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㉑
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くーちゃんのお祖父さんの家は歩いてすぐの場所にあった。
今どき珍しい一階建ての木造で造られた平屋だった。
「濡れたねー。タオルとか着替えとか用意するから。入って入って」
「お邪魔します」
小さい頃は実琴と一緒に彼の家によく遊びに行ったけど、この年になると人の家に入るのって妙に緊張する。
中に入るとツン、とした匂いがした。
美術室でよく嗅いだ、絵の具やニスの匂いだ。
玄関で靴を揃え、廊下を歩くと左右の壁には絵が飾られていた。鋲で留められているものからテープで簡易に貼られているものまで。画風も精巧なものから拙いものまでさまざまだった。
「すごい、絵がいっぱい」
「こんなもんじゃないよ」
タオルと着替えであるTシャツとハーフパンツを抱えくーちゃんが答える。
「その辺の置き具合は序の口。奥にはもっとところ狭しと置いてあるから。そこの部屋使って。僕はここでで着替えるから」
「うん……ってわあ!?」
彼は紳士に乙女用の個室を提供してくれたかと思うとその場でざばぁ! とワイルド且つ豪快に服を脱ぎ始めた。
「もおぉ」
「あれ? どしたの真琴ー」
時々彼の鈍感さが憎い。
私は避難するように提供された四畳間へ滑り込み着替えた。
お互い着替えを済まし長い廊下を歩く。
「長い廊下だね」
「二階がないぶん一階の面積が大きいんだよね」
廊下を先に歩く彼が突き当たりの部屋の扉を開ける。
八畳間くらいのスペースの板張りの部屋。そこにはイーゼルがいたるところに立て掛けてあった。
「わあ」
「じいちゃんが画家志望でね、ここはアトリエなんだ。結構な年まで頑張ったんだけど……結局花は咲かなくて。自分には食っていけるほど才能はなかったって、諦めたんだ」
「そうなんだ。お祖父さんが」
「でも画家の道を諦めてからもずっと絵は描いてて、とにかく絵を書くのが好きだったんだな。よく僕が遊びに来るとじいちゃんは一緒に絵を描いてくれた」
彼の祖父が描いたものだろうか、イーゼルには鮮やかに描かれた風景画が立て掛けてあった。その横のイーゼルには幼い子供が描いたような絵がある。
「思い出深いものばかりだからね。当時のまま動かさないで置いてあるんだ。 たまに積もった埃をとったりするくらい。管理が大変だよ」
くーちゃんは困ったように笑う。
廊下の壁に貼られた絵にも本格的な絵と小さい子が描いたような絵が飾られていた。拙い方の絵は幼い日の彼が描いた絵なのだろう。
「中学在学中に祖父が死んでこのアトリエが売家にするって話を両親から聞かされてね。途端に祖父との思い出が甦ってきた。祖父と絵を描く時間は宝物だった。大好きだった。勉強ばかりしていた僕だけど、絵を描くことが未だに好きなのは祖父との思い出があるからだ。祖父がいなくなった後も僕はこのアトリエで絵を描き続けたい。だから僕はエスカレーター式を止めてこっちの桜平坂高校に進学したんだ」
「そうだったんだ」
幼稚園の時、お絵かきの時間に彼が楽しそうに絵を描いていた姿を思い出す。
クレヨンを握る彼の顔は普段は浮かべないやんちゃな顔をしていて、とても生き生きとしていた。
「くーちゃんの幼稚園からのお絵描き好きはお祖父さんの影響だったんだね」
「うん。だから、高校に通う三年間だけ祖父との思い出が詰まったこのアトリエで過ごしたい。別れるための猶予がほしいって両親にお願いしたんだ。僕が高校を卒業すればこのアトリエは売られる。僕も向こうの大学に外部受験して戻る。両親との約束通りに、三年間の猶予が終わったら医学の道へ戻る……はずだった」
「はずだった?」
くーちゃんはイーゼルに飾られた風景画を指で優しくなぞる。
なぞった指の先には蒼い空に大きく架かる虹。
「考えてしまったんだ。僕のしたいことって何だって」
それは、良い学校に進学すること?
医者になること?
家業を継いで親を安心させること?
本当に今の生き方は僕のしたいことができてる?
そもそも僕は何をしたい人なんだ。
“僕は、絵を描きたい”!
「桜平坂に進学を決めて、初めて今の自分に疑問を抱いた。当然のように正しいと思った歩んでいた道がどこに到着するのかわからなくなってしまった。僕は絵を描きたかったんだ」
なぞる指先は虹からその下にある海へ。
暗い海底を照らすのは天から降り注ぐ一筋の光の梯子のみ。
「今まで僕はよく考えてなかったんだなぁ。ぼんやりとしか。本当に自分のしたいこと、素直な気持ちと向き合ってなかった」
どうせ医者以外の道は両親に反対される。
されなかったとしても世間から見れば家業を継がず奔放に生きる愚か者。
「僕が絵の道を選んでも、世間は『絵なんて』と大好きなものを否定する。他人に正解を決めつけられる」
「くーちゃんは、大好きな気持ちを否定されるのが怖かったんだね」
私の言葉に彼はまるで叱られた子供のように小さく頷いた。
「うん。だから傷つかないように、軽蔑されないように生きてきた」
「くーちゃん……くーちゃんは、いっぱい考えてきたんだね」
彼は今、必死でもがいている。
深い海の底で光を求め足掻いている。
「……真琴が羨ましかった」
「え?」
「教室で小説を書く真琴の目は輝いていた。何かに夢中になってる人の顔ってなんであんな魅力的なんだろうな。僕も自分の好きなこと、夢中になれることをしたい! そう気づかせてくれたのは真琴だよ」
「くーちゃん……」
「もちろん親には感謝してるよ。勉強も好きになれたし、中学だって楽しかった。でも、僕が一番やりたいのは絵を描くことだから」
まずは両親に僕の気持ちを伝えるところからだね、今度は力強く笑った。
「これで僕の抱える秘密はなしだ。仲直りしよう。真琴」
「うん」
差し出す手を私は握り返した。
彼の本音を聞き終え、私は彼に頭を下げた。
「話してくれてありがとう。それとごめんねくーちゃん」
「いいっていいって。もう仲良しの幼馴染に元通りだよ」
「うん……」
「真琴?」
「くーちゃん、でもね私はダメな奴なの。私は“できない方”だから」
「できない方って……」
“できない方”
私にかけられた、ずっと解けない呪いの言葉。
「私、たぶん図星をつかれて焦ったんだと思う。おかしいよね。真実を書くとかいって現実から一番大切なことから目を背けてる」
一番事実を受けとめてないのが伝えたい作者本人だなんて。
私は実琴に物語のなかでも生きていてほしい。
私が物語で明確な死の描写を書かなければ、ここで実琴は生きていける。ここで死を書いてしまったら、本当に姉が死んでしまったことになる。実琴がこの世にもういないのはわかってる。
でも、書いてしまったら私のなかで完全に実琴が死んでしまう。
認めてしまったら、今度こそ姉は消えてしまう。
「くーちゃん。自分と向き合わなくちゃいけないのは私の方なんだ」
私はまだ魂の片割れを手放せないまま動けないでいる。
「実琴は私の片割れだったの。翼だったの。片翼の鳥は空なんて飛べない。実琴がいたから私の均衡は保たれた。片翼を失ってもう一度空へ羽ばたくなんて できない。できっこない」
ぽたり、と木製の床に雫が落ちた。
「僕はさ、無理に今すぐ現実を受け入れろなんて思わない」
「え……?」
くーちゃんは言う。
「そんな時なんてふっとやってくるかもしれないし、その時が来るまで自分から苦しみにいかなくていいと思う」
でもこれだけは言わせて。
くーちゃんはじっと私を見つめる。
「真琴は片方の翼が駄目になってしまったら、もう飛ぶことを諦めてしまうの?」
「え?」
「まだ残っている半分の希望も可能性も真琴は自ら手放してしまうの?」
「だって、翼が両方揃ってたから飛べたのに……片方になったら飛べるわけないもの」
逆に実琴が一人だったら何かできたかもしれない。
でも取り残されたのは私“できない方”の私だ。
「その比べる癖、いい加減やめなよ。真琴は“できない方”なんかじゃない。姉のために十万文字も書いて世に物語を送り出せる才能を持つ凄い奴。それが僕の知ってる天野真琴だよ」
「でも」
「それに自分のせいで真琴が苦しんで前に進めないって知ったら実琴が悲しむよ」
「!!」
『私を出汁に人生サボってんじゃねー!!』
どこからか。
そんな声が聞こえた気がした。
(そうだ)
実琴ならきっとそう言う。
怒る姉の姿が安易に想像できてしまった。
「な、想像できるだろ?」
「……ありがとう。くーちゃん」
朗らかに笑う目の前の幼馴染にお礼を言った。
「でも、まだ実琴の死を認めるのはちょっと怖いや。でも、私はここで止まっちゃいけない。一歩でも前へ進んでいくよ」
「うん。もし真琴のバランスが崩れそうになったら、僕が君達を支えて運ぶ風になってあげるよ」
そう言って彼は笑顔を向けた。
大丈夫。
私は“できない方”なんかじゃないし一人じゃない。
「大丈夫。真琴は“できる”奴だよ」
私には支えてくれる幼馴染がいる。
片翼でも空を目指す。
羽ばたいてみせる。
今どき珍しい一階建ての木造で造られた平屋だった。
「濡れたねー。タオルとか着替えとか用意するから。入って入って」
「お邪魔します」
小さい頃は実琴と一緒に彼の家によく遊びに行ったけど、この年になると人の家に入るのって妙に緊張する。
中に入るとツン、とした匂いがした。
美術室でよく嗅いだ、絵の具やニスの匂いだ。
玄関で靴を揃え、廊下を歩くと左右の壁には絵が飾られていた。鋲で留められているものからテープで簡易に貼られているものまで。画風も精巧なものから拙いものまでさまざまだった。
「すごい、絵がいっぱい」
「こんなもんじゃないよ」
タオルと着替えであるTシャツとハーフパンツを抱えくーちゃんが答える。
「その辺の置き具合は序の口。奥にはもっとところ狭しと置いてあるから。そこの部屋使って。僕はここでで着替えるから」
「うん……ってわあ!?」
彼は紳士に乙女用の個室を提供してくれたかと思うとその場でざばぁ! とワイルド且つ豪快に服を脱ぎ始めた。
「もおぉ」
「あれ? どしたの真琴ー」
時々彼の鈍感さが憎い。
私は避難するように提供された四畳間へ滑り込み着替えた。
お互い着替えを済まし長い廊下を歩く。
「長い廊下だね」
「二階がないぶん一階の面積が大きいんだよね」
廊下を先に歩く彼が突き当たりの部屋の扉を開ける。
八畳間くらいのスペースの板張りの部屋。そこにはイーゼルがいたるところに立て掛けてあった。
「わあ」
「じいちゃんが画家志望でね、ここはアトリエなんだ。結構な年まで頑張ったんだけど……結局花は咲かなくて。自分には食っていけるほど才能はなかったって、諦めたんだ」
「そうなんだ。お祖父さんが」
「でも画家の道を諦めてからもずっと絵は描いてて、とにかく絵を書くのが好きだったんだな。よく僕が遊びに来るとじいちゃんは一緒に絵を描いてくれた」
彼の祖父が描いたものだろうか、イーゼルには鮮やかに描かれた風景画が立て掛けてあった。その横のイーゼルには幼い子供が描いたような絵がある。
「思い出深いものばかりだからね。当時のまま動かさないで置いてあるんだ。 たまに積もった埃をとったりするくらい。管理が大変だよ」
くーちゃんは困ったように笑う。
廊下の壁に貼られた絵にも本格的な絵と小さい子が描いたような絵が飾られていた。拙い方の絵は幼い日の彼が描いた絵なのだろう。
「中学在学中に祖父が死んでこのアトリエが売家にするって話を両親から聞かされてね。途端に祖父との思い出が甦ってきた。祖父と絵を描く時間は宝物だった。大好きだった。勉強ばかりしていた僕だけど、絵を描くことが未だに好きなのは祖父との思い出があるからだ。祖父がいなくなった後も僕はこのアトリエで絵を描き続けたい。だから僕はエスカレーター式を止めてこっちの桜平坂高校に進学したんだ」
「そうだったんだ」
幼稚園の時、お絵かきの時間に彼が楽しそうに絵を描いていた姿を思い出す。
クレヨンを握る彼の顔は普段は浮かべないやんちゃな顔をしていて、とても生き生きとしていた。
「くーちゃんの幼稚園からのお絵描き好きはお祖父さんの影響だったんだね」
「うん。だから、高校に通う三年間だけ祖父との思い出が詰まったこのアトリエで過ごしたい。別れるための猶予がほしいって両親にお願いしたんだ。僕が高校を卒業すればこのアトリエは売られる。僕も向こうの大学に外部受験して戻る。両親との約束通りに、三年間の猶予が終わったら医学の道へ戻る……はずだった」
「はずだった?」
くーちゃんはイーゼルに飾られた風景画を指で優しくなぞる。
なぞった指の先には蒼い空に大きく架かる虹。
「考えてしまったんだ。僕のしたいことって何だって」
それは、良い学校に進学すること?
医者になること?
家業を継いで親を安心させること?
本当に今の生き方は僕のしたいことができてる?
そもそも僕は何をしたい人なんだ。
“僕は、絵を描きたい”!
「桜平坂に進学を決めて、初めて今の自分に疑問を抱いた。当然のように正しいと思った歩んでいた道がどこに到着するのかわからなくなってしまった。僕は絵を描きたかったんだ」
なぞる指先は虹からその下にある海へ。
暗い海底を照らすのは天から降り注ぐ一筋の光の梯子のみ。
「今まで僕はよく考えてなかったんだなぁ。ぼんやりとしか。本当に自分のしたいこと、素直な気持ちと向き合ってなかった」
どうせ医者以外の道は両親に反対される。
されなかったとしても世間から見れば家業を継がず奔放に生きる愚か者。
「僕が絵の道を選んでも、世間は『絵なんて』と大好きなものを否定する。他人に正解を決めつけられる」
「くーちゃんは、大好きな気持ちを否定されるのが怖かったんだね」
私の言葉に彼はまるで叱られた子供のように小さく頷いた。
「うん。だから傷つかないように、軽蔑されないように生きてきた」
「くーちゃん……くーちゃんは、いっぱい考えてきたんだね」
彼は今、必死でもがいている。
深い海の底で光を求め足掻いている。
「……真琴が羨ましかった」
「え?」
「教室で小説を書く真琴の目は輝いていた。何かに夢中になってる人の顔ってなんであんな魅力的なんだろうな。僕も自分の好きなこと、夢中になれることをしたい! そう気づかせてくれたのは真琴だよ」
「くーちゃん……」
「もちろん親には感謝してるよ。勉強も好きになれたし、中学だって楽しかった。でも、僕が一番やりたいのは絵を描くことだから」
まずは両親に僕の気持ちを伝えるところからだね、今度は力強く笑った。
「これで僕の抱える秘密はなしだ。仲直りしよう。真琴」
「うん」
差し出す手を私は握り返した。
彼の本音を聞き終え、私は彼に頭を下げた。
「話してくれてありがとう。それとごめんねくーちゃん」
「いいっていいって。もう仲良しの幼馴染に元通りだよ」
「うん……」
「真琴?」
「くーちゃん、でもね私はダメな奴なの。私は“できない方”だから」
「できない方って……」
“できない方”
私にかけられた、ずっと解けない呪いの言葉。
「私、たぶん図星をつかれて焦ったんだと思う。おかしいよね。真実を書くとかいって現実から一番大切なことから目を背けてる」
一番事実を受けとめてないのが伝えたい作者本人だなんて。
私は実琴に物語のなかでも生きていてほしい。
私が物語で明確な死の描写を書かなければ、ここで実琴は生きていける。ここで死を書いてしまったら、本当に姉が死んでしまったことになる。実琴がこの世にもういないのはわかってる。
でも、書いてしまったら私のなかで完全に実琴が死んでしまう。
認めてしまったら、今度こそ姉は消えてしまう。
「くーちゃん。自分と向き合わなくちゃいけないのは私の方なんだ」
私はまだ魂の片割れを手放せないまま動けないでいる。
「実琴は私の片割れだったの。翼だったの。片翼の鳥は空なんて飛べない。実琴がいたから私の均衡は保たれた。片翼を失ってもう一度空へ羽ばたくなんて できない。できっこない」
ぽたり、と木製の床に雫が落ちた。
「僕はさ、無理に今すぐ現実を受け入れろなんて思わない」
「え……?」
くーちゃんは言う。
「そんな時なんてふっとやってくるかもしれないし、その時が来るまで自分から苦しみにいかなくていいと思う」
でもこれだけは言わせて。
くーちゃんはじっと私を見つめる。
「真琴は片方の翼が駄目になってしまったら、もう飛ぶことを諦めてしまうの?」
「え?」
「まだ残っている半分の希望も可能性も真琴は自ら手放してしまうの?」
「だって、翼が両方揃ってたから飛べたのに……片方になったら飛べるわけないもの」
逆に実琴が一人だったら何かできたかもしれない。
でも取り残されたのは私“できない方”の私だ。
「その比べる癖、いい加減やめなよ。真琴は“できない方”なんかじゃない。姉のために十万文字も書いて世に物語を送り出せる才能を持つ凄い奴。それが僕の知ってる天野真琴だよ」
「でも」
「それに自分のせいで真琴が苦しんで前に進めないって知ったら実琴が悲しむよ」
「!!」
『私を出汁に人生サボってんじゃねー!!』
どこからか。
そんな声が聞こえた気がした。
(そうだ)
実琴ならきっとそう言う。
怒る姉の姿が安易に想像できてしまった。
「な、想像できるだろ?」
「……ありがとう。くーちゃん」
朗らかに笑う目の前の幼馴染にお礼を言った。
「でも、まだ実琴の死を認めるのはちょっと怖いや。でも、私はここで止まっちゃいけない。一歩でも前へ進んでいくよ」
「うん。もし真琴のバランスが崩れそうになったら、僕が君達を支えて運ぶ風になってあげるよ」
そう言って彼は笑顔を向けた。
大丈夫。
私は“できない方”なんかじゃないし一人じゃない。
「大丈夫。真琴は“できる”奴だよ」
私には支えてくれる幼馴染がいる。
片翼でも空を目指す。
羽ばたいてみせる。
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