いじめから助けた後輩を数合わせで部活に入れただけなのに異常に懐いてきてもはや怖いんだが

森 拓也

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不正

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 その後は特にないもないまま家に向かった



 強いて言えば途中で白が薬局に寄ったことぐらいだが




「体調が悪いのか?」



「私ですか?私は元気ですよ」




 体調が悪いわけではないらしい、常備薬でも切らしたのか?



 そして結局お礼って何だ……




 そんなことを考えていると



「着きました、入ってください」



「……邪魔する」




 扉を開けて部屋に入る



 子供が二人で暮らしていると聞いてどんな部屋かと思っていたら意外と普通だった




「今から料理を作るので先輩はソファーで休んでいてください」



 お礼って手料理だったんだ



「そうさせてもらう」




 ソファーに腰を下ろすと




「おにーちゃん遊ぼう!」



 彰が車のおもちゃを持って話しかけてきた



「いいぞ」



「いけー!ぶぅーん!」




 彰は車を楽しそうに動かしている



 しばらく二人で遊んでいると




「最近お姉ちゃん転ばなくなったんだー!」



 彰が嬉しそうに言う




「前はよく転んでいたのか?」



「うん、いつも傷だらけで帰って来てそう言ってた」




 白はずっと一人で耐えてきたんだな、だれにも頼れずに



 おそらくは初めて会った時の体の傷以上の心の傷を抱えて……




「安心しろ、お前の姉はもう転ばない」




 また白を襲う奴がいたら俺が守る……先輩としてな




「手伝える事があるか聞いてくる」




 俺はキッチンに向かい白に声をかける




「何か手伝える事はあるか?」



「わっ、せっ先輩!?」




 白は驚いて手を後ろに隠した



 何でこんなに動揺しているんだ?




「そんなに慌ててどうしたんだ?」



「別に、何でもないですよ……完成したら、お呼びしますので……」




 何か力になれたらと思ったが



「そうか」



 その後俺は彰との遊びを再開した






 ◆◆



「できましたよ!」



 テーブルには肉や野菜が豪華に配置されていた



 三人で席に着く



「いただきます」



 早速俺は肉を口に運ぶ



「……どうですか?」



「美味しい」



「よかったぁ」



 白は嬉しそうに脱力した



 普通に過去一ぐらい美味しいが、この料理技術も一人で料理するしかなかったという白の背景を考えると……複雑だな




 そういや



「二人で住んでいるのに椅子が三つあるんだな」



「たまに……あの人が来たら使いますから」



「あの人っ……ん?……あ、……れ?」




 何だ、力が入んねぇ、視界が定まらない、頭が働かない



 体から力が抜けてテーブルに吸い寄せられる



 視界の端に見えた彰は既に眠っていた




「し……ろ?、……ぅ」




 俺の意識は緩やかに失われく



 意識を失う寸前に見た白は笑っていた――




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