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覚醒①・侯爵令嬢は魔女と邂逅する
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ジークリット・フォン・キルヒヘルは妾の娘である。
物心が付いた頃に住んでいたのは帝都の貧民街の一角、今にも崩れ落ちそうな狭い家屋だったと記憶している。母は朝から晩まで働いて生計を立て、ジークリットもまた小間使い等の奉公で母子家庭を支えていた。生きるのが精一杯でお洒落もお勉強も無縁のまま育っていった。
彼女の母親は身体の半分以上に負った火傷を包帯で隠しており、多くの者から化け物呼ばわりされていた。しかし数少ない私物の中にある小さな絵画に描かれた若かりし日の母はとても美しく、娘であるジークリットを惹きつけた。
そんなジークリットは母から何度も同じ言葉を聞かされた。
「貴女は侯爵家キルヒヘルの娘です。如何なる境遇であっても誇り高くありなさい」
ジークリットは病で外出の回数が少なくなっていった母から過去を聞かされた。
母は田舎の男爵家に生を受けた。決して煌びやかな宝飾品や肌触りの良い上質な布地で出来たドレスとも無縁。それでも母は裕福でない自分を決して不幸とは思わなかった。他の田舎貴族に嫁いで同じような慎ましい生活を送って暖かな家庭を築くんだと信じていた。
だが、母はそんな普通な生活が許されるような普通の容姿をしていなかった。
侯爵家の若き当主に見初められて母の運命は一変した。
侯爵はその時既に正妻を迎えていた上に側室も何名か娶っていた。これ以上伴侶を増やせられなかった侯爵は、あろうことか婚姻しないままに母を己の女とする事にした。侯爵家の名と力の前ではどう足掻いても母やその家族である男爵家に拒否権は無く、母は縦に頷くしかなかった。
そうしてキルヒヘル家に内縁の形で嫁ぐしかなかった母だったが、意外にも侯爵当人は優しかったと語る。ただあまりにも寵愛を受けたものだから他の奥方からの恨みも買った。陰湿な嫌がらせを受ける日々が続いたものの、立場上言い返す事すら許されず、あまりに無力だった。
そんな母は侯爵の愛を受けて女の子、ジークリットを出産する。
それが多くの嫉妬を招く原因になるのも承知で。
ジークリットの誕生を受けて侯爵は母を正式にキルヒヘル家の一員とする手続きを進めていく。それで自分が捨てられると危惧した側室の一人は、とうとう凶行に踏み切った。彼女の美しさや珠のような赤子が侯爵の気を惹くのなら全て奪ってしまえ、と。
母は必死だった。自分が抱く赤子を危険から守ろうと。
だから母はジークリットに代わって煮立った油をその身に受けた。
賢明な治療により命は助かったものの、その美貌と熟れた身体には深い火傷跡が残された。
母は娘を守る選択を取った。引き留める侯爵を振り払って侯爵家の屋敷を後にして。これ以上女の愛憎が娘に降りかからないように。
母は成長したジークリットに真実を語ったものの、決して彼女にキルヒヘル家を頼れとは言わなかった。権力と財力が人を醜くするのだと嫌でも思い知らされた母は娘に平穏な人生を歩んでほしかったから。例え輝く社交界とは縁遠くても。
だが、ジークリットもまたそのような普通など許されてはいなかった。
母以上に美しく成長してしまったから。
彼女の評判は貧民街、市街と段々と広がっていき、とうとうキルヒヘル侯の耳にまで届いてしまった。侯爵は執務をかなぐり捨てて一目散にジークリット母娘の下へと足を運んだ。どうかまた侯爵家の屋敷に戻って来てほしい、と頭を下げる為に。
ジークリットは母を不幸にした貴族社会に踏み込みたくなかった。けれどこのまま必死に働いても母の病気を治す薬も買えやしない。給金の良い所で働こうにも学も能力も無いジークリットには稼ぐ手段がついに思いつかなかった。
「お願いします侯爵様。どうか母を助けてください」
ジークリットが侯爵家の娘となる条件として提示したのは母の救命だった。侯爵、ジークリットの実の父親は勿論だと頷いた。
二人は再び侯爵家の門を潜っていった。波乱に満ちた日常が繰り返されると承知で。
侯爵はジークリットにキルヒヘル家の娘として屋敷にいてくれればいいとだけ語った。けれどさすがのジークリットもキルヒヘル家の一員となる以上は家の生業に従うべきだと悟っていた。少しでも早く侯爵家の娘だと胸を張れるよう頑張ろうと心に決めた。
「わたしは、キルヒヘル家の名に恥じない魔導師になります」
キルヒヘル家は魔法を生業としている。
神聖帝国皇帝を守護する宮廷魔導師を数多く輩出し、魔導学の研究でも多大な功績を残している家系だ。キルヒヘル候は神聖帝国屈指の魔導師であり公共事業を数多く手掛けている。侯爵の親族も名声を得ている者が多い。そして侯爵の子供達は魔法の分野で揃って優秀な成績を収めている。
ところが悲しいかな、ジークリットには魔法の才能はこれっぽっちも無かった。
火を灯す、水滴を動かす、等の些細な現象を起こす程度の魔法の行使が精一杯。他の兄弟達が風を起こしたり地面を隆起させたりする中で、だ。
姉はジークリットを蔑み妹は彼女を見下した。上の兄は最初から期待しておらず下の兄は恥晒しだと吐き捨てた。使用人にも陰口を叩かれる始末だった。
ジークリットは侯爵家の屋敷で段々と居場所を失っていった。
そんな彼女の唯一の楽しみは、読書だった。本なら何でもよかった。旅行記でも歴史書でも教本でも。まだ印刷技術の発達しておらず本は貴重品。しかし侯爵家の蔵書はジークリットにとって自分の世界に浸り込むには十分すぎた。
中でも気に入ったのは自分と同じ名前の侯爵令嬢が登場する恋愛小説だった。その中のジークリットは太古の魔女の生まれ変わりで、主人公と恋仲になった殿方を魅了しようとする。最後は主人公と殿方が起こした奇跡で魔女は退治され、二人は幸せに結ばれる、と言う内容。
結末はともかく自分の名を持つ魔女が起こす現象は正におとぎ話そのもの。森を焼き払い、大雨を起こし、雷を落とす。神様の起こす天罰をも自分の技としてしまう程の叡智。そしてそんな自分への自信。憧れない訳が無かった。
そんなジークリットに転機が訪れる。
マクシミリアン・フォン・ザクセンとの出会いだった。
ザクセン家はキルヒヘル家と同じく魔法の名門。ザクセン家の者は歴史上キルヒヘル家の者と頻繁に夫婦になっており、家の結びつきが強い。
マクシミリアンはあと数年で成人に達する事から、キルヒヘル家の令嬢の中から誰か一人と婚約したいとキルヒヘル家に訪問してきた。
一目惚れだった。
彼の全てにジークリットの想いは持って行かれた。
少し無愛想な態度も、どこか寂しそうな雰囲気も、退廃的な思想も、全てが素敵だった。天使から愛の矢で射抜かれたのではと疑う程の衝撃だった。彼の顔を見たくてたまらないのにいざ目に映ると恥ずかしくて見ていられなかった。
けれど、ジークリットは自分の心を必死に殺した。自分のような落ちこぼれなんかがマクシミリアンと結ばれる? 夢の見すぎどころではない。両家の更なる発展の為に結ばれる婚約なのにどうして自分が選ばれよう?
隠しているつもりだったけれど隠しきれなかった。姉妹達からは露骨に危害を加えられるようになった。侯爵夫人からは「身の程を知れ」と皮肉たっぷりに釘を刺された。使用人達からは嘲笑までされる始末だった。
ずっとこの想いを殺し続けなければいけないのか?
そんな地獄に耐えられるほど強くないのに?
恋なんて知らなければよかった。
自分はただ、ささかやな幸せの中で生きていたかっただけなのに――!
「――愛は人に情熱を与え、そして狂わせる。いついかなる場所でも人は変わりませんねえ」
そんな声がどこからともなく聞こえてきたのは、とうとう誰もいない薄暗い自分の部屋の中で咽び泣いていた時だった。
ジークリットは辺りを見渡したけれどやはり人影は無い。とうとう幻聴まで聞こえてきたかと乾いた笑いが出そうになった時、再び声は聞こえてくる。
「ずっと貴女様を見ておりましたが、どうして最初から諦めていらっしゃるのです? まだ彼の方の婚約相手は決まっていないでしょう。一歩も踏み出さない者に奇蹟は起こりませんよ」
彼女は窓際のテーブル席に座っていた。その姿、その声、ジークリットは驚きの声を手で押さえるのが精一杯だった。何故なら鏡の向こうにいる自分と全く同じ存在が自分に対して微笑んでくるのだから。
ただ、月光に照らされた彼女は仕草一つをとっても妖美。本当に自分と瓜二つなのかは彼女を眺め続ける程に自信が無くなっていった。
誰か、と問うたジークリットに彼女はただこう自己紹介をした。
「魔女、とでもお呼び下さいまし」
物心が付いた頃に住んでいたのは帝都の貧民街の一角、今にも崩れ落ちそうな狭い家屋だったと記憶している。母は朝から晩まで働いて生計を立て、ジークリットもまた小間使い等の奉公で母子家庭を支えていた。生きるのが精一杯でお洒落もお勉強も無縁のまま育っていった。
彼女の母親は身体の半分以上に負った火傷を包帯で隠しており、多くの者から化け物呼ばわりされていた。しかし数少ない私物の中にある小さな絵画に描かれた若かりし日の母はとても美しく、娘であるジークリットを惹きつけた。
そんなジークリットは母から何度も同じ言葉を聞かされた。
「貴女は侯爵家キルヒヘルの娘です。如何なる境遇であっても誇り高くありなさい」
ジークリットは病で外出の回数が少なくなっていった母から過去を聞かされた。
母は田舎の男爵家に生を受けた。決して煌びやかな宝飾品や肌触りの良い上質な布地で出来たドレスとも無縁。それでも母は裕福でない自分を決して不幸とは思わなかった。他の田舎貴族に嫁いで同じような慎ましい生活を送って暖かな家庭を築くんだと信じていた。
だが、母はそんな普通な生活が許されるような普通の容姿をしていなかった。
侯爵家の若き当主に見初められて母の運命は一変した。
侯爵はその時既に正妻を迎えていた上に側室も何名か娶っていた。これ以上伴侶を増やせられなかった侯爵は、あろうことか婚姻しないままに母を己の女とする事にした。侯爵家の名と力の前ではどう足掻いても母やその家族である男爵家に拒否権は無く、母は縦に頷くしかなかった。
そうしてキルヒヘル家に内縁の形で嫁ぐしかなかった母だったが、意外にも侯爵当人は優しかったと語る。ただあまりにも寵愛を受けたものだから他の奥方からの恨みも買った。陰湿な嫌がらせを受ける日々が続いたものの、立場上言い返す事すら許されず、あまりに無力だった。
そんな母は侯爵の愛を受けて女の子、ジークリットを出産する。
それが多くの嫉妬を招く原因になるのも承知で。
ジークリットの誕生を受けて侯爵は母を正式にキルヒヘル家の一員とする手続きを進めていく。それで自分が捨てられると危惧した側室の一人は、とうとう凶行に踏み切った。彼女の美しさや珠のような赤子が侯爵の気を惹くのなら全て奪ってしまえ、と。
母は必死だった。自分が抱く赤子を危険から守ろうと。
だから母はジークリットに代わって煮立った油をその身に受けた。
賢明な治療により命は助かったものの、その美貌と熟れた身体には深い火傷跡が残された。
母は娘を守る選択を取った。引き留める侯爵を振り払って侯爵家の屋敷を後にして。これ以上女の愛憎が娘に降りかからないように。
母は成長したジークリットに真実を語ったものの、決して彼女にキルヒヘル家を頼れとは言わなかった。権力と財力が人を醜くするのだと嫌でも思い知らされた母は娘に平穏な人生を歩んでほしかったから。例え輝く社交界とは縁遠くても。
だが、ジークリットもまたそのような普通など許されてはいなかった。
母以上に美しく成長してしまったから。
彼女の評判は貧民街、市街と段々と広がっていき、とうとうキルヒヘル侯の耳にまで届いてしまった。侯爵は執務をかなぐり捨てて一目散にジークリット母娘の下へと足を運んだ。どうかまた侯爵家の屋敷に戻って来てほしい、と頭を下げる為に。
ジークリットは母を不幸にした貴族社会に踏み込みたくなかった。けれどこのまま必死に働いても母の病気を治す薬も買えやしない。給金の良い所で働こうにも学も能力も無いジークリットには稼ぐ手段がついに思いつかなかった。
「お願いします侯爵様。どうか母を助けてください」
ジークリットが侯爵家の娘となる条件として提示したのは母の救命だった。侯爵、ジークリットの実の父親は勿論だと頷いた。
二人は再び侯爵家の門を潜っていった。波乱に満ちた日常が繰り返されると承知で。
侯爵はジークリットにキルヒヘル家の娘として屋敷にいてくれればいいとだけ語った。けれどさすがのジークリットもキルヒヘル家の一員となる以上は家の生業に従うべきだと悟っていた。少しでも早く侯爵家の娘だと胸を張れるよう頑張ろうと心に決めた。
「わたしは、キルヒヘル家の名に恥じない魔導師になります」
キルヒヘル家は魔法を生業としている。
神聖帝国皇帝を守護する宮廷魔導師を数多く輩出し、魔導学の研究でも多大な功績を残している家系だ。キルヒヘル候は神聖帝国屈指の魔導師であり公共事業を数多く手掛けている。侯爵の親族も名声を得ている者が多い。そして侯爵の子供達は魔法の分野で揃って優秀な成績を収めている。
ところが悲しいかな、ジークリットには魔法の才能はこれっぽっちも無かった。
火を灯す、水滴を動かす、等の些細な現象を起こす程度の魔法の行使が精一杯。他の兄弟達が風を起こしたり地面を隆起させたりする中で、だ。
姉はジークリットを蔑み妹は彼女を見下した。上の兄は最初から期待しておらず下の兄は恥晒しだと吐き捨てた。使用人にも陰口を叩かれる始末だった。
ジークリットは侯爵家の屋敷で段々と居場所を失っていった。
そんな彼女の唯一の楽しみは、読書だった。本なら何でもよかった。旅行記でも歴史書でも教本でも。まだ印刷技術の発達しておらず本は貴重品。しかし侯爵家の蔵書はジークリットにとって自分の世界に浸り込むには十分すぎた。
中でも気に入ったのは自分と同じ名前の侯爵令嬢が登場する恋愛小説だった。その中のジークリットは太古の魔女の生まれ変わりで、主人公と恋仲になった殿方を魅了しようとする。最後は主人公と殿方が起こした奇跡で魔女は退治され、二人は幸せに結ばれる、と言う内容。
結末はともかく自分の名を持つ魔女が起こす現象は正におとぎ話そのもの。森を焼き払い、大雨を起こし、雷を落とす。神様の起こす天罰をも自分の技としてしまう程の叡智。そしてそんな自分への自信。憧れない訳が無かった。
そんなジークリットに転機が訪れる。
マクシミリアン・フォン・ザクセンとの出会いだった。
ザクセン家はキルヒヘル家と同じく魔法の名門。ザクセン家の者は歴史上キルヒヘル家の者と頻繁に夫婦になっており、家の結びつきが強い。
マクシミリアンはあと数年で成人に達する事から、キルヒヘル家の令嬢の中から誰か一人と婚約したいとキルヒヘル家に訪問してきた。
一目惚れだった。
彼の全てにジークリットの想いは持って行かれた。
少し無愛想な態度も、どこか寂しそうな雰囲気も、退廃的な思想も、全てが素敵だった。天使から愛の矢で射抜かれたのではと疑う程の衝撃だった。彼の顔を見たくてたまらないのにいざ目に映ると恥ずかしくて見ていられなかった。
けれど、ジークリットは自分の心を必死に殺した。自分のような落ちこぼれなんかがマクシミリアンと結ばれる? 夢の見すぎどころではない。両家の更なる発展の為に結ばれる婚約なのにどうして自分が選ばれよう?
隠しているつもりだったけれど隠しきれなかった。姉妹達からは露骨に危害を加えられるようになった。侯爵夫人からは「身の程を知れ」と皮肉たっぷりに釘を刺された。使用人達からは嘲笑までされる始末だった。
ずっとこの想いを殺し続けなければいけないのか?
そんな地獄に耐えられるほど強くないのに?
恋なんて知らなければよかった。
自分はただ、ささかやな幸せの中で生きていたかっただけなのに――!
「――愛は人に情熱を与え、そして狂わせる。いついかなる場所でも人は変わりませんねえ」
そんな声がどこからともなく聞こえてきたのは、とうとう誰もいない薄暗い自分の部屋の中で咽び泣いていた時だった。
ジークリットは辺りを見渡したけれどやはり人影は無い。とうとう幻聴まで聞こえてきたかと乾いた笑いが出そうになった時、再び声は聞こえてくる。
「ずっと貴女様を見ておりましたが、どうして最初から諦めていらっしゃるのです? まだ彼の方の婚約相手は決まっていないでしょう。一歩も踏み出さない者に奇蹟は起こりませんよ」
彼女は窓際のテーブル席に座っていた。その姿、その声、ジークリットは驚きの声を手で押さえるのが精一杯だった。何故なら鏡の向こうにいる自分と全く同じ存在が自分に対して微笑んでくるのだから。
ただ、月光に照らされた彼女は仕草一つをとっても妖美。本当に自分と瓜二つなのかは彼女を眺め続ける程に自信が無くなっていった。
誰か、と問うたジークリットに彼女はただこう自己紹介をした。
「魔女、とでもお呼び下さいまし」
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