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第二部
公爵家のお茶会にてⅦ
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若草色のドレスに身を包み口元には扇子を持つ姿はとても優雅で公爵令嬢そのもの。にこやかな微笑みを湛えたビビアン様に少々面食らいながら見つめてしまいました。
学園ではお見かけはするものの話したことはありませんでした。ですから、親し気にニコニコと話しかけられると戸惑ってしまいます。
「しょうがないわねえ。フローラ、いいかしら?」
ディアナが仕方なくといった体で私に同意を求めます。もしかして彼女と知り合い?
「え……ええ。どうぞ」
この場で断る理由もないので頷きました。
「そういえば、フローラ様は初めてでしたわよね。あっ。お立ちにならなくてもよろしいわ」
ビビアン様に挨拶をするために立ち上がろうとした私を制すると
「わたくし、シュミット公爵家の娘ビビアンと申します。これから、仲良くしてくださると嬉しいわ」
軽く礼を取り自己紹介をして下さいました。
「私はブルーバーグ侯爵家の娘フローラでございます。こちらの方こそよろしくお願い致します」
私は立ち上がるとカーテシーをして挨拶を返しました。
ビビアン様は座ったままでと言われましたけど、あちらは公爵家、私よりも爵位は上ですものね。
「フローラ様に、聞きたいことがありましたの」
私にですか?
「ビビアン様。何かお飲み物でも持っていらっしゃったら?」
椅子に座りかけたビビアン様にディアナが声をかけます。
私たちのテーブルの料理や飲み物を見て納得したようにカウンターへと向かっていきました。
「ビビアン様の分も頼んであげたらよかったのに」
メイドに頼めばすぐに届けてくれるでしょう。わざわざ彼女の手を煩わせることもないのではないかしら。
「ここはセルフサービスなのだから、自分で足を運ぶことが基本でしょう。いいのよ。色々とわがままを言われても困るから。それに見てみて。楽しそうにしてるじゃない?」
奥のカウンターへと目を向けると、料理や飲み物をあっちこっちと眺めて品定めに夢中のよう。ちょっとかわいらしいと思ってしまったわ。
「ところで、ディアナはビビアン様とは知り合いなの?」
「ええ。幼馴染ではないけれど、昔馴染みって所かしら。それぞれの公爵家とは元々家同士の交流があるから、小さい頃は年に何回かは会って一緒に遊んでいたわね。でも、その程度よ」
「……そうなのね」
思っていたよりもドライな返しに言葉が詰まってしまったわ。
私にだけ挨拶をされたからディアナとは知り合いだろうと見当はついたのだけれど、幼馴染も昔馴染みも意味はそんなに変わらないのでは……
区別をつけたがっている気持ちは初対面の私にはわからないわ。
公爵家は王族との縁も深いから、マクレーン伯爵家と交流があっても不思議ではありませんものね。
王太子妃であるアンジェラ様は、お茶会の主催者であるローシャス公爵家出身。
ユージーン第二王子殿下は、デルパール公爵家の令嬢と婚約。
ディアナは、ハイスター公爵と婚約。
四大公爵家の内、三家は王族と縁談がまとまっています。
「親しくするのもほどほどの方がよいわよ。何事も距離感が大事ですからね」
「距離感?」
「そう。彼女は一言でいうと困ったちゃん、なのよね。扱いやすくもあり、扱いづらくもあり……」
なんとも曖昧な忠告。
そんなに厄介な相手なのかしら?
私と違ってそつなく人付き合いもこなせているディアナでも苦手な相手がいるなんて。思わず、まじまじとディアナの顔を見てしまったわ。
「いろんな人がいるわよね。まあ、いつものフローラで大丈夫よ。わたしもいるしね」
ディアナは肩を竦めてうっすらと笑みを浮かべました。
これは心して対応しないといけないかもしれないわ。ちょっと、身構えつつ待っているとトレイを抱えたビビアン様がやってきました。
目の前に下ろされたトレイにのっていたオレンジ色の飲み物が目に飛び込んできました。
学園ではお見かけはするものの話したことはありませんでした。ですから、親し気にニコニコと話しかけられると戸惑ってしまいます。
「しょうがないわねえ。フローラ、いいかしら?」
ディアナが仕方なくといった体で私に同意を求めます。もしかして彼女と知り合い?
「え……ええ。どうぞ」
この場で断る理由もないので頷きました。
「そういえば、フローラ様は初めてでしたわよね。あっ。お立ちにならなくてもよろしいわ」
ビビアン様に挨拶をするために立ち上がろうとした私を制すると
「わたくし、シュミット公爵家の娘ビビアンと申します。これから、仲良くしてくださると嬉しいわ」
軽く礼を取り自己紹介をして下さいました。
「私はブルーバーグ侯爵家の娘フローラでございます。こちらの方こそよろしくお願い致します」
私は立ち上がるとカーテシーをして挨拶を返しました。
ビビアン様は座ったままでと言われましたけど、あちらは公爵家、私よりも爵位は上ですものね。
「フローラ様に、聞きたいことがありましたの」
私にですか?
「ビビアン様。何かお飲み物でも持っていらっしゃったら?」
椅子に座りかけたビビアン様にディアナが声をかけます。
私たちのテーブルの料理や飲み物を見て納得したようにカウンターへと向かっていきました。
「ビビアン様の分も頼んであげたらよかったのに」
メイドに頼めばすぐに届けてくれるでしょう。わざわざ彼女の手を煩わせることもないのではないかしら。
「ここはセルフサービスなのだから、自分で足を運ぶことが基本でしょう。いいのよ。色々とわがままを言われても困るから。それに見てみて。楽しそうにしてるじゃない?」
奥のカウンターへと目を向けると、料理や飲み物をあっちこっちと眺めて品定めに夢中のよう。ちょっとかわいらしいと思ってしまったわ。
「ところで、ディアナはビビアン様とは知り合いなの?」
「ええ。幼馴染ではないけれど、昔馴染みって所かしら。それぞれの公爵家とは元々家同士の交流があるから、小さい頃は年に何回かは会って一緒に遊んでいたわね。でも、その程度よ」
「……そうなのね」
思っていたよりもドライな返しに言葉が詰まってしまったわ。
私にだけ挨拶をされたからディアナとは知り合いだろうと見当はついたのだけれど、幼馴染も昔馴染みも意味はそんなに変わらないのでは……
区別をつけたがっている気持ちは初対面の私にはわからないわ。
公爵家は王族との縁も深いから、マクレーン伯爵家と交流があっても不思議ではありませんものね。
王太子妃であるアンジェラ様は、お茶会の主催者であるローシャス公爵家出身。
ユージーン第二王子殿下は、デルパール公爵家の令嬢と婚約。
ディアナは、ハイスター公爵と婚約。
四大公爵家の内、三家は王族と縁談がまとまっています。
「親しくするのもほどほどの方がよいわよ。何事も距離感が大事ですからね」
「距離感?」
「そう。彼女は一言でいうと困ったちゃん、なのよね。扱いやすくもあり、扱いづらくもあり……」
なんとも曖昧な忠告。
そんなに厄介な相手なのかしら?
私と違ってそつなく人付き合いもこなせているディアナでも苦手な相手がいるなんて。思わず、まじまじとディアナの顔を見てしまったわ。
「いろんな人がいるわよね。まあ、いつものフローラで大丈夫よ。わたしもいるしね」
ディアナは肩を竦めてうっすらと笑みを浮かべました。
これは心して対応しないといけないかもしれないわ。ちょっと、身構えつつ待っているとトレイを抱えたビビアン様がやってきました。
目の前に下ろされたトレイにのっていたオレンジ色の飲み物が目に飛び込んできました。
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