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第二話

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「何でしょうか?」

 呼び止めた白が口を開く

 俺は今から白を飯に誘おうと思っている

 だが、俺を怖がらないから仲良くなれそうだなんて理由で評判が悪い俺に誘われたって、白からしたら迷惑でしかないか……やっぱりやめておこう


「いや、何でもない」

「そうですか、では」

 白は軽く頭を下げてから部室を出る

 俺はその後、行きつけのラーメン屋に寄ってから帰った



 ◆◆

 翌日、俺はゲームセンターに来ていた

 近所にあるこの店では、毎月の第三土曜日にだけ一部の台の設定が甘くなるキャンペーンを開催しているからだ

「あれは……」

 店内を歩いていると、白が三人の男に囲まれている現場に遭遇する


「おい、そこの女!俺らと遊ぼうぜ!」

「えっと……あの……」

「いいじゃねぇかよぉ、ほら行こうぜ?」

「いや、……ですっ、」

「あぁん!?いいから来いよ!!」

「痛っ、離して……」


 どう考えてもこれは、知り合いって訳ではなさそうだ

「おい、お前ら……うちの後輩に何してんだ」

「ああ?誰だよ」

「こいつの先輩だ」

「チッ……めんどくせーな。行くぞ」


 俺が睨みつけると男たちは去っていく

「あの、ありがとうございました。先輩」

「気にすんな。それより白がゲーセンにいるとは……驚いた」

 白は休日ということもあり、私服だった

 寒色系の地味な服だがおとなしめの白によく似合っている


「お前も一人か?」

「はい」

「そうか……またな」

「……先輩っ、今から私の家に来ませんか?」

 白と別れてゲーセンを回ろうとしたら、上着の端をつかまれて呼び止められた

「何故だ?」

「……お礼が、したいんです」

「そんなものは必要ない」

「……分かりました……呼び止めてしまい、すみませんでした」

 白は八の字の眉で、あごにしわをよせている……

 初めて白の表情らしい表情を見ることができたが、後輩にこんな顔させていたら……先輩失格だよな


「勝手なことを言うが、やはり家に行かせて貰ってもいいか?」

「はい……!」

「どこに住んでいるんだ?」

「駅前のマンションです……ついてきて下さい」

「……嬉しそうだな」


 店を出た後、先行する白に俺がついていく形で家に向う

「休日だが、家に親はいるのか?」

「……親とは別居していて、一人で住んでいるんです。もう数年は会ってすらいません……」

「一人でって……他に、日常的に頼れる大人はいないのか?」

「私が頼れる大人は近所に住んでいる祖父母だけです」


 祖父母だけ……か、

「悪い、あまり聞くべきでは無いことを聞いた」

「気にしないでください」

「そうか……そういや、お礼ってなんだ?」

「ここでは……言えません」

 街中で言えないお礼って何だ?
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