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開幕①・魔王は悪役令嬢になりたい
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「参謀よ! 余は魔王を辞めるぞ!」
「はい? 今何と仰いました?」
「そして悪役令嬢に余はなるのだぁ!」
参謀と呼ばれた若い出で立ちの男性は己が仕える主、魔王の突然の発言に軽い頭痛を覚えた。魔王は「どうだ!」とばかりに胸を張ってくるものだから性質が悪かった。参謀は慌てて周囲を伺い、他の何者にも聞かれていない事を確認して安堵の吐息を漏らす。
人類圏と呼ばれる人類が暮らす地域から遠く東に離れた極寒の地。ここに神が創造した本来の生態系からはかけ離れた生物、人間が魔物または悪魔と呼ぶ者達が生息していた。そんな魔物を統べる覇者を人は魔王と呼んで恐れていた。
「して魔王様、悪役令嬢とは一体何なのでございましょうか?」
「うむ、よくぞ聞いてくれたぞ。余が退屈凌ぎに人間共の記した書物を読んでいるのは知っていよう?」
「ええ。魔王様の書斎には様々な種類の本がございますな」
「その中でも恋愛小説と呼ばれるヤツがあってな。それが面白くてたまらないのだ!」
そんな絶望の化身とまで語られる魔王は今、恋愛小説とは何かを参謀に熱く語って聞かせていた。参謀は大半の情報は不必要と判断して聞き流し、とりあえず恋に落ちる男女の話が記されていると頭の中で整理した。
「魔王様、それで悪役令嬢とは一体何者なのですか?」
「悪役令嬢とはな、文字通り悪役の令嬢を指すぞ。悪役令嬢が出る話では主人公の女の子はいたって普通の凡人なのだ。どこぞの貴族の庶子だったり実は異国の王女だったりしてもな、そこは守らなければいけない重要な点なのだぞ」
「はあ」
王座に鎮座する魔王とその傍らに控える参謀がいるのは魔王の居城、大魔宮。その最奥に位置する魔王の間であった。二人の他は侵入者を直ちに撃退するだけの存在である無機質な守護兵が整列しているのみ。猛吹雪が吹き荒ぶ外は日中でも薄暗く、魔王の間は松明の灯りのみで煌々と照らされていた。
そんな空間にこだまするのは魔王の意気揚々とした声と参謀の心がこもっていない生返事だけだった。
「便宜上その女の子をメインヒロインと呼ぼうぞ。こやつと恋仲になる男子はなんと国を統治する王子だったり将軍の息子だったりするのだ。普通の女子では到底吊り合わぬ高嶺の花と恋に落ちてしまうのだ」
「ではその悪役令嬢とやらはそのメインヒロインなる人物の邪魔をする者と?」
「そうなのだ! 悪役令嬢はメインヒロインめが惹かれた男との婚約者の場合が多い。王族には及ばぬものの国の要職を担う由緒正しい家系の娘が主なようだな」
魔王は一通り説明して満足したのか自慢げに鼻を鳴らした。王座に鎮座して脚を組んだ魔王は上目使いで参謀を見やる。一方の参謀は字面だけ理解したものの結局どうして魔王が悪役令嬢になりたいか分からずじまい。ひとまず空いた魔王のカップに飲み物を注ぎ直す。
「しかしそれでは魔王様は悪役令嬢にはなれますまい。何故なら御身は魔王であらせられます故、人間めの小娘になろうなどとは滑稽にも程が……」
「そなたならそう言うと思っておったわ。しかしこの本を読めばその考えも改めるであろう」
魔王は袖机に積み上げていた本の中から一冊抜き取って参謀に手渡した。その本の表紙には抽象画で人間の女子が描かれていた。更に題名も記されているようだが、その文字は参謀が知るどの文字にも似ていない未知の言語によるものだった。
参謀は表紙を広げて頁をめくってみる。人類や魔物が用いる文章は横書きだがこの本は縦書き。更に記された文字は全て書体が統一されている上に歪みが一切無かった。果たして現在の印刷技術や魔法を駆使してこれほどの本が作れるだろうか、と戦慄する。
「人間共はいつの間にこれ程の文明を持つように……?」
「いや、最近仕入れた他の書物は写本や木版印刷物であったな。余はその書物を人間共はおろか我々をも超える高度な技術の結晶だと睨んでる」
「それでいて記したのが恋愛小説とは、正に技能の無駄使いですね」
「もしくは娯楽に費やせるほど余裕があるか、だな。しかしそんな事はどうでも良いのだ。参謀はソレを読めるか?」
参謀は魔王に促されて力ある言葉を発する。すると彼の視界には本に記されている文章の横に魔物の用いる言語に翻訳された形で新たな文章が浮かび上がった。ただ横書きだったものだから参謀は自然と首を傾げて文字を追っていく。
「解読魔法を用いれば難しくないかと」
「内容はありきたりの恋愛小説であったな。メインヒロインが悪役令嬢から悪意を乗り越えて皇太子と真実の愛を成就させていたぞ」
参謀は人間の恋愛小説など読む気もしないので魔王からの大雑把な説明は大いに助かった。彼が興味を惹いたのはあくまで本の製作工程。どのようにしてここまで上質な本が出来上がったのか、彼はあれこれと想像を膨らませる。
とは言え、参謀は魔王が言いたいのはそこではないとも分かっていたので願望を自重した。
「しかしこの本の中身が魔王様の仰る通りでしたら何故悪役令嬢などになりたいと?」
「よくぞ聞いてくれたぞ。余は嬉しい!」
魔王は屈託のない笑顔を見せながら参謀が手にした本を指で軽く叩いた。あまりにも白く華奢な指なもので参謀は自分が手に取れば簡単に握り潰せてしまうのではないか、と一瞬だけ考えを巡らせた。無論、己の主がそんな程度ではないのは百も承知だが。
「これはな、予言の書なのだ」
「予言の書、でございますか?」
「うむ。この恋愛小説の舞台となっているのは丁度来年なのだ」
参謀は訝しげに眉をひそめつつ本の最初の頁を広げる。軽く流し読みすると確かに人間の用いる年号が記されており、もうじき訪れる来年の数字のようだった。更には舞台となる国は人類圏の国家の一つで、登場人物の家名もその国の有力貴族だと思い出す。
「実在する国や人間共を題材としているだけでは?」
「かもしれぬな。余とて予言の書とは勝手に名付けているだけだしな。しかしな、この恋愛小説の終盤ではなんと余が討伐されておるのだ!」
「……なんですって?」
今までおざなりに聞いていた参謀だったが、聞き捨てならない発言を受けて自然と声が低くなった。例え架空の創作であろうと己の主を害する存在を許しておくなど言語道断。胸の内で憤りを募らせる参謀を余所に魔王の説明は続く。
「このメインヒロインなのだが魔物を退ける光の担い手なのだ。更にメインヒロインと恋仲になる皇太子が余、と申すより魔王を滅ぼす勇者に目覚めるらしい」
「光の担い手と勇者とは由々しき事態でございますな」
「故に余はこの物語の中盤で皇太子の婚約者たる公爵令嬢の身体を乗っ取って両者を堕落させようと画策するのだが、失敗に終わり断罪されるようだな」
「……成程」
参謀は渡された書物を魔王が平積みした恋愛小説の上に置き、優雅に一礼をして踵を返そうとする。しかし去り際に魔王に袖を摘ままれて未遂に終わった。参謀が振り返ると魔王は不敵な笑いを浮かべていた。
「そなたの考えは手に取るように分かるぞ。光の御子と勇者が目覚める前に芽を摘むつもりであろう」
「察していただけているのであれば話は早うございます。どうかこの私に討伐の命を」
「ならぬ。だから言ったであろう、余が悪役令嬢になるとな」
「しかしその本が万が一魔王様の仰る通り予言の書で正しければ、御身が危険では?」
「それは物語中盤、即ち今から半年以上後に舞台に上がったせいであろう」
参謀はようやく魔王が言わんとしている事が理解出来た。魔王が手を叩くと奥より女性型の魔物の召使いが現れる。召使いは恭しく一礼すると恋愛小説の本束を丁重に下げていった。魔王は徐に立ち上がると傍に立てかけていた外套を手にし、それを大きく翻して羽織った。
「物語の序盤より余がおれば問題ない。後の勇者であろうが光の御子であろうが余の敵ではないわ。小娘共など余が直々に蹂躙してくれようぞ」
「何も貴女様自らが動かれなくとも私に命じていただければ暗殺者を派遣致しますが」
「あのなあ参謀よ。それではあまりに無粋であろう」
後ろに付き従う参謀へと魔王は振り向く。魔王と参謀の身長差は激しく、魔王は参謀を見上げる形になった。
「予言の書では余は負けたと記されておるのだ。言わばコレは挑戦状に他ならぬ。受けて立たずして何が魔王か」
「と、申されておりますが、実の所別の思惑がおありでしょう?」
「悪役令嬢として勝つ方が面白そうであろう!」
自由極まりない魔王の返答にやっぱり、と参謀は頭を抱えるしかなかった。
「はい? 今何と仰いました?」
「そして悪役令嬢に余はなるのだぁ!」
参謀と呼ばれた若い出で立ちの男性は己が仕える主、魔王の突然の発言に軽い頭痛を覚えた。魔王は「どうだ!」とばかりに胸を張ってくるものだから性質が悪かった。参謀は慌てて周囲を伺い、他の何者にも聞かれていない事を確認して安堵の吐息を漏らす。
人類圏と呼ばれる人類が暮らす地域から遠く東に離れた極寒の地。ここに神が創造した本来の生態系からはかけ離れた生物、人間が魔物または悪魔と呼ぶ者達が生息していた。そんな魔物を統べる覇者を人は魔王と呼んで恐れていた。
「して魔王様、悪役令嬢とは一体何なのでございましょうか?」
「うむ、よくぞ聞いてくれたぞ。余が退屈凌ぎに人間共の記した書物を読んでいるのは知っていよう?」
「ええ。魔王様の書斎には様々な種類の本がございますな」
「その中でも恋愛小説と呼ばれるヤツがあってな。それが面白くてたまらないのだ!」
そんな絶望の化身とまで語られる魔王は今、恋愛小説とは何かを参謀に熱く語って聞かせていた。参謀は大半の情報は不必要と判断して聞き流し、とりあえず恋に落ちる男女の話が記されていると頭の中で整理した。
「魔王様、それで悪役令嬢とは一体何者なのですか?」
「悪役令嬢とはな、文字通り悪役の令嬢を指すぞ。悪役令嬢が出る話では主人公の女の子はいたって普通の凡人なのだ。どこぞの貴族の庶子だったり実は異国の王女だったりしてもな、そこは守らなければいけない重要な点なのだぞ」
「はあ」
王座に鎮座する魔王とその傍らに控える参謀がいるのは魔王の居城、大魔宮。その最奥に位置する魔王の間であった。二人の他は侵入者を直ちに撃退するだけの存在である無機質な守護兵が整列しているのみ。猛吹雪が吹き荒ぶ外は日中でも薄暗く、魔王の間は松明の灯りのみで煌々と照らされていた。
そんな空間にこだまするのは魔王の意気揚々とした声と参謀の心がこもっていない生返事だけだった。
「便宜上その女の子をメインヒロインと呼ぼうぞ。こやつと恋仲になる男子はなんと国を統治する王子だったり将軍の息子だったりするのだ。普通の女子では到底吊り合わぬ高嶺の花と恋に落ちてしまうのだ」
「ではその悪役令嬢とやらはそのメインヒロインなる人物の邪魔をする者と?」
「そうなのだ! 悪役令嬢はメインヒロインめが惹かれた男との婚約者の場合が多い。王族には及ばぬものの国の要職を担う由緒正しい家系の娘が主なようだな」
魔王は一通り説明して満足したのか自慢げに鼻を鳴らした。王座に鎮座して脚を組んだ魔王は上目使いで参謀を見やる。一方の参謀は字面だけ理解したものの結局どうして魔王が悪役令嬢になりたいか分からずじまい。ひとまず空いた魔王のカップに飲み物を注ぎ直す。
「しかしそれでは魔王様は悪役令嬢にはなれますまい。何故なら御身は魔王であらせられます故、人間めの小娘になろうなどとは滑稽にも程が……」
「そなたならそう言うと思っておったわ。しかしこの本を読めばその考えも改めるであろう」
魔王は袖机に積み上げていた本の中から一冊抜き取って参謀に手渡した。その本の表紙には抽象画で人間の女子が描かれていた。更に題名も記されているようだが、その文字は参謀が知るどの文字にも似ていない未知の言語によるものだった。
参謀は表紙を広げて頁をめくってみる。人類や魔物が用いる文章は横書きだがこの本は縦書き。更に記された文字は全て書体が統一されている上に歪みが一切無かった。果たして現在の印刷技術や魔法を駆使してこれほどの本が作れるだろうか、と戦慄する。
「人間共はいつの間にこれ程の文明を持つように……?」
「いや、最近仕入れた他の書物は写本や木版印刷物であったな。余はその書物を人間共はおろか我々をも超える高度な技術の結晶だと睨んでる」
「それでいて記したのが恋愛小説とは、正に技能の無駄使いですね」
「もしくは娯楽に費やせるほど余裕があるか、だな。しかしそんな事はどうでも良いのだ。参謀はソレを読めるか?」
参謀は魔王に促されて力ある言葉を発する。すると彼の視界には本に記されている文章の横に魔物の用いる言語に翻訳された形で新たな文章が浮かび上がった。ただ横書きだったものだから参謀は自然と首を傾げて文字を追っていく。
「解読魔法を用いれば難しくないかと」
「内容はありきたりの恋愛小説であったな。メインヒロインが悪役令嬢から悪意を乗り越えて皇太子と真実の愛を成就させていたぞ」
参謀は人間の恋愛小説など読む気もしないので魔王からの大雑把な説明は大いに助かった。彼が興味を惹いたのはあくまで本の製作工程。どのようにしてここまで上質な本が出来上がったのか、彼はあれこれと想像を膨らませる。
とは言え、参謀は魔王が言いたいのはそこではないとも分かっていたので願望を自重した。
「しかしこの本の中身が魔王様の仰る通りでしたら何故悪役令嬢などになりたいと?」
「よくぞ聞いてくれたぞ。余は嬉しい!」
魔王は屈託のない笑顔を見せながら参謀が手にした本を指で軽く叩いた。あまりにも白く華奢な指なもので参謀は自分が手に取れば簡単に握り潰せてしまうのではないか、と一瞬だけ考えを巡らせた。無論、己の主がそんな程度ではないのは百も承知だが。
「これはな、予言の書なのだ」
「予言の書、でございますか?」
「うむ。この恋愛小説の舞台となっているのは丁度来年なのだ」
参謀は訝しげに眉をひそめつつ本の最初の頁を広げる。軽く流し読みすると確かに人間の用いる年号が記されており、もうじき訪れる来年の数字のようだった。更には舞台となる国は人類圏の国家の一つで、登場人物の家名もその国の有力貴族だと思い出す。
「実在する国や人間共を題材としているだけでは?」
「かもしれぬな。余とて予言の書とは勝手に名付けているだけだしな。しかしな、この恋愛小説の終盤ではなんと余が討伐されておるのだ!」
「……なんですって?」
今までおざなりに聞いていた参謀だったが、聞き捨てならない発言を受けて自然と声が低くなった。例え架空の創作であろうと己の主を害する存在を許しておくなど言語道断。胸の内で憤りを募らせる参謀を余所に魔王の説明は続く。
「このメインヒロインなのだが魔物を退ける光の担い手なのだ。更にメインヒロインと恋仲になる皇太子が余、と申すより魔王を滅ぼす勇者に目覚めるらしい」
「光の担い手と勇者とは由々しき事態でございますな」
「故に余はこの物語の中盤で皇太子の婚約者たる公爵令嬢の身体を乗っ取って両者を堕落させようと画策するのだが、失敗に終わり断罪されるようだな」
「……成程」
参謀は渡された書物を魔王が平積みした恋愛小説の上に置き、優雅に一礼をして踵を返そうとする。しかし去り際に魔王に袖を摘ままれて未遂に終わった。参謀が振り返ると魔王は不敵な笑いを浮かべていた。
「そなたの考えは手に取るように分かるぞ。光の御子と勇者が目覚める前に芽を摘むつもりであろう」
「察していただけているのであれば話は早うございます。どうかこの私に討伐の命を」
「ならぬ。だから言ったであろう、余が悪役令嬢になるとな」
「しかしその本が万が一魔王様の仰る通り予言の書で正しければ、御身が危険では?」
「それは物語中盤、即ち今から半年以上後に舞台に上がったせいであろう」
参謀はようやく魔王が言わんとしている事が理解出来た。魔王が手を叩くと奥より女性型の魔物の召使いが現れる。召使いは恭しく一礼すると恋愛小説の本束を丁重に下げていった。魔王は徐に立ち上がると傍に立てかけていた外套を手にし、それを大きく翻して羽織った。
「物語の序盤より余がおれば問題ない。後の勇者であろうが光の御子であろうが余の敵ではないわ。小娘共など余が直々に蹂躙してくれようぞ」
「何も貴女様自らが動かれなくとも私に命じていただければ暗殺者を派遣致しますが」
「あのなあ参謀よ。それではあまりに無粋であろう」
後ろに付き従う参謀へと魔王は振り向く。魔王と参謀の身長差は激しく、魔王は参謀を見上げる形になった。
「予言の書では余は負けたと記されておるのだ。言わばコレは挑戦状に他ならぬ。受けて立たずして何が魔王か」
「と、申されておりますが、実の所別の思惑がおありでしょう?」
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