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十六話『生徒に嵌められた教師』
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「アキ……体調はどう?」
「……。少しおかしくなってた」
「話せばさあ、楽になるかもよ」
私はアキの肩に手を置いて背中から顔を覗き込む。
暗がりの中、少し怯えた彼の口から。
「結構重い話なんだけど」
私は末期ガン。これより重い話なんて滅多にないんじゃないかな、とふと思いながら。
「聞くよ! そうしないとあなた暗闇から抜け出せないんじゃないの?」
薄暗い中、彼の首にそっと腕をまわしてあげる。冷えた彼の体温を感じながら。月明かりの中、怯えた様子の彼は、座り直して、私の眼を真っ直ぐ見つめて話し始めた。
「一週間くらい前、生徒にはめられて学校をクビになる……」
「まだクビじゃないんだよね? その話、誰かにしたの?」
「誰にもそんなこと言えるはずもない。厳密には自宅待機だけど恐らくクビになる……」
「最初から話してよ!」
彼の手を取り握りしめる。指先まで氷のように冷たくなってる。この技はうちの美人看護師の技だ。
「長くなるけど、いいの……かな」
彼はポツリポツリと話し始めた。
☆
―半年前 アキ視点
「あ、はいっ、うちの生徒が万引き? はあ。親を呼ばれたくないから、学校に? 申し訳ありません。今からすぐにそちらに伺います」
放課後、学校近くのスーパーから電話が入った。生徒が名前を話さないので、店員はジャージからここの学校の生徒だと判断して電話を入れたらしい。
その時間、他の先生は、職員室に誰もいなかった。部活で、出払っていたからだ。僕はと言うと文芸部なので、毎回部室に行くことがない。担当の生徒たちは思い思いに好きな小説を読んで雑談をしたり、同人誌を作っている。
まいったな。僕がこっそり行って、あまり大事にならないようにしてくるか。そんなことを思いながら鞄を持って玄関先で靴を履き替えようとしていると。
「先生……」
「まどかさん。どうかしました?」
「なんでもないです……」
とてもか細い声が聞こえた。いつの間に隣に居たんだろうか。無表情で眼鏡っ娘。うちのクラスの中でも存在感の薄い無口な女子。顔が青白く引きつっているような感じがした。だが一刻も早くスーパーに向かわないといけない。
「ごめんっ。先生急いでいるんだ。また今度でも大丈夫かな? 外で問題が起きて早く行かないと」
「あ……センセイっ」
私はそのままスーパーへ向かい隣のクラスの不貞腐れる男子二人にどうしてこんなことをしたのかを問いただし、店長に三人で頭を下げて初めての万引きということもあり何とか許しをえた。
――その翌日。
また同じ女子生徒が、お昼休みに泣きそうな顔で職員室にやってきた。
「先生、話があるんですけど」
「どうしたんです?」
背筋に寒気が走った。何か嫌な予感がした。
「ここだとあれだから家庭科室で話を聞きますね」
できるだけ穏やかな声を出して、まどかを連れ出す。後ろを振り返ると、まどかは内股になりながら、距離を置いて歩いてついてくる。まあ、先生に何かを言うってことは大抵、他の生徒から被害を受けているパターンが多い。
どう言った話なのか。窓際の席にまどかを座らせる。とりあえず落ち着いてもらって話してもらわないと。
「こないだはごめんね。うちの生徒が外で問題を起こしてね。誰とは言えないんだけど……。このことは内緒だよ」
教師は生徒の問題について他の生徒に話すなんてことはタブーなことは分かってる。でも彼女と共通の内緒話をすることで話しやすくなるかと思った。他の教師にこんなこと知れたら大目玉なのは間違いないけれども、僕しか万引き事件のことは知らないから、そこは問題ない。
「あのっ……」
「まあ、言いずらいことってありますよね」
「あ……」
脚をみるといくつか青アザがあり、制服もなんだか縞模様の埃が付いていて、上履きの裏の跡があるような、まさか。
「もしかしてまどかさん。誰かに何かされてます?」
「いえ……なんでもありません。お時間とらせてしまってすみません」
彼女の瞳にぶわっと涙が溢れ、慌てて、椅子から立ち上り部屋から出ようとする。
「ちょっと待ってください」
ここで彼女の話を聞かないと必ずいじめはエスカレートしてしまうだろう。問題の芽は早めに摘まないといけない。思わず彼女の手首を掴んでしまった。
「離してください! やめてっ」
廊下の方から扉がバンっと開き、生徒が三人入ってきてスマホで私を撮り始めた。
「何やってんだよ! 教師が生徒を教室に閉じ込めて乱暴してんのかよ」
「おいっ、撮れたか?」
「撮れ高、最っ高だわー! よっしゃー! 早速、SNSにアップしようぜ! ほんっと、まどかっていい仕事するわっ!」
こないだの万引き2人組の男子がバカにしたようにニヤニヤしながら近づいてくる。
「今日、この動画あげるから、楽しみにしといてねセンセっ」
スカートを腰で折り曲げて短くしている女子。脚を交差させて扉にもたれ掛かる金髪の長い髪はユキナ。こいつは隣のクラスの問題児。
他の先生の話では、キャバクラの店長が彼氏らしい。なんでも、その店で働いているとかいないとか噂を耳にしたことがある。
「何を言ってるんですか? 私は相談を受けるためにここに連れてきただけです。そんな動画あげても何にもなりませんよ」
「だから、センセっ、そんなこと言っても無駄だって、腕を掴んで無理やりやろうとしたんでしょ?」
「そうだ。そうだっ。これで変態教師確定っ。この学校から出ていけよ!」
「あなた達がまどかさんをいじめているんじゃないんですか?」
「いじめなんてしてねー! 俺たち友達だよ。なあ! ま・ど・か。現に今ヘンタイ教師の魔の手から救っただろ」
まどかは泣きそうな顔で彼らを見ると「うん」と言うしかなく、ゆっくりと頷く。
「ネットにあげたければあげればいい。別に何もしていないのだから」
「こいつほんとつまんねー! 行こうぜ!」
「さめるわー」
ユキナはまどかの腕を強引に引っ張ると教室へと戻っていく。今の子はよく分からない……。何がしたいんだ? まあ、冗談だろ。こんなこと。生徒の可愛い冗談だ。やば、まどかの事、何もしてあげてない……。
翌日職員室に入ると教頭から声をかけられた。
「あなたも分かってると思うけど、マスコミから電話がありまして、人気のない教室で生徒と二人っきりになって何をしてたんです? 暴力をふるおうとした? まさか、そんなことはないとは思いますが、SNSでうちの学校の名前と先生の実名も上がっています」
「そうですか……実はうちのクラスの子が虐められてまして、その相談を受けていただけなんです」
「ほお、生徒にどんな事を言われたんです?」
どんなこと? それを聞く前に動画を取られたのだから説明できるわけが無い。
「情けない話ですが……。生徒にはめられたんだと思います」
腕を組む教頭は、困った顔をして。
「佐々木先生……申し訳ありませんが、自宅待機でよろしいでしょうか。とりあえず、ほとぼりが冷めるまでの辛抱です。私は信じています。そんなことするわけないと。ただ、テレビ局、雑誌の記者が探っていますので、その方が先生にとってもよろしいかと……どうされますか?」
はっ? 嘘だろ。なんだよ……良かれと思ったことが全て裏目に……。万引きしてた生徒のために事件を隠して。虐められていた可能性のある子の話を聞かなければこんなことにはならなかった。
教師なのだから当たり前のことをしただけだ。それなのにこの仕打ちはなんなんだろう。呆然とするしか無かった。
「残念です。ほんとに」
万引き生徒の話をすることも出来たが、それは伏せることにした。なんて馬鹿なんだろう。そんなことをされても生徒だからなんて甘く考えていた。
教頭は猜疑心のある目で私の頭からつま先まで視線を往復させると。
「少しの辛抱です。信じてますから。佐々木先生のクラスには私から伝えときます。しばらく休むことになると。その間は私が引き継ぎますから」
言ってることは、ありがたいけど、信じてないな。
「分かりました。自宅待機ですね」
精一杯の笑顔を取り繕い、頭を下げて、職員室をあとにした。他の教師は視線を合わせないようにしているのが、辛かった。
僕は教頭からの復帰の電話を待ち、一週間ほどアパートで過ごしていたが、精神的にきつくなって、雨の降る日、名古屋の街を徘徊し、ずぶ濡れになりながら、たまたまアヒル公園の池のベンチにたどり着き、ただただ池を眺めていた。
全てを話すと目の前の彼女は寂しげな瞳で僕を見て。
「バッカみたいっ」
ただそれだけを口にした。
「……。少しおかしくなってた」
「話せばさあ、楽になるかもよ」
私はアキの肩に手を置いて背中から顔を覗き込む。
暗がりの中、少し怯えた彼の口から。
「結構重い話なんだけど」
私は末期ガン。これより重い話なんて滅多にないんじゃないかな、とふと思いながら。
「聞くよ! そうしないとあなた暗闇から抜け出せないんじゃないの?」
薄暗い中、彼の首にそっと腕をまわしてあげる。冷えた彼の体温を感じながら。月明かりの中、怯えた様子の彼は、座り直して、私の眼を真っ直ぐ見つめて話し始めた。
「一週間くらい前、生徒にはめられて学校をクビになる……」
「まだクビじゃないんだよね? その話、誰かにしたの?」
「誰にもそんなこと言えるはずもない。厳密には自宅待機だけど恐らくクビになる……」
「最初から話してよ!」
彼の手を取り握りしめる。指先まで氷のように冷たくなってる。この技はうちの美人看護師の技だ。
「長くなるけど、いいの……かな」
彼はポツリポツリと話し始めた。
☆
―半年前 アキ視点
「あ、はいっ、うちの生徒が万引き? はあ。親を呼ばれたくないから、学校に? 申し訳ありません。今からすぐにそちらに伺います」
放課後、学校近くのスーパーから電話が入った。生徒が名前を話さないので、店員はジャージからここの学校の生徒だと判断して電話を入れたらしい。
その時間、他の先生は、職員室に誰もいなかった。部活で、出払っていたからだ。僕はと言うと文芸部なので、毎回部室に行くことがない。担当の生徒たちは思い思いに好きな小説を読んで雑談をしたり、同人誌を作っている。
まいったな。僕がこっそり行って、あまり大事にならないようにしてくるか。そんなことを思いながら鞄を持って玄関先で靴を履き替えようとしていると。
「先生……」
「まどかさん。どうかしました?」
「なんでもないです……」
とてもか細い声が聞こえた。いつの間に隣に居たんだろうか。無表情で眼鏡っ娘。うちのクラスの中でも存在感の薄い無口な女子。顔が青白く引きつっているような感じがした。だが一刻も早くスーパーに向かわないといけない。
「ごめんっ。先生急いでいるんだ。また今度でも大丈夫かな? 外で問題が起きて早く行かないと」
「あ……センセイっ」
私はそのままスーパーへ向かい隣のクラスの不貞腐れる男子二人にどうしてこんなことをしたのかを問いただし、店長に三人で頭を下げて初めての万引きということもあり何とか許しをえた。
――その翌日。
また同じ女子生徒が、お昼休みに泣きそうな顔で職員室にやってきた。
「先生、話があるんですけど」
「どうしたんです?」
背筋に寒気が走った。何か嫌な予感がした。
「ここだとあれだから家庭科室で話を聞きますね」
できるだけ穏やかな声を出して、まどかを連れ出す。後ろを振り返ると、まどかは内股になりながら、距離を置いて歩いてついてくる。まあ、先生に何かを言うってことは大抵、他の生徒から被害を受けているパターンが多い。
どう言った話なのか。窓際の席にまどかを座らせる。とりあえず落ち着いてもらって話してもらわないと。
「こないだはごめんね。うちの生徒が外で問題を起こしてね。誰とは言えないんだけど……。このことは内緒だよ」
教師は生徒の問題について他の生徒に話すなんてことはタブーなことは分かってる。でも彼女と共通の内緒話をすることで話しやすくなるかと思った。他の教師にこんなこと知れたら大目玉なのは間違いないけれども、僕しか万引き事件のことは知らないから、そこは問題ない。
「あのっ……」
「まあ、言いずらいことってありますよね」
「あ……」
脚をみるといくつか青アザがあり、制服もなんだか縞模様の埃が付いていて、上履きの裏の跡があるような、まさか。
「もしかしてまどかさん。誰かに何かされてます?」
「いえ……なんでもありません。お時間とらせてしまってすみません」
彼女の瞳にぶわっと涙が溢れ、慌てて、椅子から立ち上り部屋から出ようとする。
「ちょっと待ってください」
ここで彼女の話を聞かないと必ずいじめはエスカレートしてしまうだろう。問題の芽は早めに摘まないといけない。思わず彼女の手首を掴んでしまった。
「離してください! やめてっ」
廊下の方から扉がバンっと開き、生徒が三人入ってきてスマホで私を撮り始めた。
「何やってんだよ! 教師が生徒を教室に閉じ込めて乱暴してんのかよ」
「おいっ、撮れたか?」
「撮れ高、最っ高だわー! よっしゃー! 早速、SNSにアップしようぜ! ほんっと、まどかっていい仕事するわっ!」
こないだの万引き2人組の男子がバカにしたようにニヤニヤしながら近づいてくる。
「今日、この動画あげるから、楽しみにしといてねセンセっ」
スカートを腰で折り曲げて短くしている女子。脚を交差させて扉にもたれ掛かる金髪の長い髪はユキナ。こいつは隣のクラスの問題児。
他の先生の話では、キャバクラの店長が彼氏らしい。なんでも、その店で働いているとかいないとか噂を耳にしたことがある。
「何を言ってるんですか? 私は相談を受けるためにここに連れてきただけです。そんな動画あげても何にもなりませんよ」
「だから、センセっ、そんなこと言っても無駄だって、腕を掴んで無理やりやろうとしたんでしょ?」
「そうだ。そうだっ。これで変態教師確定っ。この学校から出ていけよ!」
「あなた達がまどかさんをいじめているんじゃないんですか?」
「いじめなんてしてねー! 俺たち友達だよ。なあ! ま・ど・か。現に今ヘンタイ教師の魔の手から救っただろ」
まどかは泣きそうな顔で彼らを見ると「うん」と言うしかなく、ゆっくりと頷く。
「ネットにあげたければあげればいい。別に何もしていないのだから」
「こいつほんとつまんねー! 行こうぜ!」
「さめるわー」
ユキナはまどかの腕を強引に引っ張ると教室へと戻っていく。今の子はよく分からない……。何がしたいんだ? まあ、冗談だろ。こんなこと。生徒の可愛い冗談だ。やば、まどかの事、何もしてあげてない……。
翌日職員室に入ると教頭から声をかけられた。
「あなたも分かってると思うけど、マスコミから電話がありまして、人気のない教室で生徒と二人っきりになって何をしてたんです? 暴力をふるおうとした? まさか、そんなことはないとは思いますが、SNSでうちの学校の名前と先生の実名も上がっています」
「そうですか……実はうちのクラスの子が虐められてまして、その相談を受けていただけなんです」
「ほお、生徒にどんな事を言われたんです?」
どんなこと? それを聞く前に動画を取られたのだから説明できるわけが無い。
「情けない話ですが……。生徒にはめられたんだと思います」
腕を組む教頭は、困った顔をして。
「佐々木先生……申し訳ありませんが、自宅待機でよろしいでしょうか。とりあえず、ほとぼりが冷めるまでの辛抱です。私は信じています。そんなことするわけないと。ただ、テレビ局、雑誌の記者が探っていますので、その方が先生にとってもよろしいかと……どうされますか?」
はっ? 嘘だろ。なんだよ……良かれと思ったことが全て裏目に……。万引きしてた生徒のために事件を隠して。虐められていた可能性のある子の話を聞かなければこんなことにはならなかった。
教師なのだから当たり前のことをしただけだ。それなのにこの仕打ちはなんなんだろう。呆然とするしか無かった。
「残念です。ほんとに」
万引き生徒の話をすることも出来たが、それは伏せることにした。なんて馬鹿なんだろう。そんなことをされても生徒だからなんて甘く考えていた。
教頭は猜疑心のある目で私の頭からつま先まで視線を往復させると。
「少しの辛抱です。信じてますから。佐々木先生のクラスには私から伝えときます。しばらく休むことになると。その間は私が引き継ぎますから」
言ってることは、ありがたいけど、信じてないな。
「分かりました。自宅待機ですね」
精一杯の笑顔を取り繕い、頭を下げて、職員室をあとにした。他の教師は視線を合わせないようにしているのが、辛かった。
僕は教頭からの復帰の電話を待ち、一週間ほどアパートで過ごしていたが、精神的にきつくなって、雨の降る日、名古屋の街を徘徊し、ずぶ濡れになりながら、たまたまアヒル公園の池のベンチにたどり着き、ただただ池を眺めていた。
全てを話すと目の前の彼女は寂しげな瞳で僕を見て。
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