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#2 砦の七掌陣 Part3
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砦がカードに戻る。
それを拾う繁風。
「(しかし、ヒグマといい今回の砦といい、七掌陣とのゲームは通常のものより衝撃が強い。
起動の威力調整機能を使用してもここまでとは…。
一刻も早く奴らを退治しなければ…)」
**********
<村>
「こちらです」
村人に【避灼山脈】のカードを見せる。
「おお、では本当に」
「はい。
これでみなさんも、以前のような生活が取り戻せるはずです」
「兄ちゃんのおかげだからね」
「やめろ風瓜。恩着せがましいぞ」
**********
二人はしばらくの間、宿に泊まって休んだ。
村人は好きなだけ滞在するように言ってくれたが、繁風は必要最低限にするように努めた。
とにかく開闢に七掌陣が渡ってはならない。
急がなければ…。
「明日にでも出発しよう」
「え~、もう?」
「十分休憩できただろ?」
「そうだけどさ~」
「今は一刻も早く七掌陣を倒すことを考えよう」
「真面目だね、兄ちゃんは」
「当たり前だ。
元々遊びの旅じゃない」
村の人々に礼を言って回り、二人は七掌陣探しを再開した。
それから数日後。
ある男が村を訪ねる。
「あ、あなたは…」
人々はその男の姿に驚きを隠せない。
皆の前に現れたのは、五仕旗の生みの親である舵掛博士だったのだ。
「なぜあなたがこのような村に?」
「開闢が探しているという七掌陣と呼ばれるモンスターを探すためです。
この村も被害にあったという情報を聞きまして」
「そうでしたか。それはありがとうございます。
ただ、心配には及びません。
ほんの数日までこの村に滞在していた青年が、我々を助けてくれました」
「青年?」
「はい。
果地繁風と名乗るその青年は、まだ小さい弟を連れてこの村にやってきた。
既に一体の七掌陣を倒していると言っていました。
さらに山に住み我々を困らせていたモンスターも退治してくれまして、なんとお礼を申し上げたらよいか。
少し休んだだけで出て行ってしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいです」
「そうでしたか。
私は五仕旗の生みの親として恥ずかしい。
カードを開発し皆の生活に貢献できたと安堵していたが、危険なモンスターの対処はできていなかった。
詰めが甘かったようです」
「あなたに責任はありません。
あなたがカードや起動を生み出していなければ、もっと大きな被害が出ていたかもしれない。
あなたは私達人間とモンスターを繋ぐ絆とも呼べるカードを生み出してくださった。
起動があれば、襲いくるモンスターから身を守ることもできる。
それだけでも十分に我々は助けられていますよ」
他の村人も次々に賛同する。
「そう言っていただけると救われます…」
**********
<砂丘>
果てしなく広がる砂の地。
一人の青年と一体の怪鳥がそこにいた。
「お前か。この辺りの人間を攻撃しているというモンスターは」
「だったら何だ?」
その青年は怪鳥に問いただす。
「君には大人しくしてもらおう」
続く…
それを拾う繁風。
「(しかし、ヒグマといい今回の砦といい、七掌陣とのゲームは通常のものより衝撃が強い。
起動の威力調整機能を使用してもここまでとは…。
一刻も早く奴らを退治しなければ…)」
**********
<村>
「こちらです」
村人に【避灼山脈】のカードを見せる。
「おお、では本当に」
「はい。
これでみなさんも、以前のような生活が取り戻せるはずです」
「兄ちゃんのおかげだからね」
「やめろ風瓜。恩着せがましいぞ」
**********
二人はしばらくの間、宿に泊まって休んだ。
村人は好きなだけ滞在するように言ってくれたが、繁風は必要最低限にするように努めた。
とにかく開闢に七掌陣が渡ってはならない。
急がなければ…。
「明日にでも出発しよう」
「え~、もう?」
「十分休憩できただろ?」
「そうだけどさ~」
「今は一刻も早く七掌陣を倒すことを考えよう」
「真面目だね、兄ちゃんは」
「当たり前だ。
元々遊びの旅じゃない」
村の人々に礼を言って回り、二人は七掌陣探しを再開した。
それから数日後。
ある男が村を訪ねる。
「あ、あなたは…」
人々はその男の姿に驚きを隠せない。
皆の前に現れたのは、五仕旗の生みの親である舵掛博士だったのだ。
「なぜあなたがこのような村に?」
「開闢が探しているという七掌陣と呼ばれるモンスターを探すためです。
この村も被害にあったという情報を聞きまして」
「そうでしたか。それはありがとうございます。
ただ、心配には及びません。
ほんの数日までこの村に滞在していた青年が、我々を助けてくれました」
「青年?」
「はい。
果地繁風と名乗るその青年は、まだ小さい弟を連れてこの村にやってきた。
既に一体の七掌陣を倒していると言っていました。
さらに山に住み我々を困らせていたモンスターも退治してくれまして、なんとお礼を申し上げたらよいか。
少し休んだだけで出て行ってしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいです」
「そうでしたか。
私は五仕旗の生みの親として恥ずかしい。
カードを開発し皆の生活に貢献できたと安堵していたが、危険なモンスターの対処はできていなかった。
詰めが甘かったようです」
「あなたに責任はありません。
あなたがカードや起動を生み出していなければ、もっと大きな被害が出ていたかもしれない。
あなたは私達人間とモンスターを繋ぐ絆とも呼べるカードを生み出してくださった。
起動があれば、襲いくるモンスターから身を守ることもできる。
それだけでも十分に我々は助けられていますよ」
他の村人も次々に賛同する。
「そう言っていただけると救われます…」
**********
<砂丘>
果てしなく広がる砂の地。
一人の青年と一体の怪鳥がそこにいた。
「お前か。この辺りの人間を攻撃しているというモンスターは」
「だったら何だ?」
その青年は怪鳥に問いただす。
「君には大人しくしてもらおう」
続く…
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