欲望のままに

姫川 林檎

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知らない真実

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ヒソヒソ
クスクス

もう嫌だ。
家から遠い学校を選んだのに結局僕は苛められるのか・・・。

1学期も終わろうとしているけど未だ友達は出来ていない。クラスメイトは必要最低限の会話しかしないしそれは先生も変わらない、僕と話をしてくれるのは寮の同室の先輩だけしか話してくれない。その先輩は背高くてイケメンだけど強面で少し近寄り難い雰囲気があるけどとても親切で僕の面倒を嫌がらずしてくれるけど、学年が違うから学校に居る間はやっぱり一人になってしまう。

部屋で先輩と話をしている時間が一番幸せだ。
学校に来たばかりだけどもう寮に戻りたい。


無事に今日も終わった。
今日も誰も話し掛けてはくれなかったし話しかける勇気もなかった。教室に居る時も食堂でお昼を食べている時も登下校の時も皆僕をジロジロ見てヒソヒソと話して目が合えば笑いながら何所かに行ってしまう。

僕は小学生の時から苛められていた。小さい時から‟不細工”と言われて苛められた、「不細工のくせに調子にのるな!」男女共に言われ続けたから自分が不細工な事位知っている。そんなに不細工なら見なきゃいいのに見ては馬鹿にして笑う。

もうほっといて欲しくて県外の寮のあるこの学校を選んだ。なのに結局は苛められる・・・まぁ、未だ手や口を直接出して来る人は居ないけどそれも時間の問題だろうなぁ。はぁ、学校辞めたいけど帰る所はないし高校は卒業したいなぁ。

「お帰り。」

「!!先輩!只今帰りました。」

今日は先輩の方が先に帰ってた。先輩の顔を見るとホッとする格好良くて優しい先輩だけが僕に良くしてくれる唯一の人、僕も先輩の様な人になりたいけど無理だな・・・。

!!

「どうした?誰かに何か言われたか?」

先輩の大きな手が僕の頭を撫でてくれる。以前、見知らない先輩に「いい気になるなブス」って言われて落ち込んでいた僕を優しく撫でてしかも抱擁までしてくれた、顔に出さない様にしていても気付いてくれる優しい先輩。僕は親にも抱き締めらた記憶がないから先輩がほぼ初めての体験になる、僕は嬉し過ぎて泣いてしまったら僕を抱えたままベットに座り膝に僕を乗せたまま僕が泣き止む迄ずっと抱き締めていてくれた。それ以来僕が少し落ち込むと直ぐに気付いてくれて抱き締めてくれる。抱き締める事を‟ハグ”っていうらしい、僕は先輩にハグをされるのが大好き。幸せな気分にしてくる。

「何があった?」

先輩は僕をハグしたまま聞いて来る。
僕も先輩の背中に腕を回し抱き着きながら今日あった事を話す。

「クラスメイトがプリントを渡すのに1度も僕の目を見てくれなかったんです。その後に友達とクスクス笑いながらこちらをチラって見て行ってしまわれて・・・。僕が不細工なのは知っていますけどそんなに見るに耐え難いんですか?先輩も嫌だったら言ってください僕は先輩だけには嫌われたくないので視界に入らない様にするから!」

先輩の胸に顔を埋めながら言うと、
先輩は僕の顎に手を添え持ち上げるとニヤリと笑い

「気にするな。俺はお前の顔が好きだ、この顔を独り占め出来ると思うと嬉しいが?お前が俺に見られるのが嫌なら見ないが?」

「本当に?こんな顔が良いんですか?」

「あぁ、可愛いと思うぞ。だから泣くな俺はお前の笑顔の方がもっと好きだから笑ってくれ。」

先輩は本当に優しい。こんな僕にも気を使ってくれる・・・。
先輩の長い指が僕の涙を拭ってくれるが先輩の優しさが嬉しくて涙が止まらない。

そんな僕を少し呆れた顔して近付けてくると

チュッ

目元で音がした。僕がビックリしていると

「そんなに泣くと目が落ちるぞ。」

そう言いながら今度は涙を舐めて行く。

「えっ!?せっ先輩!汚いですよ!止めて下さい!!」

僕が離れようとしても先輩のたくましい左腕に腰が抱かれ動けないし右手で顎を押さえられているから顔を背ける事も出来ない、ビックリして涙は止まったが流れた涙を先輩は綺麗に舐めて行く。顔を舐められると何だか力が入らないから上手く逃げれないまま綺麗に舐められてしまった、終った時には力が抜け先輩に支えられないと立てずにいたのが恥ずかしかった。

「くす。やっぱりお前は可愛いよ。その顔は俺だけが見てればいい、他の奴なんかに見せる必要はないから気にするな。いいな?」

「・・・はい。」

「いい子だ」

先輩は僕のおでこにキスをすると抱き抱えベットに座る。僕を膝に乗せたまま。
僕は恥ずかしいけど、やっぱり先輩にハグされるのは好きだから抵抗する事が出来ないまま身を委ねてしまう。前に重いでしょと聞いたが軽過ぎだからしっかり食べろと逆に怒られてしまってからは先輩が下すまで先輩の腕の中を堪能してしまう。

僕は先輩の優しに甘えていまってていいのだろうか・・・。


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