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二学期
フリメール⑥・イベントクリアの余波
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闇属性発覚イベントから数週間が経った。
晴れて無罪放免になったわたしはようやく元の生活に戻れる……と思っていたのだけれど、そうは問屋が卸さなかった。
「おはようございます、カトリーヌお嬢様」
何かクロードさんを始めとして同僚のメイドのみんなからかしずかれるようになった。
「……あの、クロードさん? 一体どうしたんですか?」
「旦那様よりご命令が下りました。オルレアン家の娘だと公言した以上はそのように扱う、と」
「ですがジャンヌがわたしを普通の娘として扱うようにって……」
「そのご命令は取り下げられました」
詳しく聞くとわたしは一応ジャンヌ付き侍女を続けていいそうだし賃金も払われるんだそうだ。オルレアン公爵令嬢として無理に迎え入れるつもりは無いらしい。でもわたしが希望すればいつでも来てもいいようにはしておくんだとか。
仕方がないとは思う。今回の闇属性発覚で助かったのはわたしがオルレアン家の生まれだったからなのもあるし。何の後ろ盾も無い本当の貧弱一般娘だったら今頃魔女の烙印を押されて火刑に処されていた可能性が高い。わたしを救うために旦那様はオルレアン家に立場を危うくしかねない出生の秘密の札を切るしかなかったんだら、その恩には報いるべきだ。
……訂正、もうあの人を旦那様とは呼べないんだったっけ。
「エルマントルドを母と呼んでいるな?」
「はい、お母様の強いご希望で」
「では私の事も父と呼ぶように」
「ですが旦那様、それは……」
「そうか。教会との関係を悪化させてカトリーヌを守ったのだがな。そこまで言うのであれば」
「うぐっ……。お、お父……様」
お父様とお呼びしなければいけなくなりました。
『双子座』でもここまで生家と親密な関係を築けなかったのに。わたしが恥ずかしさいっぱいでお父様とお呼びしたら凄く満足げに、そして嬉しそうに微笑んでくれました。
「アランソン公家の次男と仲睦まじい関係を築いているそうだな」
「一緒の時間を過ごしていると楽しいですし嬉しいのは事実です」
「アランソン公と軽く話したのだが、やはりカトリーヌがオルレアン家の者であった方があちらも何かと都合がいいらしい」
お父様はアルテュールと生涯を共にするならカトリーヌ・ドルレアン公爵令嬢として嫁に行くべきだと語った。いや指輪まで貰っておきながらお茶を濁すつもりは無いけれど、さすがにオルレアンとアランソン両公爵家の間で話が済んでいたのは仰天物ですよ。
「アルテュール本人はわたしの身分なんて二の次だと言っていますが?」
「アランソン家にも分家筋は多い。得体の知れぬ庶民の娘を迎えたとなれば敵に回しかねん。無駄に事を荒立てる必要もないだろう」
貴族のお家騒動はわたしの想像が及ばない範疇。わたし個人ももうオルレアン家は第二の実家だって気持ちだから何ら抵抗は無い。ただアルテュールがアランソン家に留まりたいのかは分からない。彼が未だ生家に複雑な気持ちを抱いているかもしれない。彼の意思を尊重したいものだ。
「お父様。この度はわたしの家族を守っていただきまして本当にありがとうございました」
「カトリーヌをここまで立派に育てた者達だ。最大限の敬意を払って当然だな」
オルレアン邸で保護されていたわたしの家族も元の生活に戻れた。
お父様はわたしが望めば従者用宿舎に部屋を用意してもいいと仰ってくれた。オルレアン家には家族揃って仕える人達もいるから問題ないって。で、お母さん達に聞いたらやっぱり公爵様のお膝元だと緊張しすぎて落ち着かないからって遠慮したのよね。
ただ、悪評が風化するにはそれなりに時間がかかる。いくら国王陛下が闇の忌み子たるわたしを是としても市民が否と判断すれば家族が迫害の対象になりかねない。汚物や石が家に投げ込まれるならまだしも直接危害が加えられてしまうかもしれなかった。
「アルテュールには礼を言っておけ。彼が家の者を使って世論を誘導したようだからな」
「アルテュールが!?」
ところがわたしの心配は杞憂だった。なんとアルテュールが王都市民にアランソン家の手の者を紛れ込ませてある事無い事を吹き込んでいったらしい。例えばわたしが闇属性だなんて根も葉もない噂に過ぎないとか、オルレアン家の評判を落とす汚い手口だとか。その見事な仕事は感心どころか若干恐れを抱いてしまった。
「オルレアン家の者にはそれぞれ一人ずつ執事か侍女が付き従い、身の回りの世話をすることになっている」
「時には主人の刃となり、そして時には主を命を賭して守る、ですね」
「オルレアン家の娘として扱う以上カトリーヌにも侍女を付ける」
お父様は更にわたし専属の侍女をあてがうと仰った。これはジャンヌに従うクロードさん、お母様の世話をするマダム・ドロテー方から何となく予想出来ていた。けれど従者だったわたしに従者が付く構図も何だか複雑に思えてしまうな。
「承知致しました。それでどなたがわたしの侍女になるんですか?」
「リュリュに任せようと考えている。元々カトリーヌ専属とするために教育を施していたが、今回を機に独り立ちさせる」
「……それでマダム・クロードから教えを受けていたんですか」
「カトリーヌとの顔合わせも兼ねている」
案の定と言うかリュリュはわたし専属侍女でした。わたしの前に姿を現したのはジャンヌとシャルルのデートでだったけれど、実はわたしが立法府でインターンシップもどきをやっていた時期から特別な教育を受け始めたんだそうだ。
つまり、その頃からお父様はわたしをオルレアン家に迎える気だったのかしら? それとも侍女の裁量権はお母様にもあるらしいからお母様の考え? ううむ、凄まじい勢いで外堀どころか内堀まで埋められていっている気がする。
「ようやく本当にお嬢様にお仕え出来ます。これからよろしくお願いします」
「やはり今まで通りとはいきませんか?」
「お嬢様のご命令でもそれはお聞き出来ません。ご了承ください」
「少し寂しいですけれど新たな出発とも考えられますね」
それからリュリュはわたしがジャンヌと離れる時間帯は傍に付くようになった。特に家に帰宅している間は夜通しで身辺警備に当たる、って聞いたので次の日から強引に家に上がってもらった。おかげで寝過ごしそうになったら彼女が起こしてくれるようになったりする。ちなみにわたしが学園にいる間に寝るんだとか。
「学園では謂れの無い迫害を受けないようにしておいたから」
「ありがとうございますシャルル殿下。しかしもう卒業を間近に控えて生徒会は次の方々に託したのでは?」
「そこは卑怯だけれど前生徒会長として口出しさせてもらったよ。カトリーヌはいずれ私の妹にもなるからね」
「んもう、殿下ったら」
学園ではブルターニュ伯閣下の逮捕劇のせいでわたしが闇属性だとは知れ渡ってしまっている。なものだから魔女として吊るし上げになる未来が目に見えていた。折角回避出来ていた悪役令嬢からの悪意に相当する陰湿ないじめを受けるのかなぁと心配だったわね。
ところがこれも蓋を開けてみたらシャルルが事前に根回しして闇属性持ちは悪ではないとするお達しを出していた。おかげで奇異な目で見られる事は多くても表立った嫌がらせは受けずに済んだ。まあ、シャルルやクレマンティーヌ様がいつもの変わらずに接して下さったのも効いたと思う。
「ところで教会の方なんだけれど、まだカトリーヌを……と言うより闇の担い手を罪深い存在としようと議論を重ねているらしいよ」
「大衆に悪だと吹き込んで回っていないだけ可愛いものですよ」
「確かに教会は王国に強い影響力を持っているし民衆からの支持を得ているけれど、同時に王権の庇護を失っては立ち行かなくなるって自覚もあるみたいだね。慎重に判断をするつもりのようだ」
「闇の申し子が神の敵だって前提が崩れた以上は時間の無駄な気がしますけれどね」
で、教会はまだ諦めていないらしい。わたし個人だったら追っ手を振り切って行方をくらませば済む。けれど家族やオルレアン家にまで罪を波及させるつもりなら断固として戦うまでね。わたしやアルテュールのような目に遭う子はもう沢山だから。
こんな感じで色々と変化はしたけれど概ね平穏な日常を取り戻せたと思う。相変わらずわたしはジャンヌと過ごす時間が一番多い。かと言ってジャンヌはシャルルとの会瀬も楽しむし、わたしもまたアルテュールに誘われて色々と遊んだりした。
……そう、不気味なぐらい平穏だった。
あのアルテミシアが起死回生の一手を繰り出してくる兆候も無かったんだ。
晴れて無罪放免になったわたしはようやく元の生活に戻れる……と思っていたのだけれど、そうは問屋が卸さなかった。
「おはようございます、カトリーヌお嬢様」
何かクロードさんを始めとして同僚のメイドのみんなからかしずかれるようになった。
「……あの、クロードさん? 一体どうしたんですか?」
「旦那様よりご命令が下りました。オルレアン家の娘だと公言した以上はそのように扱う、と」
「ですがジャンヌがわたしを普通の娘として扱うようにって……」
「そのご命令は取り下げられました」
詳しく聞くとわたしは一応ジャンヌ付き侍女を続けていいそうだし賃金も払われるんだそうだ。オルレアン公爵令嬢として無理に迎え入れるつもりは無いらしい。でもわたしが希望すればいつでも来てもいいようにはしておくんだとか。
仕方がないとは思う。今回の闇属性発覚で助かったのはわたしがオルレアン家の生まれだったからなのもあるし。何の後ろ盾も無い本当の貧弱一般娘だったら今頃魔女の烙印を押されて火刑に処されていた可能性が高い。わたしを救うために旦那様はオルレアン家に立場を危うくしかねない出生の秘密の札を切るしかなかったんだら、その恩には報いるべきだ。
……訂正、もうあの人を旦那様とは呼べないんだったっけ。
「エルマントルドを母と呼んでいるな?」
「はい、お母様の強いご希望で」
「では私の事も父と呼ぶように」
「ですが旦那様、それは……」
「そうか。教会との関係を悪化させてカトリーヌを守ったのだがな。そこまで言うのであれば」
「うぐっ……。お、お父……様」
お父様とお呼びしなければいけなくなりました。
『双子座』でもここまで生家と親密な関係を築けなかったのに。わたしが恥ずかしさいっぱいでお父様とお呼びしたら凄く満足げに、そして嬉しそうに微笑んでくれました。
「アランソン公家の次男と仲睦まじい関係を築いているそうだな」
「一緒の時間を過ごしていると楽しいですし嬉しいのは事実です」
「アランソン公と軽く話したのだが、やはりカトリーヌがオルレアン家の者であった方があちらも何かと都合がいいらしい」
お父様はアルテュールと生涯を共にするならカトリーヌ・ドルレアン公爵令嬢として嫁に行くべきだと語った。いや指輪まで貰っておきながらお茶を濁すつもりは無いけれど、さすがにオルレアンとアランソン両公爵家の間で話が済んでいたのは仰天物ですよ。
「アルテュール本人はわたしの身分なんて二の次だと言っていますが?」
「アランソン家にも分家筋は多い。得体の知れぬ庶民の娘を迎えたとなれば敵に回しかねん。無駄に事を荒立てる必要もないだろう」
貴族のお家騒動はわたしの想像が及ばない範疇。わたし個人ももうオルレアン家は第二の実家だって気持ちだから何ら抵抗は無い。ただアルテュールがアランソン家に留まりたいのかは分からない。彼が未だ生家に複雑な気持ちを抱いているかもしれない。彼の意思を尊重したいものだ。
「お父様。この度はわたしの家族を守っていただきまして本当にありがとうございました」
「カトリーヌをここまで立派に育てた者達だ。最大限の敬意を払って当然だな」
オルレアン邸で保護されていたわたしの家族も元の生活に戻れた。
お父様はわたしが望めば従者用宿舎に部屋を用意してもいいと仰ってくれた。オルレアン家には家族揃って仕える人達もいるから問題ないって。で、お母さん達に聞いたらやっぱり公爵様のお膝元だと緊張しすぎて落ち着かないからって遠慮したのよね。
ただ、悪評が風化するにはそれなりに時間がかかる。いくら国王陛下が闇の忌み子たるわたしを是としても市民が否と判断すれば家族が迫害の対象になりかねない。汚物や石が家に投げ込まれるならまだしも直接危害が加えられてしまうかもしれなかった。
「アルテュールには礼を言っておけ。彼が家の者を使って世論を誘導したようだからな」
「アルテュールが!?」
ところがわたしの心配は杞憂だった。なんとアルテュールが王都市民にアランソン家の手の者を紛れ込ませてある事無い事を吹き込んでいったらしい。例えばわたしが闇属性だなんて根も葉もない噂に過ぎないとか、オルレアン家の評判を落とす汚い手口だとか。その見事な仕事は感心どころか若干恐れを抱いてしまった。
「オルレアン家の者にはそれぞれ一人ずつ執事か侍女が付き従い、身の回りの世話をすることになっている」
「時には主人の刃となり、そして時には主を命を賭して守る、ですね」
「オルレアン家の娘として扱う以上カトリーヌにも侍女を付ける」
お父様は更にわたし専属の侍女をあてがうと仰った。これはジャンヌに従うクロードさん、お母様の世話をするマダム・ドロテー方から何となく予想出来ていた。けれど従者だったわたしに従者が付く構図も何だか複雑に思えてしまうな。
「承知致しました。それでどなたがわたしの侍女になるんですか?」
「リュリュに任せようと考えている。元々カトリーヌ専属とするために教育を施していたが、今回を機に独り立ちさせる」
「……それでマダム・クロードから教えを受けていたんですか」
「カトリーヌとの顔合わせも兼ねている」
案の定と言うかリュリュはわたし専属侍女でした。わたしの前に姿を現したのはジャンヌとシャルルのデートでだったけれど、実はわたしが立法府でインターンシップもどきをやっていた時期から特別な教育を受け始めたんだそうだ。
つまり、その頃からお父様はわたしをオルレアン家に迎える気だったのかしら? それとも侍女の裁量権はお母様にもあるらしいからお母様の考え? ううむ、凄まじい勢いで外堀どころか内堀まで埋められていっている気がする。
「ようやく本当にお嬢様にお仕え出来ます。これからよろしくお願いします」
「やはり今まで通りとはいきませんか?」
「お嬢様のご命令でもそれはお聞き出来ません。ご了承ください」
「少し寂しいですけれど新たな出発とも考えられますね」
それからリュリュはわたしがジャンヌと離れる時間帯は傍に付くようになった。特に家に帰宅している間は夜通しで身辺警備に当たる、って聞いたので次の日から強引に家に上がってもらった。おかげで寝過ごしそうになったら彼女が起こしてくれるようになったりする。ちなみにわたしが学園にいる間に寝るんだとか。
「学園では謂れの無い迫害を受けないようにしておいたから」
「ありがとうございますシャルル殿下。しかしもう卒業を間近に控えて生徒会は次の方々に託したのでは?」
「そこは卑怯だけれど前生徒会長として口出しさせてもらったよ。カトリーヌはいずれ私の妹にもなるからね」
「んもう、殿下ったら」
学園ではブルターニュ伯閣下の逮捕劇のせいでわたしが闇属性だとは知れ渡ってしまっている。なものだから魔女として吊るし上げになる未来が目に見えていた。折角回避出来ていた悪役令嬢からの悪意に相当する陰湿ないじめを受けるのかなぁと心配だったわね。
ところがこれも蓋を開けてみたらシャルルが事前に根回しして闇属性持ちは悪ではないとするお達しを出していた。おかげで奇異な目で見られる事は多くても表立った嫌がらせは受けずに済んだ。まあ、シャルルやクレマンティーヌ様がいつもの変わらずに接して下さったのも効いたと思う。
「ところで教会の方なんだけれど、まだカトリーヌを……と言うより闇の担い手を罪深い存在としようと議論を重ねているらしいよ」
「大衆に悪だと吹き込んで回っていないだけ可愛いものですよ」
「確かに教会は王国に強い影響力を持っているし民衆からの支持を得ているけれど、同時に王権の庇護を失っては立ち行かなくなるって自覚もあるみたいだね。慎重に判断をするつもりのようだ」
「闇の申し子が神の敵だって前提が崩れた以上は時間の無駄な気がしますけれどね」
で、教会はまだ諦めていないらしい。わたし個人だったら追っ手を振り切って行方をくらませば済む。けれど家族やオルレアン家にまで罪を波及させるつもりなら断固として戦うまでね。わたしやアルテュールのような目に遭う子はもう沢山だから。
こんな感じで色々と変化はしたけれど概ね平穏な日常を取り戻せたと思う。相変わらずわたしはジャンヌと過ごす時間が一番多い。かと言ってジャンヌはシャルルとの会瀬も楽しむし、わたしもまたアルテュールに誘われて色々と遊んだりした。
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