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授業⑤・魔竜は婚約破棄を宣言する
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「さて、これから皆様には素振りをしていただきます。あちらに様々な武器を揃えていますので、ご自分の好みに合わせてお選び下さい」
女子生徒全員がランニングを終えて休憩に入っていると、爽やかな笑顔をさせたレオンハルトが近くに陳列してある武具を指し示した。普段だったら見惚れる程の甘い顔も、今の体力作りで既に疲れ果ててしまった令嬢達からすれば恨めしい限りだった。
アーデルハイドは呼吸が落ち着かないまま膝に手を当てて脚と腰を踏ん張って立ち上がろうとするも、体勢を崩して大きくふらついてしまう。危うく倒れそうになる彼女の腕を取って支えたのはヴァルプルギスだった。
「む、ありがとう。助かった」
「どういたしまして」
アーデルハイドの全体重を支えているヴァルプルギスの腕はびくともしない。
「だが無理をしない方がいい。今日だけではなく明日にも支障が出るぞ」
「そうは言うが明日には明日の授業があろう。今日をさぼる訳にもいかぬ」
「そうか。お前の意志を尊重する」
用意されていた武器一式はさすがに殺傷力の無い木製の模造だった。それでも精々食器や本を手にするばかりの令嬢達にとっては木剣であっても重たく、切先を地面に引きずりながら持つのが精一杯な様子。槍を手にした令嬢は疲れから杖として使う始末だった。
アーデルハイドが手にしたのか片手剣。それでも筋肉も付いていないか細い腕ではやっとの思いで両手で持ち上げられる程度。素振りは到底出来そうもない。自力では無理と断念した彼女は力ある言葉を唱えて身体強化魔法を発動、片手で持ち上げる。
「……お姉様。さっき走っている時にも補助魔法使えばよかったんじゃないの?」
「実戦ではなく訓練なのだから初めから魔法に頼っていては意味がなかろう。今だって程よく腕に負荷がかかるように調整しているしな」
「律儀ね。授業をこなすだけなら横着したっていいのに」
「折角受けるのだから有意義に使いたいのだ」
成程、と頷いたアンネローゼが手にしていたのは小剣二本だった。まず右腕で軽く振って感覚を確かめ、次に左腕で軽く振るう。魔王としてもあまり武芸に明るくないアーデルハイドだったが、腕だけでさせる素振りの様子からアンネローゼも武器を手にした経験が無いと悟った。
「何だ? アンネローゼも食器より重い物を手にしていないクチか? てっきり学園入学前に予習をしているとばかり思っておったが?」
「どうせ学園で嫌でも鍛えられるんだからあえてやる気にならなくてもいいって考えたからよ」
「とは言えアンネローゼのさぼりを馬鹿には出来んな。おそらく大抵の令嬢は勉学面は家庭教師を雇って基本を身に付けてから入学するんだろうが、汗水流して剣を振るうなど前もってやった者は多くあるまい」
「武門の家でもない限り時間は礼儀作法と踊る練習につぎ込みたいんでしょうね」
担当教員の掛け声で令嬢が自分で選んだ武器を振るい始める。教員が手にしているのは羊皮紙を幾重にも追って片側だけ広げた武器。ユリアーナが「何でハリセンがあるのよ……」と驚いた代物だった。適当にお茶を濁す令嬢には容赦なくハリセンが飛んでいった。
アーデルハイドには意外だったが、ユリアーナが威勢よく矛を振り下ろす様は中々絵になっていた。よく考えれば彼女の事情は他の令嬢達と異なる。経済的に困窮した生活を送った彼女は身の回りの世話や力仕事も自分でこなしていたからか、力強さがそれなりに伴っていた。
「中々良いですよガーブリエル嬢。もう少し腕だけで振るわず腰を入れるようにしましょう」
「あ、りがとうござい、ますっ」
そうした令嬢達にレオンハルトは懇切丁寧に教えていった。口だけの説明に留まる事もあれば手取り足取り構えから矯正する場合もあった。素敵な殿方に触れられて頬を紅色に染める……ような余裕もなく、大半の者が指示をこなすのも精一杯だった。
しかし多くの令嬢達がヴァルプルギスには目を見張った。彼女は大人でも持ち上げるのが精一杯だろう無骨な大剣を軽々と扱っていた。それでいて姿勢は一切ブレが無く、いくら殺傷力の無い模造武具であっても人を叩き切れるのでは、と思わせる迫力があった。
授業も終盤に入るとほとんどの令嬢達は限界を迎えてその場に座り込んだり膝に手を置いて前かがみになったりした。最初はこんなものかと担任教師は淡々と言葉を発し、レオンハルトも同意して頷いた。
「……あの様子ではこの学園を卒業する頃には正規軍兵士顔負けの訓練になっていそうだな」
「さすがにそれはないんじゃないかしら?」
貴族令嬢の何人かはそんな容赦の無い指導を行うレオンハルト達に恐怖を覚える。アーデルハイドは棒のようになって手も足から力を抜いて地面に尻を付いた。傍のアンネローゼは起立したままだったが深呼吸をして息の乱れを整える。
「残った時間は見稽古をしていただきます。女性でも鍛えればそれなりに動けるんだと知っていただく為にですね。ヴァルプルギス、ちょっと前に出てきてもらえますか?」
あられもない姿を見せる令嬢方を前に爽やかな笑顔を崩さないレオンハルトは、己の婚約者の名を呼んだ。軽く身体を伸ばしていたヴァルプルギスは無言のままで前に歩み出る。彼女はレオンハルトの誘導に従って一定の距離を置いて相対する形となった。
「試合稽古といきましょう。どこからでもかかって来てください」
「……」
剣の腕では大人顔負けとも評判高いレオンハルトの実力の一端が見られるのか、と令嬢達は静かに見守る。レオンハルトは右手に剣を、左手に盾を装備して左半身を前に出す構えを取った。 一方のヴァルプルギスは稽古中に用いていた大剣を構えもせず静かにレオンハルトを見据え、剣を無造作に地面に放り投げた。この行動には令嬢達はおろかレオンハルトも僅かに驚きを見せる。
「どうかしましたか? 軽い手合せも嫌だと言うのでしたら……」
「剣など不要だ。私には自分の身体一つがあればいい」
ヴァルプルギスは両の拳を握りしめて身体の前の方に出した。
徒手空拳での構えを見た大半の者は何をしているのかと疑問を浮かべた。何人かはそれが拳で戦う拳闘士を髣髴とさせると感想を抱いた。そして武門の出のレオンハルトは後者だった。
「剣を装備した戦士に何も持たない令嬢が勝てるのかしらね?」
「明らかに間合いに差があるからな。彼女が一体どんな戦いをするのか知らぬが、不利には違いあるまい」
半分以上の令嬢はヴァルプルギスが成すすべなく叩き伏せられる、もしくはレオンハルトに剣を寸止めされて負けを認めると考えた。また何割かはレオンハルトがヴァルプルギスの攻撃を受け止め続ける光景を想像した。
「では、初め!」
「――ッ!?」
――そうした予想は、担当教員が試合開始を告げた直後に打ち砕かれた。
ヴァルプルギスが踏み込んだ途端、既に彼女は間合いを詰めてレオンハルトの懐に入り込もうとしていた。レオンハルトが咄嗟に反応して彼女へと剣を振り下ろそうとするも、ヴァルプルギスが振り上げた手に剣の腹を押さえられてしまう。更に……、
「こんなものか。期待外れもいい所だ」
ヴァルプルギスが息を吐いて力を込めると、レオンハルトの手にした模造剣は甲高い破裂音を立てて真っ二つにへし折れた。
そして彼女はレオンハルトが動揺する暇も無くもう片方の拳をその顎めがけて振り上げる。レオンハルトは咄嗟に盾で身を守ったが乙女の拳はそんなやわな防御を軽々と突破した。盾を端を破損させる形で。
ヴァルプルギスの拳がレオンハルトの顎に触れる。
触れて、終わった。
攻撃は寸止めに留まり彼の顎を揺らす事は無かった。それでも稽古とは言え試合の勝敗を決定付ける一打だったのは誰の目からも明白。
ヴァルプルギスはレオンハルトに圧勝して退けた。
「これでザイフリート家史上稀な天才だと? 笑わせるな。私の知るザイフリートの戦士はお前など足元にも及ばない強者だったぞ」
ヴァルプルギスはレオンハルトを軽く突き飛ばす。
敗北を受けて衝撃を隠しきれないレオンハルトの体勢は大きく揺らいだものの、何とか足を出して踏ん張った。彼を見つめるヴァルプルギスの眼差しは凍てつくように冷たく、失望に彩られていた。
「私は友と約束した。お前の伴侶として常に傍にいるに相応しい者になると。友はお前を事あるごとに褒めちぎっていたが……買いかぶっていたようだな」
「待ってくださいヴァルプルギス。君は……!」
「何も言うな。これ以上友を悲しませたくない」
ヴァルプルギスへと一歩踏み出したレオンハルトからは明らかに焦燥が見て取れた。そんな彼を彼女は手の平を突き出して拒絶する。試合の結果に静まり返っていた令嬢達はまさかの展開に大きくどよめく。
「レオンハルト・フォン・ザイフリート。私、ヴァルプルギス・フォン・ヴァルツェルはお前との婚約を破棄する」
そして、辺境伯令嬢は衝撃的な宣告を婚約者に向けて言い放った。
女子生徒全員がランニングを終えて休憩に入っていると、爽やかな笑顔をさせたレオンハルトが近くに陳列してある武具を指し示した。普段だったら見惚れる程の甘い顔も、今の体力作りで既に疲れ果ててしまった令嬢達からすれば恨めしい限りだった。
アーデルハイドは呼吸が落ち着かないまま膝に手を当てて脚と腰を踏ん張って立ち上がろうとするも、体勢を崩して大きくふらついてしまう。危うく倒れそうになる彼女の腕を取って支えたのはヴァルプルギスだった。
「む、ありがとう。助かった」
「どういたしまして」
アーデルハイドの全体重を支えているヴァルプルギスの腕はびくともしない。
「だが無理をしない方がいい。今日だけではなく明日にも支障が出るぞ」
「そうは言うが明日には明日の授業があろう。今日をさぼる訳にもいかぬ」
「そうか。お前の意志を尊重する」
用意されていた武器一式はさすがに殺傷力の無い木製の模造だった。それでも精々食器や本を手にするばかりの令嬢達にとっては木剣であっても重たく、切先を地面に引きずりながら持つのが精一杯な様子。槍を手にした令嬢は疲れから杖として使う始末だった。
アーデルハイドが手にしたのか片手剣。それでも筋肉も付いていないか細い腕ではやっとの思いで両手で持ち上げられる程度。素振りは到底出来そうもない。自力では無理と断念した彼女は力ある言葉を唱えて身体強化魔法を発動、片手で持ち上げる。
「……お姉様。さっき走っている時にも補助魔法使えばよかったんじゃないの?」
「実戦ではなく訓練なのだから初めから魔法に頼っていては意味がなかろう。今だって程よく腕に負荷がかかるように調整しているしな」
「律儀ね。授業をこなすだけなら横着したっていいのに」
「折角受けるのだから有意義に使いたいのだ」
成程、と頷いたアンネローゼが手にしていたのは小剣二本だった。まず右腕で軽く振って感覚を確かめ、次に左腕で軽く振るう。魔王としてもあまり武芸に明るくないアーデルハイドだったが、腕だけでさせる素振りの様子からアンネローゼも武器を手にした経験が無いと悟った。
「何だ? アンネローゼも食器より重い物を手にしていないクチか? てっきり学園入学前に予習をしているとばかり思っておったが?」
「どうせ学園で嫌でも鍛えられるんだからあえてやる気にならなくてもいいって考えたからよ」
「とは言えアンネローゼのさぼりを馬鹿には出来んな。おそらく大抵の令嬢は勉学面は家庭教師を雇って基本を身に付けてから入学するんだろうが、汗水流して剣を振るうなど前もってやった者は多くあるまい」
「武門の家でもない限り時間は礼儀作法と踊る練習につぎ込みたいんでしょうね」
担当教員の掛け声で令嬢が自分で選んだ武器を振るい始める。教員が手にしているのは羊皮紙を幾重にも追って片側だけ広げた武器。ユリアーナが「何でハリセンがあるのよ……」と驚いた代物だった。適当にお茶を濁す令嬢には容赦なくハリセンが飛んでいった。
アーデルハイドには意外だったが、ユリアーナが威勢よく矛を振り下ろす様は中々絵になっていた。よく考えれば彼女の事情は他の令嬢達と異なる。経済的に困窮した生活を送った彼女は身の回りの世話や力仕事も自分でこなしていたからか、力強さがそれなりに伴っていた。
「中々良いですよガーブリエル嬢。もう少し腕だけで振るわず腰を入れるようにしましょう」
「あ、りがとうござい、ますっ」
そうした令嬢達にレオンハルトは懇切丁寧に教えていった。口だけの説明に留まる事もあれば手取り足取り構えから矯正する場合もあった。素敵な殿方に触れられて頬を紅色に染める……ような余裕もなく、大半の者が指示をこなすのも精一杯だった。
しかし多くの令嬢達がヴァルプルギスには目を見張った。彼女は大人でも持ち上げるのが精一杯だろう無骨な大剣を軽々と扱っていた。それでいて姿勢は一切ブレが無く、いくら殺傷力の無い模造武具であっても人を叩き切れるのでは、と思わせる迫力があった。
授業も終盤に入るとほとんどの令嬢達は限界を迎えてその場に座り込んだり膝に手を置いて前かがみになったりした。最初はこんなものかと担任教師は淡々と言葉を発し、レオンハルトも同意して頷いた。
「……あの様子ではこの学園を卒業する頃には正規軍兵士顔負けの訓練になっていそうだな」
「さすがにそれはないんじゃないかしら?」
貴族令嬢の何人かはそんな容赦の無い指導を行うレオンハルト達に恐怖を覚える。アーデルハイドは棒のようになって手も足から力を抜いて地面に尻を付いた。傍のアンネローゼは起立したままだったが深呼吸をして息の乱れを整える。
「残った時間は見稽古をしていただきます。女性でも鍛えればそれなりに動けるんだと知っていただく為にですね。ヴァルプルギス、ちょっと前に出てきてもらえますか?」
あられもない姿を見せる令嬢方を前に爽やかな笑顔を崩さないレオンハルトは、己の婚約者の名を呼んだ。軽く身体を伸ばしていたヴァルプルギスは無言のままで前に歩み出る。彼女はレオンハルトの誘導に従って一定の距離を置いて相対する形となった。
「試合稽古といきましょう。どこからでもかかって来てください」
「……」
剣の腕では大人顔負けとも評判高いレオンハルトの実力の一端が見られるのか、と令嬢達は静かに見守る。レオンハルトは右手に剣を、左手に盾を装備して左半身を前に出す構えを取った。 一方のヴァルプルギスは稽古中に用いていた大剣を構えもせず静かにレオンハルトを見据え、剣を無造作に地面に放り投げた。この行動には令嬢達はおろかレオンハルトも僅かに驚きを見せる。
「どうかしましたか? 軽い手合せも嫌だと言うのでしたら……」
「剣など不要だ。私には自分の身体一つがあればいい」
ヴァルプルギスは両の拳を握りしめて身体の前の方に出した。
徒手空拳での構えを見た大半の者は何をしているのかと疑問を浮かべた。何人かはそれが拳で戦う拳闘士を髣髴とさせると感想を抱いた。そして武門の出のレオンハルトは後者だった。
「剣を装備した戦士に何も持たない令嬢が勝てるのかしらね?」
「明らかに間合いに差があるからな。彼女が一体どんな戦いをするのか知らぬが、不利には違いあるまい」
半分以上の令嬢はヴァルプルギスが成すすべなく叩き伏せられる、もしくはレオンハルトに剣を寸止めされて負けを認めると考えた。また何割かはレオンハルトがヴァルプルギスの攻撃を受け止め続ける光景を想像した。
「では、初め!」
「――ッ!?」
――そうした予想は、担当教員が試合開始を告げた直後に打ち砕かれた。
ヴァルプルギスが踏み込んだ途端、既に彼女は間合いを詰めてレオンハルトの懐に入り込もうとしていた。レオンハルトが咄嗟に反応して彼女へと剣を振り下ろそうとするも、ヴァルプルギスが振り上げた手に剣の腹を押さえられてしまう。更に……、
「こんなものか。期待外れもいい所だ」
ヴァルプルギスが息を吐いて力を込めると、レオンハルトの手にした模造剣は甲高い破裂音を立てて真っ二つにへし折れた。
そして彼女はレオンハルトが動揺する暇も無くもう片方の拳をその顎めがけて振り上げる。レオンハルトは咄嗟に盾で身を守ったが乙女の拳はそんなやわな防御を軽々と突破した。盾を端を破損させる形で。
ヴァルプルギスの拳がレオンハルトの顎に触れる。
触れて、終わった。
攻撃は寸止めに留まり彼の顎を揺らす事は無かった。それでも稽古とは言え試合の勝敗を決定付ける一打だったのは誰の目からも明白。
ヴァルプルギスはレオンハルトに圧勝して退けた。
「これでザイフリート家史上稀な天才だと? 笑わせるな。私の知るザイフリートの戦士はお前など足元にも及ばない強者だったぞ」
ヴァルプルギスはレオンハルトを軽く突き飛ばす。
敗北を受けて衝撃を隠しきれないレオンハルトの体勢は大きく揺らいだものの、何とか足を出して踏ん張った。彼を見つめるヴァルプルギスの眼差しは凍てつくように冷たく、失望に彩られていた。
「私は友と約束した。お前の伴侶として常に傍にいるに相応しい者になると。友はお前を事あるごとに褒めちぎっていたが……買いかぶっていたようだな」
「待ってくださいヴァルプルギス。君は……!」
「何も言うな。これ以上友を悲しませたくない」
ヴァルプルギスへと一歩踏み出したレオンハルトからは明らかに焦燥が見て取れた。そんな彼を彼女は手の平を突き出して拒絶する。試合の結果に静まり返っていた令嬢達はまさかの展開に大きくどよめく。
「レオンハルト・フォン・ザイフリート。私、ヴァルプルギス・フォン・ヴァルツェルはお前との婚約を破棄する」
そして、辺境伯令嬢は衝撃的な宣告を婚約者に向けて言い放った。
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