6 / 21
不正
しおりを挟むその後は特にないもないまま家に向かった
強いて言えば途中で白が薬局に寄ったことぐらいだが
「体調が悪いのか?」
「私ですか?私は元気ですよ」
体調が悪いわけではないらしい、常備薬でも切らしていたのか?
そして、結局お礼って何だ……
そんなことを考えていると――
「着きました、入ってください」
「……邪魔する」
扉を開けて部屋に入る
子供が二人で暮らしていると聞いてどんな部屋かと思えば意外と普通だった
「今から料理を作るので先輩はソファーで休んでいてください」
「そうさせてもらう」
そしてお礼って手料理だったんだ
「おにーちゃん遊ぼう!」
「いいぞ」
ソファーに腰を下ろした瞬間に彰が車のおもちゃを持って話しかけてきた
「いけー!ぶぅーん!」
彰は車を楽しそうに動かしている
俺も一緒になって遊んでやると彰も満足そうにノッてきた
「おにいちゃん、きいてきいてー」
「何だ?」
「さいきんのおねいちゃんがねー」
「ああ」
「ころばなくなったんだー!!」
「前はよく転んでいたのか?」
「うん……いつもきずだらけでかえってきて、そういってた……」
「安心しろ、お前の姉はもう転ばない」
白はずっと一人で耐えてきたんだな、だれにも頼れずに。おそらくは初めて会った時の体の傷以上の心の傷を抱えて……
また白を襲う奴がいたら俺が守る……先輩としてな
「手伝える事があるか聞いてくる」
◆◆
「何か手伝える事はあるか?」
「わっ、せっ先輩!?」
キッチンに向かい声をかけると白は大げさに驚いて手を後ろに隠した……
何でこんなに動揺しているんだ?
「そんなに慌ててどうしたんだ?」
「別に、何でもないですよ……完成したら、お呼びしますので……」
「何か力になれたらと思ったが……そうか」
その後俺は彰との遊びを再開した
◆◆
「できましたよ!」
テーブルには肉や野菜が豪華に配置されていた、三人で席に着く
「いただきます」
「……どうですか?」
「美味しい」
「よかったぁ」
白は嬉しそうに脱力した、普通に過去一ぐらい美味しい
だが、この料理技術も一人で料理するしかなかったという白の背景を考えると、複雑だな
「そういや、二人で住んでいるのに椅子が三つあるんだな」
「たまに……あの人が来たら使いますから」
「あの人っ……ん?……あ、……れ?」
何だ、力が入んねぇ、視界が定まらない、頭が働かない……
体から力が抜けてテーブルに吸い寄せられる
その時、視界の端に見えた彰は既に眠っていた
「し……ろ?、……ぅ」
俺の意識は緩やかに失われていく
意識を失う寸前に見た白は笑っていた――
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る
電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。
女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。
「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」
純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。
「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」
彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した
Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる