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石畳 分岐2 イズミちゃん
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L字廊下の先で女の子が泣いている。
4人の先生が慰めたり塩をまいたりしている。
小学校低学年の女の子が怖い話を聞かされてないてしまった。
おそらくだがこんなところだろう。
先に来ていた野次馬の女の子が先生たちに事情を聴き
そしてL字廊下の先を覗いている私と友人のもとへ来た。
「さっき床の女の子が泣いているような悲しい顔をしていたから、
この先には来ない方が良いよ」
そしてL字廊下の先に行かせまいと必死に私と友人をブロック。
せっかく面白い事が起きた現場が目の前にあるのに。
この女の子は1個上、5年生。
5年生の女の子ともなると私らよりも一回り身体が大きい。
すり抜けようとする友人の襟首を左手一本でつかみ引き戻す。
そうしながらも私の腰に右手を回しこちらもブロック。
鉄壁のブロックに撤退する。
なぜこの女の子が1個上か分かったかと言うと私の姉も1個上だから。
たぶん姉と同じクラス。
姉がインフルエンザかなにかで休んだ時に
連絡ノートを姉の教室へ持って行ったことがある。
その時にノートを受け取ったのがこの女の子だ。
この女の子は1個上の学年の中でも背が高く肩幅が広い。
遅刻して全校生徒の朝礼に並んだ時
となりの列が5年生の列だったがこの女の子が一番後ろにいた。
クラスの女子で一番背が高い。
そういう事だろう。
5年生の女の子ともなるとはぼ身体が完成してきていて
成人女性とたいして変わらない身長になる。
4年生である私や友人は男子といえども体格だけ見れば子供だろう。
そんな圧倒的体格差。
為すすべなく撤退した我々は
その後その怪談に出会う事もなく小学校卒業を迎える。
そして私は大学に入り、地元の居酒屋でアルバイトをすることになった。
チェーン店のしゃぶしゃぶ屋さんだ。
そこで出会った先輩の女の子に挨拶される。
「はじめまして!イズミです!」
間違いないこの女だ。
あの時我々を怪談の最前線から鉄壁のブロックで退却させた女。
相変わらずの肩幅。
柔道部。レスラー。
そういった風貌。
身長は高いが165cm程度か。
覚えていないのかこの女は。
私は覚えている。
あの屈辱の日を。
「さっき床の女の子が泣いているような悲しい顔をしていたから、
この先には来ない方が良いよ」
こんなことを言っていたスピリチュアル女。
あと下の名前しか名乗らない職場。
左胸に自分の名前のみのネームプレートをつけさせられる。
バイト同士で付き合ったり別れたりしているという
バックボーンがすでに出来上がっている。
それを結構後から知らされる。
圧倒的違和感。
働く意思をすこしずつ削いだ違和感は
私がアルバイトをやめる決意をすこしづつ固めていったのであった。
4人の先生が慰めたり塩をまいたりしている。
小学校低学年の女の子が怖い話を聞かされてないてしまった。
おそらくだがこんなところだろう。
先に来ていた野次馬の女の子が先生たちに事情を聴き
そしてL字廊下の先を覗いている私と友人のもとへ来た。
「さっき床の女の子が泣いているような悲しい顔をしていたから、
この先には来ない方が良いよ」
そしてL字廊下の先に行かせまいと必死に私と友人をブロック。
せっかく面白い事が起きた現場が目の前にあるのに。
この女の子は1個上、5年生。
5年生の女の子ともなると私らよりも一回り身体が大きい。
すり抜けようとする友人の襟首を左手一本でつかみ引き戻す。
そうしながらも私の腰に右手を回しこちらもブロック。
鉄壁のブロックに撤退する。
なぜこの女の子が1個上か分かったかと言うと私の姉も1個上だから。
たぶん姉と同じクラス。
姉がインフルエンザかなにかで休んだ時に
連絡ノートを姉の教室へ持って行ったことがある。
その時にノートを受け取ったのがこの女の子だ。
この女の子は1個上の学年の中でも背が高く肩幅が広い。
遅刻して全校生徒の朝礼に並んだ時
となりの列が5年生の列だったがこの女の子が一番後ろにいた。
クラスの女子で一番背が高い。
そういう事だろう。
5年生の女の子ともなるとはぼ身体が完成してきていて
成人女性とたいして変わらない身長になる。
4年生である私や友人は男子といえども体格だけ見れば子供だろう。
そんな圧倒的体格差。
為すすべなく撤退した我々は
その後その怪談に出会う事もなく小学校卒業を迎える。
そして私は大学に入り、地元の居酒屋でアルバイトをすることになった。
チェーン店のしゃぶしゃぶ屋さんだ。
そこで出会った先輩の女の子に挨拶される。
「はじめまして!イズミです!」
間違いないこの女だ。
あの時我々を怪談の最前線から鉄壁のブロックで退却させた女。
相変わらずの肩幅。
柔道部。レスラー。
そういった風貌。
身長は高いが165cm程度か。
覚えていないのかこの女は。
私は覚えている。
あの屈辱の日を。
「さっき床の女の子が泣いているような悲しい顔をしていたから、
この先には来ない方が良いよ」
こんなことを言っていたスピリチュアル女。
あと下の名前しか名乗らない職場。
左胸に自分の名前のみのネームプレートをつけさせられる。
バイト同士で付き合ったり別れたりしているという
バックボーンがすでに出来上がっている。
それを結構後から知らされる。
圧倒的違和感。
働く意思をすこしずつ削いだ違和感は
私がアルバイトをやめる決意をすこしづつ固めていったのであった。
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