婚約者を口説きます

８７ 第１位

「第１位は！こちらも２位と大きく引き離して上村先生・１年五十嵐咲良カップル！！咲良くん上がって来て下さい。ってもう上村先生が迎えに行ってますね。」

何で俺が選ばれるのか解ってなかった。俺がビックリしている間に先生が目の前にいて笑っていた。気が付くと周りの家族も笑っている。静香先生だけはニヤ付いていたが・・・。どうやら解っていないのは俺だけ？

「ふっ。お前なぁ、あれだけ派手にやったんだから楓で２位なら１位はお前に決まってるだろう。」

顔が赤くなっているのが分かる。
記憶を取り戻した俺は恥ずかしくて逃げて、先生は追い掛けて来て抱き締めた上お姫様抱っこで運ばれたのを何人もの人が見ていたに違いなく、傍から見たらイチャ付いて様に見えたかも知れない。その後も楓兄ちゃんと一緒に先生と腕を組んで皆と回っていたんだから、目撃者も大勢いただろう。

恥ずかしい！！

俺が動かないとみて先生は俺を又お姫様抱っこしようとしている事に気付き全力で拒否！すると今度は腰抱いて歩き出した。体格的にも力的にも敵わないのは分かっているので、仕方なくステージに向かう。

「１位おめでとうございます！今のお気持ちは？」

「気持ちって言われても・・・複雑です。」

先生が隣で笑いを堪えているのがムカつく！いくら睨んでも知らん顔だし。

「初々しい咲良くんを弄り倒したいですが時間もないので、皆様が聞きたい事を聞こうと思います。」

時間が無くて助かったが、皆が聞きたい事って・・・やっぱり他にないよなぁ。
会場が盛り上がっている中、先生が楓兄ちゃんに目配せをして楓兄ちゃんが先生の反対側に来た。すると先生は楓兄ちゃんも抱き寄せ額にキスをすると、近所迷惑になるのではないか心配になる程に悲鳴が上がる。

「皆さんお静かに！！近所迷惑ですよ！話が聞きたいなら静かにして下さい！！」

司会者が言うとピタッと静かになった。どんだけ聞きたいんだ・・・
先生と楓兄ちゃんは楽しそうに笑っているけど俺は笑えない・・・。