無くても一緒にいてやる」
「そっ、それって……ええっ!?」
白が俺に対してそこまで重い感情を寄せているのなら逆にそれを利用すればいいだけだ
レイプ魔には屈しない!
「白が俺と同じ気持ちみたいで嬉しいよ」
「同じって!……先輩、がっ、私を……好き!?」
「ああ、だからあの日助けた……それよりも今はお前を抱きしめたい気分だ」
「わっ、わたっ、し、を……だ、抱きしめたい!?」
「そうだ……でも布が邪魔で動けない、困ったな」
「すっすぐに外します!」
白は赤面しながら顔に当てていた手を離して
一枚ずつ布を外していく――
「……これで最後です、跡とかは大丈夫ですか?」
「大丈夫だ……助かった、礼を言う」
なんで俺はレイプ魔に礼を言っているんだろう……
「先輩っ!」
「うぉっ!?……おい、勢い良く抱き着きすぎだ」
「……何で手を回してくれないんですか?」
「何で?って……さっきまでの話はなぁ、全部」
「まさか……噓だ何て言いませんよね??」
本心を打ち明けようとした瞬間――背中に冷たい何かが当たる
「もし、私と結婚を前提に付き合っているという事実を冗談でも噓だなんて言ったら……刺し殺します、そして私も死にます」
「う、噓じゃない……俺たちは付き合ってる、よ」
「結婚を前提にした、お付き合いですよ……ふふっ、言質、取りましたからね」
白がニンマリと笑った、最後のほうが聞き取れなかったが……
「……白は笑った顔が一番可愛いな」
「えっ、私が……か、可愛い!?」
「そうだが、自覚なかったのか?」
「そんなこと……初めて言われましたっ、噓だと分かっていても喜んでしまいます……!!」
白は恥じらいを見せて赤くなった顔を小さな手で覆った
多少歪んではいるが結構中身も可愛い所あるし、付き合うのもそこまで悪い話じゃないのかもな……
こうしてこの日、俺に初めて彼女ができた
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