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63話 アリマ達、正和の為に努力を続け シロッコ、怪物退治に名乗りをあげる

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「ごふっ!? ごふごほっ!」

 これはオーク(豚の顔をした人間型の魔物)の会話なのか? そうではない。

「ふぐ、ふががうぐ!」
「はいダランさん、お水です。 もごもご」
「ダランもテリーも頑張るにゃ! ここで漢(おとこ)を見せるにゃりよ!」
「次の料理が出来上がりましたよ」
「もぐもぐ...... ファイヤー! けふっ」
「だ、だけどひたすら食事をするだけの簡単にゃお仕事です。 と、いう訳にはさすがにいかにゃかったにゃ」
「お腹を減らす魔法があればいいと思ったのは私も初めてです。 状況が変わると発想も変わるものなのですね。 勉強になります」
「そ、その割に全然苦しそうじゃないわねキエル」

 開拓村にて正和の魔力を回復させる効果を持つ料理を探している亜人組だ。 幸依が料理をつくり、オワタが運び、ダラン、ヒラリエ、キエル、ルミナ、サトオル、テリーがとにかくお腹に詰めこむ。 ルミナは暖炉の中に炎の魔法を放ち魔力を消費させながら確認していた。 記録係のサトオルの持つ木板には『正和様復活祈願(諦めないぞ)』と見出しが書いてある。 外からはたまに黒蟻の蟻らしからぬ悲鳴が聞こえてきたりもするのだが、同時に

「なんで上手くいかぬのじゃー!」

 とか、

「おわぁ! そなた足が八本になっておるではないか! わはは!」

 など、アリマの不本意(?)な結果発表もセットになって聞こえてきていた。 シロッコも上手く結果を出せず現在は飛竜の背に乗り、飛竜達の餌を求めて海上の空中散歩中だ。

「ダラン達は腹がはち切れんばかりの食事をしておるが、効果のわからぬお前達飛竜は自身の食べ物を探して海上を飛び回る。 中々状況と条件が噛み合わぬものじゃなぁ」

 飛んでいる飛竜の背中に座っているシロッコは呟く。 後ろには番(つがい)の飛竜もついてきている。

「お前達が野菜をモリモリ食べられれば毎度海に出ることもなかったんじゃが...... まぁこうなったのも儂のせいとも言えるからのぅ。 面倒位は見てやらねばな」

 飛竜が野菜を食べられない事がシロッコのせいなのか? そうではない。 元々飛竜は肉食寄りの魔物だ。 魚は食べても野菜は嗜好にあわない。
 
「あの海面から突き出ている岩場でよいじゃろう。 あそこに着地するのじゃ」

 飛竜はシロッコの指示した地点を目指して滑空する。 元々この飛竜はガーディやペンティアムに知られている様に標高の高い場所に棲息していた。 シロッコが朋広達に事情を説明していた時の『天上』にあった洞口宅の庭に迷いこみ、シロッコに人間の棲息圏内まで弾き飛ばされるまでは。 番の飛竜は戻らぬ飛竜を探して人間の棲息圏内まで飛来してきたという訳だ。 出会えたのは奇跡的と言っていいだろう。 ひょっとしたら解明されていないメカニズムでもあるのかもしれない。 開拓村でシロッコを見た飛竜の慌てた様子でシロッコはこれがあの時の飛竜であると気付いた。

「しかしまさかあの時の飛竜を儂自らが世話する事になるとはおもわなんだ。 面白いものよの」

 シロッコは飛竜の背中から岩場の上に降り立ち漁によさそうなポイントを探す。 ふと目線を移すと岩場の陰に大きな魚の尾びれと思われるものが浮かんで波に揺られていた。

「ほ。 これは手間が省けたわい。 労せずして大物をゲットじゃな? これも日頃の行いかのう?」

 シロッコは髭をしごきながらそちらへ向かう。

「ほれお前達、いきなり中々の大物が食べられるぞ」

 シロッコは獲物の全体像が見える位置までやってきた。 

「ぬ...... ?」

 同じく近くにきて獲物を確認した飛竜達が食べてもいいの? 食べてもいいの? と、目でシロッコに訴えている。

「あー。 さすがにこれを食べさせるのは気がひけるのぅ」

 シロッコは指先で頬をぽりぽりかきながら飛竜達に待ての意を示す。 そこには上半身が女性で下半身が魚のような存在が微動だにしない状態で浮かんでいた。

「これは魔物でよいのか? それとも魚と人間のハーフなんじゃろうか? さしずめ魚人と言ったところかの? ......正和君がおればもっと詳細がわかったと思うのじゃがな」

 シロッコは神とは言っても魔物全てにまで精通している訳ではない。 なので知る人は知っているような事に対して頓珍漢(とんちんかん)な感想を言う事も当然ある。 飛竜達に待てを示したのは姿が人に似ているためだったからに他ならない。 これが大型の魚であったなら、喜んで飛竜達に食べさせていただろう。

「ふーむ。 意識を失ってはおるが死んではおらん。 また特別大きな怪我をしているという訳でもない。 まさかこの姿でありながら溺れたりしたんじゃろうか?」

 とりあえずシロッコはしゃがみこんで魚人に回復魔法をかける。 淡い光に包まれ、魚人の身体全体に見受けられた擦り傷などが消えていく。

「この姿じゃと介抱するにも水の中の方が良いのか水の外の方が良いのか判断に悩むのぅ」
「「キュウーィ」」

 飛竜達も同意しているかのようだがその悩みは杞憂に終わる。 何故なら治療が終わったタイミングで魚人が意識を回復し、シロッコと飛竜達を見た途端、きゃあぁ! という悲鳴を残して海中に逃げ込んだからだ。 その際、結構な量の水しぶきがかかるがそこは完全防水のシロッコに死角はなかった。

「どうやら水の中の方が良かったようじゃな。 まぁ、魔物に礼など期待しても仕方のない事じゃろうし、気を取り直してお前達の食べる魚を捕まえるとするかの」
「キュウン!」
「ピギャ!」

 シロッコは立ち上がろうとして海中から何者かが自分を見ている事に気づく。 先程の魚人が泳ぎ去らずにこちらを窺っているのだ。

「なんじゃ? 怪我は治したのじゃから何処へなりとも行くがよい」

 シロッコがそう言うとその存在は海中から頭と目だけを出しシロッコ達を見つめている。

「やりづらいのぅ。 この魔物の前で魚を捕まえて飛竜達に食べさせてもいいものじゃろうか」

 そこまで言ってシロッコははたと気づく。

「儂は神。 そして飛竜はもとよりおそらくこの魚人も魔物...... くっくっく」

 そして突然、さも愉快そうに笑いだした。

「人を創造し、何の加護も与えてこなかった儂が、気付けば魔物にまで気を使っておるではないか。 これも皆との交流の影響か。 じゃが悪くない気分じゃ。 むしろ面白い」

 シロッコは自分に起きていた変化を喜び、魚人に向かって言う。

「そこの魚人よ。 儂はこの世界の神だが、ここにはこの飛竜達に食べさせる為の魚を捕りにきた。 この行為はお主になにか不都合があるか?」

 魚人は先程の状態のまま頭を横に振る。

「そうか。 では儂はこれから雷の魔法を使って漁をするからの。 近くにおったら巻き込まれてしまう。 せっかく怪我を治したというのにまた怪我をするのも嫌じゃろう。 離れておるがよい」

 今度は魚人も海中に潜り気配は離れて行った。

「ふむ。 では始めるとするかの」

 その後はシロッコが海面近くの魚に雷を落とし、浮いてきた魚を飛竜達が捕りに行き戻ってきて食べるという行為を繰り返していた。

「これももっと効率のよい方法を考えねばならぬのぅ」
「かみさま、かみさま」
「うん? なんじゃ?」

 シロッコが声の聞こえた方に振り向くと先程の魚人が水面から顔を出している。

「かみさまさっきはありがとう。 かみさまさかなひつよう。 わたしさかなもってきた」
「ほう。 おぬし言葉を操れたのか。 魚は助かるのぅ。 おぬしに攻撃はさせぬからそこの飛竜達にやってくれるか」

 魚人が頷き甲高く一声あげるとすぐ後ろから新たに四人の魚人が海中から顔を出す。 シロッコは嫌な予感がして慌てる。

「まさかお主らを食べろとか言うんじゃなかろうな? それはできんぞ」

 それをきいた最初の魚人が後ろの魚人達に振り向く。

「ほら、かみさまやさしい」

 すると緊張していた面持ちの他の魚人達の表情もパッと明るくなる。

「ほんとだ。 かみさまいもうとをたすけてくれてありがとう」
「「「ありがとうありがとう」」」
「ぬ、お主ら姉妹か。 何、大した事はしておらんから気にせんでもよいぞ。 儂も悪い気はせぬしな」
「かみさま、これわたしたちからのおれい」

 五人の魚人が互いに距離をとり五角形のような配置になり一斉に甲高く一声あげると中央の海面が一気に黒くなる。 海中から魚群が出現し、魚影として姉妹の囲いの中を泳いでいる為だ。

「ほう! これは見事なものじゃ」
「わたしたちもさかなたべる。 だからそだてる。 このさかなたちはわたしたちがそだてた」
「お主らも魚を食べるんじゃな。 共食いにはならんのじゃろうか」

 てっきり魚人は魚相手にも仲間意識があるのではないかと考え、その場合の心情を考慮して目の前での漁を遠慮していたシロッコだったが結果は魚人にとっても魚は食糧で、しかも自ら養殖までしているという事実に驚く。

「かみさまそれはおかしい。 さめがいるかをたべてもともぐいじゃない。 いるかはともだちだからかなしいけど。 だからわたしたちがさかなをたべてもともぐいにはならない」
「! なるほど確かにお主の言う通りじゃ。 ヒレがあるから魚とは限らぬし、あくまで共食いとは同種間のみを指すのが正しい。 いや、教えられたわい」

 シロッコはなぜか妙に感じ入った。

「でもわたしたちのさかな、おそわれてずいぶんへった。 わたしもおわれてにげきったもののいしきをうしなった。 そこをかみさまがたすけてくれた」
「「「「かみさまありがとう」」」」
「まて、ききずてならんな。 なににおそわれたというんじゃ?」
「うみのむほうもの。 マダコにめをつけられてしまった」
「マ、マダコ?」

 無意識に魚人の喋り方になっているシロッコはマダコについて考える。

(確か塩で揉み洗いしてから茹でて、酢蛸、煮物、寿司種、燻製や干物、たこ焼きの具などになるんじゃったな。 茹でずに生で刺身にしたり、薄切りにしてしゃぶしゃぶにしたりすることもあるようじゃが、食べる側よりは食べられる側のイメージの方が儂の中では強いのぉ)

「マダコとはそんなに凶暴な生き物じゃったかな?」
「とてもおそろしい。 わたしたちのなかまもつかまればたべられてしまう」
「な、なんじゃと!? マダコとはそれほどのものか」
「それほどのもの」
 
 魚人は真剣な顔でこくりと頷く。 シロッコは体長約六十センチのマダコが魚人と魚達を追い回すところを想像するがどうにも緊迫感が出ない。 ましてやマダコより遥かに大きい魚人が食べられる場面など想像すらできないでいた。

(魚人は全く戦う事が出来ぬ種族なのかのぅ? よく今まで生き残ってこれたものじゃ)

 シロッコは海面の魚影から魚を掴みとっては食べている飛竜達を見ながらさらに考える。

(この魚人と飛竜も本来であればこんな協力的な関係には絶対なってなかったであろうな。 そもそも出会わぬであろうし、もし出会って接触したなら間違いなく敵対関係となったはずじゃ)

「しかしマダコか。 マダコは海産物としてなら是非おさえておきたい一品ではあるな。 間違いなく皆喜ぶと思うしの」

 シロッコは村の皆が喜んでいるところは容易に想像でき、その表情もほころぶ。

「これを肴に提供すれば朋広殿から旨い酒も出してもらえるかもしれんし...... うむ、悪くない」

 だんだん神の思考が俗っぽいものになってきた。 シロッコは自分の周囲の地形を見る。

「思えばアリマとの戦いの時に正和君が立案した強制出撃大作戦は今回の為に活かせるよう、儂が経験できた事象だったのかもしれん」

 今度は魚人達に視線を移す。

「そして魚を養殖し、管理すら出来る魚人達との出会い。 まるでこの世界の神が全部仕組んだようにも考えられるのぅ。 まぁ、神は儂ではっきり言って全部偶然なのじゃがな」

 そして壮大にまとめて自分で落とした。

「それ故に。 予想してないこと故に面白い。 乗りかかった船じゃ、行き着くとこまで行ってみるのも一興じゃろうて」

 シロッコは魚人達に声をかける。

「お主らの姉妹の怪我を治しただけでこの待遇では釣り合いが取れぬ。 今度は儂が礼をしようと思うのじゃがな」
「きにしなくてもだいじょうぶ。 わたしたちがしたいからした」
「そうか。 じゃが儂も今お主達と同じ気持ちでな? 飛竜達に腹一杯食べさせてくれた礼にそのマダコとやら、儂が退治してやろうと考えておる」
「「「「「え!?」」」」」
「儂からの礼、気に入らぬか?」
「う、ううん、ううん! それがかなうならなかまもすごくよろこぶ! もちろんわたしたちも!」

 魚人の姉妹が興奮しているが、それも当然だろう。 天敵とも言える相手の排除にまさかの神が名乗り出てくれたのだ。

「で、でもあいてはあのマダコ。 かみさまでもくせんするかも」
「なぁに、儂にかかればマダコと言えども酒の肴よ。 塩で揉み洗いしてスダコにしてやるわい」
「かみさまちょっとなにいってるかわからないけど、とてもこころづよい。 わたしたちもできることがあるならきょうりょくする」
「そうかそうか。 では一緒に作戦を立てるとしようかの」

 誰も知らない場所で静かに、だが確実に神とマダコが戦う舞台が整えられようとしていた。
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