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196 思い出

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「・・・ルネ。」

「・・・・」

『るね、なに?』

アルがスマホの事を聞いて来る。
話すつもりはなかったが日本語を聞いて心が揺れる・・・。

『これはスマホ。携帯電話でね遠くの人と・・・話しが・・・でき・・・。』

これさえあれば世界中どこにでも繋がる事が出来る物。
ただし、同じ世界に居ればだ。

ここがどこで、地球との関係は解らないけど、
ここからでは繋がる事が出来ない。

突然泣き出した俺をアルが優しく抱き締めてくれる。
アルが心配してくれているのは解っているが自分ではどうしょうもない。

自分が一人ぼっちになってしまった様で辛い。
勿論、近くにアル達が居てくれているのは分る。それでも独りの様な気がして仕方ない。

アルは俺が泣いている間何も言わずただ優しく抱き締め擦ってくれていた。
アルの温もりに少しづつ落ち着きを取り戻す。

『ごめん、有難う。これはな、電話・・・が出来るだけじゃなくて、写真も撮れるんだ。写真見る?あのね、・・・これ!これが俺の家族。これが父さんでこっちが母さん、これが弟の秋人でこっちが妹の紗良。』

「!?これは・・・。」

『これは嵯峨野に行った時でこっちが吉野川に行った時の。この時ラテン系の人に道を聞かられてスペイン語で答えたら何故か一緒に行こうって拉致られてお昼まで一緒に回る事になって、楽しかったけど家族団欒出来なくて一寸残念だったなぁ。』

「・・・」

観光地に居て道を聞かれて答えていると片言ではないから近くに居た海外の方が次々聞いて来るんだよね。しかも父さんは10ヶ国語話せるから余計に集まる、父さん1人では大変だから俺達も他の人達の対応しているとインフォメーション化してしまって観光出来ない時がたまにあって大変。けど、父さんは「日本を楽しんでもらいたいから」と笑顔でいつも対応しているのは凄いけど、俺達は少し淋しかったんだよ。

俺が写真を見せながら思い出を語っている間アルが驚いて固まっている事には気付かなかった。


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