上 下
3 / 44

3話 逃走

しおりを挟む
 車から這い出すとオークたちと母と自衛隊が向かい合っていた。
オークの炎の手刀により分断され、横転した車は燃え上がった。


オークと目があった。
まずい
と思ったがオークは母たちのほうに顔をむけた。



隊長と思しき母の側の自衛隊が叫ぶ。


「撃て!優先事項を忘れるな!」


3人の一斉掃射だ。炎の壁の向こうからも乾いた音がする。
炎の熱気と立ち上がる砂埃で俺の視点からは
撃たれたオークらがどうなったのか見えない。


炎で分断されたこちら側の二人はまだ走れそうな前方車両に少しずつ近づくように
オークを中心に弧を描くように動きながら発砲する。

俺もその後ろについていく。


自衛隊の一人が俺を車の荷台に乗せると自分も
すばやく運転席に乗り込み発進させる。

「先輩!」

徐行しながら顔をだす。

先輩らしい自衛隊は、オークらに体を向け発砲したままで走る車を追いかける。

そして荷台に飛び、乗り込む。



オークが手下のゴブリンに俺たちを狙うように手の動作のみの指示をだす。
小さな白い角の生えた狼にのったゴブリン2体が追いかけてくる。



よだれをたらし激しい息をつくゴブリンが迫ってくる。
走る車の荷台から再び銃撃する。


ゴブリンに当たってはいるが痛がる素振りも見せずむしろスピードをあげてくる。

1体はそのまま追いかけてくる。
もう1体はさらに加速し車の横を並走する。


並走した1対が小汚い腰巻を振り回し運転席めがけてなにかを投げる。


運転席には当たらず車の側方にぶつけられる。


石かなにかをなげつけられた音がする。


「石投げてくるとか舐めてんのかぁ!!」


運転席の自衛隊がハンドガンで応戦する。
並走していたゴブリンは減速しやがて見えなくなった。



一方で後ろのゴブリンは銃撃をものともせずついてくる。


「くそ!当たったそばから回復される!」


玉切れで弾倉を入れ替える。


ゴブリンがこちらに向けて左手を挙げる。

ボウガンの矢が自衛隊を直撃した。
倒れる自衛隊。
小銃が俺の足元に転がってくる。


俺はとっさにそれを拾うとゴブリンにむけて発砲した。


十発くらいは外したが3,4発はゴブリンの腹部か胸部あたりに命中した。


ギギィ


と小さく高い声をあげたゴブリンはそのスピードのまま地面に転がった。










しばらくするとゴブリンがおそらく絶命したのだという事が分かった。

俺の頭に

レベルアップを告げる音声が流れたからだ。
























しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ユウ
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。

3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。 そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!! こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!! 感想やご意見楽しみにしております! 尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。 小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。 本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。 お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。 その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。 次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。 本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

処理中です...