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§2 六繋天回収編
#8 瞳彩 Part1
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<病院>
理羽は意識を失った瀬山の見舞いに来ていた。
ノック音の後で、壮人が入室する。
「どうですか? 瀬山さん」
「壮人君。
ダメ。ずっとこのままだよ」
「そうですか…」
**********
<保管庫>
エントランスから少し進むと地下へと続く長い階段があった。
深い地下へ、皆で下りていく。
やがて大きな扉が現れた。
「ちょっと待って。今開けるから」
風増がそう言って、扉にパスのようなものをかざす。
広々とした部屋の中に足を踏み入れると、薄暗い空間の奥に、巨大な装置が設置されていた。
風増がそれを指差す。
「あの中に、六繋天は封印されているんだ」
風増が装置の入力画面に何かを打ち込むと、半透明の分厚いケースに入れられた【ケルベクロスブリード】が出てきた。
カードには鎖のようなものが巻かれている。
**********
<病院>
「あ…」
壮人が声を出す。
「どうかした?」
「今、瀬山さんが動いたような」
「ホント?」
「うぅ…」
二人が話していると、瀬山が声を出して目覚めた。
「瀬山さん!」
「私は…そうか。
層上充快との勝負の後…」
理羽と壮人は5枚の六繋天が充快達に渡ったことを話した。
「そうか、二人ともご苦労だった」
「それと、金貨も意識を取り戻したようで…」
「金貨も?」
「うん。でも、前と違って落ち着いてるみたいで。
まるで別人みたいらしいよ」
「…彼は今どこに?」
「それは分からないけど…」
瀬山の表情が変わる。
「金貨がまだ六繋天回収を諦めていないのなら、層上充快達の下に向かっている可能性が高い」
「でも彼はもう…」
「いいから探し出すんだ!」
冷静な瀬山にしては珍しい態度に二人は驚く。
「それなら、私は知介君に連絡してみる。
何か知ってるかも…」
**********
<保管庫の地下>
「それじゃあ、始めるよ」
「ああ」
その時、知介のケータイが鳴った。
「あ、理羽からだ。どうしたんだろ?」
「知介さん、出ていいよ。俺達、準備してるから」
「頼む。
もしもし?」
「あっ、知介君。金貨翼の居場所知らない?
意識が戻ったみたいなの。
瀬山さんに探してほしいって言われて」
「居場所もなにも、今俺達と一緒にいるけど」
「居るって」
瀬山に伝える理羽。
「代わってくれ」
瀬山がケータイを受け取る。
「瀬山だ。なぜ彼が君達とともにいる?」
「なんか、今までしてきたことの詫びに、俺達に協力したいって言って、そんで…」
「金貨翼はそれ程までに律儀な人間ではない!」
「え…」
「お、おい!」
風増のその声で知介が振り返ると、金貨の手には【ケルベクロスブリード】のカードが握られていた。
笑い出す金貨。
「まさか、ここまで簡単にいくとはな!」
金貨が【ケルベクロスブリード】のカードをかざすと、三人は部屋の隅へ飛ばされた。
「うわっ!」
**********
<病院>
「おい!どうした?」
「…」
「どうしたの?」
「返事がない…」
通信は途絶えた。
**********
<保管庫の地下>
「ご苦労だった、金貨よ」
金貨の方から声がする。
「待たせたな瞳彩」
「瞳彩? この声が…」
「瞳彩、お前の言うことに従って正解だったぜ。瀬山はしくじりやがったが、結果的に能天気なこいつらから六繋天をふんだくれたわけだからな」
「お前…最初からこれが目的だったのか!」
「気づくの遅ぇんだよ、バカどもがよぉ!
俺が素直にお前らと組むとでも思ってたのか?」
「てめぇ…」
「俺が休んでる間、六繋天を集めといてくれてありがとな!」
「散り散りになった我が力…6枚の六繋天。
その気配を感じる…
金貨の悪意が最上級に達している今なら…
集え! 我の下に!」
強い風が起こる。
「う!」
それは皆が持っていたカードの中から、六繋天をさらっていった。
「【ドランチャー・サブマリンド】!」
「くそっ…」
「【蒼穹の弓獅】!」
「くっ…」
「【hyper tight thrust poisonous : //】、【烈突牝牛クリムゾン】!」
「うっ…」
「【ケルベクロスブリード】、【暗眩統率者】!」
6枚のカードが金貨の手に集った。
「これで全ての六繋天は我が下に!」
「これでこの力は俺のもの…。
始めようぜ瞳彩!」
「ああ。だがその前に…
もはや貴様は我に必要ない!」
「なに!?」
「消え失せろ!」
「うっ!」
金貨が倒れ込む。
「あっ!」
金貨から黒いオーラのようなものが流れ出ると、それらは一箇所に集まり、ローブを纏った人の形になった。
「これが、瞳彩なのか…」
「さぁ、六繋天よ!」
6枚が宙に浮く。
それらは点滅し、次第に輝きを増していった。
「あいつ、元の力を取り戻すつもりか…」
「ここまでか…」
「見ているがよい。憎き人間よ。
これで我に完全な力が…」
しかし、瞳彩の意に反して、六繋天の光は鈍くなっていった。
「なに?」
6枚あったカードはいつの間にか2枚になっている。
そのうちの1枚は充快の下に向かった。
「これは!?」
そのカードをデッキに入れる充快。
ひらひらと落ちていくもう1枚のカード。
充快がそれを拾うと、充快のデッキケースのカードが反応した。
そのカードを取り出す。
「(これって…)」
「おのれ…
こうなれば五仕旗で、そのカードを手に入れるのみ。
層上充快。勝負だ」
「分かった。
お前はここで倒す」
「五仕旗…」
「3rd Generation!」
理羽は意識を失った瀬山の見舞いに来ていた。
ノック音の後で、壮人が入室する。
「どうですか? 瀬山さん」
「壮人君。
ダメ。ずっとこのままだよ」
「そうですか…」
**********
<保管庫>
エントランスから少し進むと地下へと続く長い階段があった。
深い地下へ、皆で下りていく。
やがて大きな扉が現れた。
「ちょっと待って。今開けるから」
風増がそう言って、扉にパスのようなものをかざす。
広々とした部屋の中に足を踏み入れると、薄暗い空間の奥に、巨大な装置が設置されていた。
風増がそれを指差す。
「あの中に、六繋天は封印されているんだ」
風増が装置の入力画面に何かを打ち込むと、半透明の分厚いケースに入れられた【ケルベクロスブリード】が出てきた。
カードには鎖のようなものが巻かれている。
**********
<病院>
「あ…」
壮人が声を出す。
「どうかした?」
「今、瀬山さんが動いたような」
「ホント?」
「うぅ…」
二人が話していると、瀬山が声を出して目覚めた。
「瀬山さん!」
「私は…そうか。
層上充快との勝負の後…」
理羽と壮人は5枚の六繋天が充快達に渡ったことを話した。
「そうか、二人ともご苦労だった」
「それと、金貨も意識を取り戻したようで…」
「金貨も?」
「うん。でも、前と違って落ち着いてるみたいで。
まるで別人みたいらしいよ」
「…彼は今どこに?」
「それは分からないけど…」
瀬山の表情が変わる。
「金貨がまだ六繋天回収を諦めていないのなら、層上充快達の下に向かっている可能性が高い」
「でも彼はもう…」
「いいから探し出すんだ!」
冷静な瀬山にしては珍しい態度に二人は驚く。
「それなら、私は知介君に連絡してみる。
何か知ってるかも…」
**********
<保管庫の地下>
「それじゃあ、始めるよ」
「ああ」
その時、知介のケータイが鳴った。
「あ、理羽からだ。どうしたんだろ?」
「知介さん、出ていいよ。俺達、準備してるから」
「頼む。
もしもし?」
「あっ、知介君。金貨翼の居場所知らない?
意識が戻ったみたいなの。
瀬山さんに探してほしいって言われて」
「居場所もなにも、今俺達と一緒にいるけど」
「居るって」
瀬山に伝える理羽。
「代わってくれ」
瀬山がケータイを受け取る。
「瀬山だ。なぜ彼が君達とともにいる?」
「なんか、今までしてきたことの詫びに、俺達に協力したいって言って、そんで…」
「金貨翼はそれ程までに律儀な人間ではない!」
「え…」
「お、おい!」
風増のその声で知介が振り返ると、金貨の手には【ケルベクロスブリード】のカードが握られていた。
笑い出す金貨。
「まさか、ここまで簡単にいくとはな!」
金貨が【ケルベクロスブリード】のカードをかざすと、三人は部屋の隅へ飛ばされた。
「うわっ!」
**********
<病院>
「おい!どうした?」
「…」
「どうしたの?」
「返事がない…」
通信は途絶えた。
**********
<保管庫の地下>
「ご苦労だった、金貨よ」
金貨の方から声がする。
「待たせたな瞳彩」
「瞳彩? この声が…」
「瞳彩、お前の言うことに従って正解だったぜ。瀬山はしくじりやがったが、結果的に能天気なこいつらから六繋天をふんだくれたわけだからな」
「お前…最初からこれが目的だったのか!」
「気づくの遅ぇんだよ、バカどもがよぉ!
俺が素直にお前らと組むとでも思ってたのか?」
「てめぇ…」
「俺が休んでる間、六繋天を集めといてくれてありがとな!」
「散り散りになった我が力…6枚の六繋天。
その気配を感じる…
金貨の悪意が最上級に達している今なら…
集え! 我の下に!」
強い風が起こる。
「う!」
それは皆が持っていたカードの中から、六繋天をさらっていった。
「【ドランチャー・サブマリンド】!」
「くそっ…」
「【蒼穹の弓獅】!」
「くっ…」
「【hyper tight thrust poisonous : //】、【烈突牝牛クリムゾン】!」
「うっ…」
「【ケルベクロスブリード】、【暗眩統率者】!」
6枚のカードが金貨の手に集った。
「これで全ての六繋天は我が下に!」
「これでこの力は俺のもの…。
始めようぜ瞳彩!」
「ああ。だがその前に…
もはや貴様は我に必要ない!」
「なに!?」
「消え失せろ!」
「うっ!」
金貨が倒れ込む。
「あっ!」
金貨から黒いオーラのようなものが流れ出ると、それらは一箇所に集まり、ローブを纏った人の形になった。
「これが、瞳彩なのか…」
「さぁ、六繋天よ!」
6枚が宙に浮く。
それらは点滅し、次第に輝きを増していった。
「あいつ、元の力を取り戻すつもりか…」
「ここまでか…」
「見ているがよい。憎き人間よ。
これで我に完全な力が…」
しかし、瞳彩の意に反して、六繋天の光は鈍くなっていった。
「なに?」
6枚あったカードはいつの間にか2枚になっている。
そのうちの1枚は充快の下に向かった。
「これは!?」
そのカードをデッキに入れる充快。
ひらひらと落ちていくもう1枚のカード。
充快がそれを拾うと、充快のデッキケースのカードが反応した。
そのカードを取り出す。
「(これって…)」
「おのれ…
こうなれば五仕旗で、そのカードを手に入れるのみ。
層上充快。勝負だ」
「分かった。
お前はここで倒す」
「五仕旗…」
「3rd Generation!」
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