闇の記憶

姫川 林檎

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記憶喪失の少年

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「今晩は春陽君♪」

ビクッ!
突然のαの出現で驚いて俺にしがみ付いている。
春陽を驚かしたのは許せんがこの春陽は可愛いので今回は許してやる。

「あっごめん!驚かしちゃったかな?俺は乾物屋の真史しんじ眞一とは同じ年の幼馴染なんだ。これから宜しくね♪」

「・・・同じ年。」

面倒くさいのが来た・・・。
確かに幼馴染ではあるが、何故かこいつは俺に付いて回る。

「眞一の過去気になる?何が聞きたい?武勇伝がいいかなぁそれとも女関係がいいかなぁ?俺と眞一は‟眞・真コンビ”って呼ばれてて昔からモテたんだよ♪」

「呼ばれてないし、そう言っているのお前だけだぞ。それと余計な事を言うな!」

こいつは俺とセットにしたがってコンビって何年も言っているが浸透はしていない。俺は上位のαだからどうしてもモテるが興味がないのにそれがCoolで格好いいと騒がれもした。

篤史あつしさんに怒られますよ。」

「大丈夫!駿ちゃんが黙っててくれれば♪」

「駿ちゃんが黙っててもこんだけギャラリー居ればバレルでしょ!!」
「ぅわっ!!篤史!いつの間に!?」

篤史は飲み物を取りに行っただけだから直ぐに戻るだろ。
こいつは分かっててやっているからタチが悪い。

「ハル君驚いているでしょ!ごめんね・・・。真史はハル君が気になるのは眞一さんの大事な子だからでしょ!そんなに眞一さんが好きなの?」

「ハル君が気になるのは確かに眞一の大事な子だからだけど、だってこいつ今まで誰にも本気になった事ないんだぞ!それがこのダラケよう気になるだろ!?」

「・・・・」

「けど、いつも眞一さんのことばっかり!僕とどっちが大事なんだよ!」

誰だこいつに酒呑ました奴は!
一口で酔う下戸だから呑ませない様にしてたはずだが?

「篤史に決まっているだろ!眞一はただのライバルだよ。篤史を愛しているから‟番”になったんだろ。眞一と‟番”になりたいとは思わないから!」

「気持ち悪い事言うな!!第一に誰がライバルだ。」

「・・・うん。僕も愛してる。」

聞いてないし・・・。
篤史は真史に抱き着いて満足気だが、これは酔いが冷めて聞かされたら死ぬな。
お前に酒を呑ました奴を呪え。

「つ・・が・い?」

「ん?どうした春陽?」

‟番”と呟くと震えだした。

「大丈夫か?春陽、‟番”がどうした?」

敢えて聞いてみたが失敗か?

「いや!いや!いや!!・・・。何で?どうして!?」

体を抱え頭を振り泣いている。いくら呼んでも反応はなく震えながら泣き続けている。
強く春陽を抱き締めて頭を撫でながら、何度も何度も春陽を呼んで震えが落ち着いたのを確認してなるべく優しく話し掛ける。

「春陽、全ての人が‟番える”わけじゃない。αに対してΩは圧倒的に数が少ないからね。だから好きな人と‟番えられる”人は少ない、それは別に‟番”だけじゃなくても同じ。好きな人が自分を好きになってくくれるのは奇跡なんだよ。どんなに好きでも相手が好きになってくない事の方が多い、それは一緒に居た時間とか関係ない長く一緒に居れば好きになる事もあるし嫌いになる事もある。人のっと言うか自分の心は解らない物だから。」

「・・・・。」
「「「「「・・・・。」」」」」

「春陽俺の言っている事解るかな?」

「・・・・。」

コク

「良かった。俺達αやΩはフェロモンに左右されやすい。レイプ犯を庇うつもりはないが、αはΩのフェロモンに弱いかげば好きも嫌いも関係なく‟番いたい、子供を宿したい”と思ってしまうし、Ωは‟より優秀な子供が欲しい”と思い強いαを探す。それはまるで獣だ。αやΩを色々言う人がいるが、そう言う意味でが一番人間らしいのはβなのかもしれない。だけど、春陽にはフェロモンや育った環境に左右されずに‟番”を探して幸せになって欲しい。」

頭にキスをして撫でてると次第に落ち着きを取り戻した。

「・・・ごめんなさい。」

「気にしなくていいよ。春陽、好きには色々な形がある。俺は大好きな春陽や駿二それにじぃさんと一緒に暮らせて本当に幸せだ、春陽一緒に暮らしてくれて有難う。ゆっくり‟番”を探せばいいよ人生は長い。こいつだって思える‟番”が春陽もきっと居るよ。春陽を幸せに出来る素敵な人が見付かるよ。こんな奴にだって居るんだから。」

「ひでぇなぁ。」
「・・・・Zzz。」

篤史は真史の腕の中で眠りに着いたらしい、愛の告白を聞いて幸せそうに眠っている。
真史も大事に愛おしそうに抱いている。


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