42 / 56
§2 六繋天回収編
#5 再戦 Part3
しおりを挟む
充快チーム3勝 vs 瀬山チーム3勝
「これで3対3。勝負はわからなくなった」
「(これで最終戦は、俺が出ることに…。
それよりも、瀬山さんが言ってたこと。
六繋天って何だ?
この世を作り変えるほどの力があるって、じゃあ俺は、いや、俺だけじゃない。今まで戦ってきた人達はみんな、そのために利用されてたってことか?
俺は、そんな力のために戦っていいのか…)」
「そこで見ているんだろう?」
「!」
瀬山が壮人の方を見る。
壮人は観念して姿を現した。
「あっ、お前! 守り神と戦った時の…」
「君にはここで、最終戦を行なってもらおう」
「…」
「さぁ、そちらは誰が出る?」
話し合う充快たち。
「俺が行く」
風増が前に出る。
「鞍端…」
「層上にも、知介さんにも、俺個人の事情でたくさん助けてもらった。だから、最後くらいは俺が決着をつけるよ」
「うん。頼んだよ」
「任せたぞ。風増」
「どうやら決まったようだな。澄湧壮人、準備しろ」
「分かりました。でも…」
壮人は瀬山に背を向け歩いて行くと、充快たちの所で立ち止まり振り返った。
「俺は、こちら側につきます」
「!?」
「えっ、どういうこと?
だってこの人、敵じゃないの?」
「さっきのゲームであなたの野望は聞いていました。
たとえ気に入らない人間がいたとしても、その人達を消し去ることには賛同できない。
これ以上、あなたに協力することはできません」
瀬山は黙って聴いている。
「俺はあの社で、守り神と彼らの勝負を見ていました。
俺はあの時、勝負から逃げ出した。
だけど、二人は心折れかけた局面でも、最後まで勝負を捨てはしなかった。
この一連の戦いに、世界を左右する程の力がかかっているのだとしたら、俺はこの人達に、その力の行く末を任せたい」
風増が話す。
「俺達は、六繋天を回収して眠らせることが目的なんだ。
その力を使って、世界を良くしようってわけじゃない」
「それでも構わない。
ただ俺は、誰かに傷ついてほしくもないし、誰かに他人を傷つけるようなことをしてほしくもないんだ。
特に瀬山さんは、将来に悩んでいた俺を救ってくれたから」
知介が入る。
「でもよ、こいつは元々あっち側にいたんだぞ。
わざと負けて、向こうを勝たせるための罠かもしれないじゃねぇか」
「大丈夫じゃない?」
「充快…」
「なんとなくだけど、そんなつもりで入ってきたんじゃない気がする。
だってそんな汚い手を使うなら、最初から7回勝負になんてする必要ないじゃん。
こっちに仲間を送り込んで俺達に信用させてから、たった1回の勝負にわざと負けさせて、決着をつけることもできるんだからね」
「俺も信用していいかなと思う。
この人、人を騙す芝居ができる感じもしないし」
「風増…。
ああ、分かった。お前達がそこまで言うなら、俺も信用するよ」
「ありがとう」
瀬山が口を開く。
「そうか。君の考えは分かった。
それでは最後の勝負、そちらは君が、こちらは…」
そこまで言うと、瀬山はふらつき、その場に倒れ込んだ。
「!?」
「お、おい!? どうしたんだ!?」
瀬山は動かない。
「最後は私が出る」
その声の主は、倒れた瀬山の向こう側から歩いてくる。
「!?」
知介は驚きを隠せない。
「理羽!?」
「えっ、知介さん、知ってる人?」
「ああ…」
「久しぶりだね、知介君」
壮人に話す理羽。
「この人がこうなった以上、最後の相手は私が務める」
続く…
**********
「すごい展開になったね」
「まさかあいつが、俺達の味方をするなんてな。
なんとしても勝ってもらわないと」
「その相手が理羽って、一体どうなってんだ?」
次回 この世がどうなろうと
「これで3対3。勝負はわからなくなった」
「(これで最終戦は、俺が出ることに…。
それよりも、瀬山さんが言ってたこと。
六繋天って何だ?
この世を作り変えるほどの力があるって、じゃあ俺は、いや、俺だけじゃない。今まで戦ってきた人達はみんな、そのために利用されてたってことか?
俺は、そんな力のために戦っていいのか…)」
「そこで見ているんだろう?」
「!」
瀬山が壮人の方を見る。
壮人は観念して姿を現した。
「あっ、お前! 守り神と戦った時の…」
「君にはここで、最終戦を行なってもらおう」
「…」
「さぁ、そちらは誰が出る?」
話し合う充快たち。
「俺が行く」
風増が前に出る。
「鞍端…」
「層上にも、知介さんにも、俺個人の事情でたくさん助けてもらった。だから、最後くらいは俺が決着をつけるよ」
「うん。頼んだよ」
「任せたぞ。風増」
「どうやら決まったようだな。澄湧壮人、準備しろ」
「分かりました。でも…」
壮人は瀬山に背を向け歩いて行くと、充快たちの所で立ち止まり振り返った。
「俺は、こちら側につきます」
「!?」
「えっ、どういうこと?
だってこの人、敵じゃないの?」
「さっきのゲームであなたの野望は聞いていました。
たとえ気に入らない人間がいたとしても、その人達を消し去ることには賛同できない。
これ以上、あなたに協力することはできません」
瀬山は黙って聴いている。
「俺はあの社で、守り神と彼らの勝負を見ていました。
俺はあの時、勝負から逃げ出した。
だけど、二人は心折れかけた局面でも、最後まで勝負を捨てはしなかった。
この一連の戦いに、世界を左右する程の力がかかっているのだとしたら、俺はこの人達に、その力の行く末を任せたい」
風増が話す。
「俺達は、六繋天を回収して眠らせることが目的なんだ。
その力を使って、世界を良くしようってわけじゃない」
「それでも構わない。
ただ俺は、誰かに傷ついてほしくもないし、誰かに他人を傷つけるようなことをしてほしくもないんだ。
特に瀬山さんは、将来に悩んでいた俺を救ってくれたから」
知介が入る。
「でもよ、こいつは元々あっち側にいたんだぞ。
わざと負けて、向こうを勝たせるための罠かもしれないじゃねぇか」
「大丈夫じゃない?」
「充快…」
「なんとなくだけど、そんなつもりで入ってきたんじゃない気がする。
だってそんな汚い手を使うなら、最初から7回勝負になんてする必要ないじゃん。
こっちに仲間を送り込んで俺達に信用させてから、たった1回の勝負にわざと負けさせて、決着をつけることもできるんだからね」
「俺も信用していいかなと思う。
この人、人を騙す芝居ができる感じもしないし」
「風増…。
ああ、分かった。お前達がそこまで言うなら、俺も信用するよ」
「ありがとう」
瀬山が口を開く。
「そうか。君の考えは分かった。
それでは最後の勝負、そちらは君が、こちらは…」
そこまで言うと、瀬山はふらつき、その場に倒れ込んだ。
「!?」
「お、おい!? どうしたんだ!?」
瀬山は動かない。
「最後は私が出る」
その声の主は、倒れた瀬山の向こう側から歩いてくる。
「!?」
知介は驚きを隠せない。
「理羽!?」
「えっ、知介さん、知ってる人?」
「ああ…」
「久しぶりだね、知介君」
壮人に話す理羽。
「この人がこうなった以上、最後の相手は私が務める」
続く…
**********
「すごい展開になったね」
「まさかあいつが、俺達の味方をするなんてな。
なんとしても勝ってもらわないと」
「その相手が理羽って、一体どうなってんだ?」
次回 この世がどうなろうと
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
五仕旗 Media=II Generation
旋架
ファンタジー
人とモンスターがともに生き、支え合うその時代。
人がモンスターをカード化し、力を借りるようになった時代から長い時が流れ、両者の関係はさらに強くなった。
五仕旗。
モンスターを召喚し競い合うそのカードゲームは、人とモンスターの生活の一部として当然のものになっていた。
流導類清は、とある目的のため、モンスター達とともにそれぞれの国を巡る旅をしていた。
五仕旗 Primal Generation
旋架
ファンタジー
人とモンスターがともに生きるその時代。
人はモンスターをカード化して力を借り、モンスターは人の知恵を借りて生きていた。
五仕旗。
モンスターを召喚し競い合うそのカードゲームは、人とモンスターの娯楽として親しまれていた。
その一方で、人間との協調を拒むモンスターが各地で人やモンスターを襲撃しはじめた。
果地繁風はそれらのモンスターを静めるため、弟の風瓜とともに旅に出る。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
アルゴノートのおんがえし
朝食ダンゴ
ファンタジー
『完結済!』【続編製作中!】
『アルゴノート』
そう呼ばれる者達が台頭し始めたのは、半世紀以上前のことである。
元来アルゴノートとは、自然や古代遺跡、ダンジョンと呼ばれる迷宮で採集や狩猟を行う者達の総称である。
彼らを侵略戦争の尖兵として登用したロードルシアは、その勢力を急速に拡大。
二度に渡る大侵略を経て、ロードルシアは大陸に覇を唱える一大帝国となった。
かつて英雄として名を馳せたアルゴノート。その名が持つ価値は、いつしか劣化の一途辿ることになる。
時は、記念すべき帝国歴五十年の佳節。
アルゴノートは、今や荒くれ者の代名詞と成り下がっていた。
『アルゴノート』の少年セスは、ひょんなことから貴族令嬢シルキィの護衛任務を引き受けることに。
典型的な貴族の例に漏れず大のアルゴノート嫌いであるシルキィはセスを邪険に扱うが、そんな彼女をセスは命懸けで守る決意をする。
シルキィのメイド、ティアを伴い帝都を目指す一行は、その道中で国家を巻き込んだ陰謀に巻き込まれてしまう。
セスとシルキィに秘められた過去。
歴史の闇に葬られた亡国の怨恨。
容赦なく襲いかかる戦火。
ーー苦難に立ち向かえ。生きることは、戦いだ。
それぞれの運命が絡み合う本格派ファンタジー開幕。
苦難のなかには生きる人にこそ読んで頂きたい一作。
○表紙イラスト:119 様
※本作は他サイトにも投稿しております。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
自警団を辞めて義賊になったら、元相棒の美少女に追いかけられる羽目になった
齋歳 うたかた
ファンタジー
自警団を辞めて義賊になった青年リアム。自警団の元同僚達から逃げながら、彼は悪人の悪事を白日の下に晒していく。
そんな彼を捕まえようとするのは、彼のかつての相棒である女副団長。リアムの義賊行為を認めるわけもなく、彼女は容赦なく刀を振るってくる。
追われる義賊、追う副団長。
果たして義賊は元相棒に捕まってしまうのだろうか?
※『カクヨム』『小説家になろう』でも投稿しています
超能力?ステータスブースト
タイラン
ファンタジー
人には何かしら特技がある、だが世界には超能力と言う強力な力がある
選ばれた人間が通う事が許される、超能力学園などがある世界
そんな中、普通の高校一年、赤薙彼方は何故かステータスを持っていた
コレも超能力か、と思ったがまさかのゲームシステムだった、その上訳の分からない説明まである
その上死ぬと、覚醒した日に戻る
コレは本当に超能力なのか???
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる