28 / 65
第2-1章 紅玉宮妃→????(新版)
「美しい者には罰を、ですか」
しおりを挟む
次の日はいつもどおりの朝を迎えたものの、わたしは皇子妃としての正装に身を包んだ。夜鈴がものすごく気合を入れてくれたので仕上がりは思わず絶賛した程だ。
これなら堂々と公の場に姿を見せられる、と自信を持ったほどだ。
「では参りましょう、わたしの殿下」
「うん。行こうか僕の妃よ」
いつもなら出勤する暁明様を見送っていたわたしはこの日は違った。彼とともに紅玉宮を出発した。
彼が手を差し伸べてきたので、わたしは文句を口にしながらも自分の手を彼の手に絡ませた。……彼の手はいつの間にか大きくごつい、男の手になっていた。
途中、わたし達は皇太子妃と合流した。いつものように挨拶を送ろうとするも、いつもと全く違った様子に思わず言葉を失ってしまった。
わたしばかりでなく暁明様も驚いていたので、その異常さはわたしの錯覚ではないと確信できた。
「おはようございます、皇太子妃様」
「……」
皇太子妃はまるでこの世の終わりに遭遇したかのようだった。背中を丸めてうつむき加減、目は見開かれてうつろ。いつもより化粧が厚いのは顔色の悪さや目の下の隈をごまかすためか。足元もおぼつかず、今にも倒れそうなぐらい弱り果てていた。髪や服は整えられていたから、きっとお付きの侍女が良い仕事をしたんでしょう。
けれそそんな努力が台無しになるほど彼女は滅入っていた。何やらしきりに呟いたまま、挨拶して頭を垂れたわたしに気づきもせずに通り過ぎるぐらいに。
「皇太子妃様、顔色が良くありません。すぐにでも医務室に行きましょう」
さすがに黙って見過ごせないと思ったわたしは皇太子妃に声をかけた。
ようやく誰かから声をかけられたと気付いた彼女は苛立ち紛れに声の主、つまりわたしを睨みつけてきた。殺意すら込められていて正直悲鳴を上げそうだったのを今でも覚えている。
「あ……紅玉宮妃。ごめんなさい、驚かせてしまった?」
「わたくしの事なんてどうだっていいんです。それより気分が優れないようですが」
「ええ。昨日一睡も出来なかったもので」
どうして、と言葉に出かけて慌てて口を閉じた。皇太子妃がここまで憔悴した要因なんて一つしか考えられなかったからだ。
すなわち、皇太子が美少女にうつつを抜かしたためだ。
「いかに陛下のご命令だろうと無茶してはいけません。陛下にはわたしから説明致しますから、どうか安静に」
「大丈夫よ。心配してくれてありがとうね」
「ですが……!」
「大丈夫って言ってんでしょう……!」
皇太子妃は鬼のような形相でわたしの手を振り払った。
彼女は直後に息を荒げて自分の手を見つめ、ようやく何をやったかが分かったらしい。感情を抑制出来ていない辺り、この時の皇太子妃はとてつもなく追い詰められていたんでしょう。
「……駄目ね。これ以上は貴女を傷つけてしまいかねない。今日一日はわたくしに関わらない方がいいわ」
「皇太子妃様!」
「貴女は何も悪くない。これは皇太子殿下と私の問題だもの……」
もう何も話すことは無いと会話を打ち切った皇太子妃は踵を返して再び歩み始めた。もはやわたしを含めた義理の妹達にとって頼もしくて尊敬する相手だった彼女からは見る影もなかった。
たった一日で全てが変わった。しかしこれで終わりではないとの確信もあった。
一体どうなってしまうのか、わたしはとてつもなく不安に駆られた。
■■■
会議場には名だたる文官達が集っていた。春華国の政治がここで行われているかと思うと皆に敬意を払いたくなった。
けれど皇子妃として姿を表したわたしが逆に敬われるので、納得いかずともわたしは立場に相応しく振る舞った。
「……随分と重々しい雰囲気ですけど、いつもこんな感じなんですか?」
「いや、僕もそう回数こなしてないから、何とも言えないかな」
「ああ、そう言えばわたしの殿下って成人したてでしたね」
女性としての参加者はわたしを含めても両手で数えられる程度しかいなかった。どうも皇帝は自分の妃と皇子妃にのみ参加を命じたらしい。他は男性が占めていた。後から聞いた話ではごく一部女性の文官もいたらしいけれど、男装していたそうだ。
上座におわす皇太子は座して会議が始まるのを待っている。ただし表情は険しく、ご機嫌斜めなようだ。
その隣の皇太子妃は心配になるほど気分が優れていない。何度も皇太子の方へ視線を送るも皇太子は妃に一度たりとも気にかける様子はなかった。とてもいたたまれない。
皇帝および皇后が来場、二人共表情が芳しくない。ただでさえ皇太后のご逝去で混乱の只中にある中でその元凶をどうするかで揉めているんだから、心労は計り知れまい。疲れを隠そうとしないのも頷ける。
「では、始めよう。皆の者、引き続き臆すること無く意見を述べよ」
皇帝の言葉を皮切りに始まった美少女の処遇を巡っての会議は、前日暁明様から聞いていたより何倍も醜い……もとい、熾烈な意見の交わし合いになった。特にぶつかっていたのは皇太子と第三皇子だった。
「何度も言っているだろう! あれほどの美しさはもはや国として見過ごせない! 利用される前に国をあげて保護すべきだろう!」
「だから兄上の妃として迎え入れると? 皇太子の妃になる事の重要性をまだ分かっていないようですね。それより彼女はぼくが娶るべきでしょう。周辺諸国との外交の場に参加させれば相手は骨抜き。有利な条件を引き出してみせますよ」
尤もらしい理由を並べてはいたものの、結局の所二人は美少女を我が物にしたい一心だとは明白だった。これを受けて皇太子派や第三皇子派の文官達が賛同する意見を補足してさらに混迷を深めていくこととなった。
「ええい、兄者も翠玉宮も見損なったぞ! あんな小娘一人に入れあげおって! 二度と目に触れないためにも蛮族共にくれてやれば良いのだ!」
「何を言うか青玉宮! それでは国が計り知れない損失を被るだろう!」
「一目見ただけで昨日の様だったんだから、相手に利用されたらお終いだよね。青玉の兄上ったらそんな単純なことも分からないのかい?」
「貴様ら……! どこまでふぬけるつもりだ!」
そんな有様の兄と弟に第二皇子が怒鳴り声をあげるのだから更に収集が付きそうになかった。やはりこの場は皇帝に収めてもらう他無いのだけれど、皇帝は見苦しい言い争いに成り果てたこの場をただ眺めるだけだった。
「静まれ」
けれど皇子達が日付をまたいでも自分の意見を曲げるつもりがないと悟ったのか、皇帝は一声で皆を黙らせた。さすがの皇子達も逆らえず、不満を抱えたままで口を閉ざす。
「まだ黒曜宮と紅玉宮、それから猫目宮の意見を聞いていなかったな。朕が許す、正直な意見を申せ」
静観を決め込んでいた暁明様達が意見を振られ、こちら側に視線が集まった。
暁明様は落ち着いた様子で兄たる黒曜宮こと第四皇子からと促した。容赦無いな、と思ったのはわたしだけではなく、第二皇女も呆れていた。
「ぼ……わたしは……彼女をとても綺麗だと思いました。まるで天女が目の前に降り立ったみたいで……」
「黒曜宮! 今は貴様の戯言を聞いている暇など……!」
「青玉宮、黙らぬか。それで黒曜宮よ、その感想を踏まえてあの娘をどう扱う?」
「僕のお嫁さんにしたいなあ、と思いました」
とどのつまり、第四皇子がその選択でどれほど国に影響を及ぼすかの建前すら無しに美少女を欲しがったのだ。病弱な彼を片時も離れず世話をする黒曜宮妃が青ざめて見つめていたのが気の毒でならなかった。
けれど私情を抜きにしたら有りかもしれない、とも思った。何せ第四皇子は普段寝込んでいるのもあって政治的影響力は皆無に等しい。皇子を嫁がせたなら西伯候の面目も立つし、第四皇子の妃なら立場的に宮廷での影響も限定的になるでしょうし。
「猫目宮はどう考える?」
「男性禁制の尼寺に送るべきかと。今後も兄様方のような争いを招きかねません」
「紅玉宮はどうか?」
「まずは西伯候に判断を委ねたらどうでしょうか? 娘さんに罪はありませんし」
「ふむ」
第二皇女の意見は美少女が可愛そうって点を除けば一番無難か。ただその尼寺すら美少女の魅力にやられて堕落しそうで怖いのだけれど。
暁明様の提案は完全に丸投げよね。むしろ西伯候は美少女を連れてくればこうなると分かっていたとも考えられ、この件を利用して西伯候にいちゃもんつけて罰すれば大幅に制限を加えられる。
「では妃達の意見も聞こう。そうだな……我が后はどうか?」
「猫目宮に賛同いたします、我が君。放っておくわけにはいきません」
「次に皇太子妃は?」
いよいよ出番となって呼びかけられた皇太子妃は一瞬身体を震わせ、自分の身体を抱きしめながらも顔を上げた。アレが皇太子妃か、と何名かの文官が驚きを隠せなかったほどの形相だった。
「恐れながら申し上げますが、あの者は災いをもたらします。即刻消すべきです」
そして目がすわった彼女は恐ろしい提案をしたのだった。
これなら堂々と公の場に姿を見せられる、と自信を持ったほどだ。
「では参りましょう、わたしの殿下」
「うん。行こうか僕の妃よ」
いつもなら出勤する暁明様を見送っていたわたしはこの日は違った。彼とともに紅玉宮を出発した。
彼が手を差し伸べてきたので、わたしは文句を口にしながらも自分の手を彼の手に絡ませた。……彼の手はいつの間にか大きくごつい、男の手になっていた。
途中、わたし達は皇太子妃と合流した。いつものように挨拶を送ろうとするも、いつもと全く違った様子に思わず言葉を失ってしまった。
わたしばかりでなく暁明様も驚いていたので、その異常さはわたしの錯覚ではないと確信できた。
「おはようございます、皇太子妃様」
「……」
皇太子妃はまるでこの世の終わりに遭遇したかのようだった。背中を丸めてうつむき加減、目は見開かれてうつろ。いつもより化粧が厚いのは顔色の悪さや目の下の隈をごまかすためか。足元もおぼつかず、今にも倒れそうなぐらい弱り果てていた。髪や服は整えられていたから、きっとお付きの侍女が良い仕事をしたんでしょう。
けれそそんな努力が台無しになるほど彼女は滅入っていた。何やらしきりに呟いたまま、挨拶して頭を垂れたわたしに気づきもせずに通り過ぎるぐらいに。
「皇太子妃様、顔色が良くありません。すぐにでも医務室に行きましょう」
さすがに黙って見過ごせないと思ったわたしは皇太子妃に声をかけた。
ようやく誰かから声をかけられたと気付いた彼女は苛立ち紛れに声の主、つまりわたしを睨みつけてきた。殺意すら込められていて正直悲鳴を上げそうだったのを今でも覚えている。
「あ……紅玉宮妃。ごめんなさい、驚かせてしまった?」
「わたくしの事なんてどうだっていいんです。それより気分が優れないようですが」
「ええ。昨日一睡も出来なかったもので」
どうして、と言葉に出かけて慌てて口を閉じた。皇太子妃がここまで憔悴した要因なんて一つしか考えられなかったからだ。
すなわち、皇太子が美少女にうつつを抜かしたためだ。
「いかに陛下のご命令だろうと無茶してはいけません。陛下にはわたしから説明致しますから、どうか安静に」
「大丈夫よ。心配してくれてありがとうね」
「ですが……!」
「大丈夫って言ってんでしょう……!」
皇太子妃は鬼のような形相でわたしの手を振り払った。
彼女は直後に息を荒げて自分の手を見つめ、ようやく何をやったかが分かったらしい。感情を抑制出来ていない辺り、この時の皇太子妃はとてつもなく追い詰められていたんでしょう。
「……駄目ね。これ以上は貴女を傷つけてしまいかねない。今日一日はわたくしに関わらない方がいいわ」
「皇太子妃様!」
「貴女は何も悪くない。これは皇太子殿下と私の問題だもの……」
もう何も話すことは無いと会話を打ち切った皇太子妃は踵を返して再び歩み始めた。もはやわたしを含めた義理の妹達にとって頼もしくて尊敬する相手だった彼女からは見る影もなかった。
たった一日で全てが変わった。しかしこれで終わりではないとの確信もあった。
一体どうなってしまうのか、わたしはとてつもなく不安に駆られた。
■■■
会議場には名だたる文官達が集っていた。春華国の政治がここで行われているかと思うと皆に敬意を払いたくなった。
けれど皇子妃として姿を表したわたしが逆に敬われるので、納得いかずともわたしは立場に相応しく振る舞った。
「……随分と重々しい雰囲気ですけど、いつもこんな感じなんですか?」
「いや、僕もそう回数こなしてないから、何とも言えないかな」
「ああ、そう言えばわたしの殿下って成人したてでしたね」
女性としての参加者はわたしを含めても両手で数えられる程度しかいなかった。どうも皇帝は自分の妃と皇子妃にのみ参加を命じたらしい。他は男性が占めていた。後から聞いた話ではごく一部女性の文官もいたらしいけれど、男装していたそうだ。
上座におわす皇太子は座して会議が始まるのを待っている。ただし表情は険しく、ご機嫌斜めなようだ。
その隣の皇太子妃は心配になるほど気分が優れていない。何度も皇太子の方へ視線を送るも皇太子は妃に一度たりとも気にかける様子はなかった。とてもいたたまれない。
皇帝および皇后が来場、二人共表情が芳しくない。ただでさえ皇太后のご逝去で混乱の只中にある中でその元凶をどうするかで揉めているんだから、心労は計り知れまい。疲れを隠そうとしないのも頷ける。
「では、始めよう。皆の者、引き続き臆すること無く意見を述べよ」
皇帝の言葉を皮切りに始まった美少女の処遇を巡っての会議は、前日暁明様から聞いていたより何倍も醜い……もとい、熾烈な意見の交わし合いになった。特にぶつかっていたのは皇太子と第三皇子だった。
「何度も言っているだろう! あれほどの美しさはもはや国として見過ごせない! 利用される前に国をあげて保護すべきだろう!」
「だから兄上の妃として迎え入れると? 皇太子の妃になる事の重要性をまだ分かっていないようですね。それより彼女はぼくが娶るべきでしょう。周辺諸国との外交の場に参加させれば相手は骨抜き。有利な条件を引き出してみせますよ」
尤もらしい理由を並べてはいたものの、結局の所二人は美少女を我が物にしたい一心だとは明白だった。これを受けて皇太子派や第三皇子派の文官達が賛同する意見を補足してさらに混迷を深めていくこととなった。
「ええい、兄者も翠玉宮も見損なったぞ! あんな小娘一人に入れあげおって! 二度と目に触れないためにも蛮族共にくれてやれば良いのだ!」
「何を言うか青玉宮! それでは国が計り知れない損失を被るだろう!」
「一目見ただけで昨日の様だったんだから、相手に利用されたらお終いだよね。青玉の兄上ったらそんな単純なことも分からないのかい?」
「貴様ら……! どこまでふぬけるつもりだ!」
そんな有様の兄と弟に第二皇子が怒鳴り声をあげるのだから更に収集が付きそうになかった。やはりこの場は皇帝に収めてもらう他無いのだけれど、皇帝は見苦しい言い争いに成り果てたこの場をただ眺めるだけだった。
「静まれ」
けれど皇子達が日付をまたいでも自分の意見を曲げるつもりがないと悟ったのか、皇帝は一声で皆を黙らせた。さすがの皇子達も逆らえず、不満を抱えたままで口を閉ざす。
「まだ黒曜宮と紅玉宮、それから猫目宮の意見を聞いていなかったな。朕が許す、正直な意見を申せ」
静観を決め込んでいた暁明様達が意見を振られ、こちら側に視線が集まった。
暁明様は落ち着いた様子で兄たる黒曜宮こと第四皇子からと促した。容赦無いな、と思ったのはわたしだけではなく、第二皇女も呆れていた。
「ぼ……わたしは……彼女をとても綺麗だと思いました。まるで天女が目の前に降り立ったみたいで……」
「黒曜宮! 今は貴様の戯言を聞いている暇など……!」
「青玉宮、黙らぬか。それで黒曜宮よ、その感想を踏まえてあの娘をどう扱う?」
「僕のお嫁さんにしたいなあ、と思いました」
とどのつまり、第四皇子がその選択でどれほど国に影響を及ぼすかの建前すら無しに美少女を欲しがったのだ。病弱な彼を片時も離れず世話をする黒曜宮妃が青ざめて見つめていたのが気の毒でならなかった。
けれど私情を抜きにしたら有りかもしれない、とも思った。何せ第四皇子は普段寝込んでいるのもあって政治的影響力は皆無に等しい。皇子を嫁がせたなら西伯候の面目も立つし、第四皇子の妃なら立場的に宮廷での影響も限定的になるでしょうし。
「猫目宮はどう考える?」
「男性禁制の尼寺に送るべきかと。今後も兄様方のような争いを招きかねません」
「紅玉宮はどうか?」
「まずは西伯候に判断を委ねたらどうでしょうか? 娘さんに罪はありませんし」
「ふむ」
第二皇女の意見は美少女が可愛そうって点を除けば一番無難か。ただその尼寺すら美少女の魅力にやられて堕落しそうで怖いのだけれど。
暁明様の提案は完全に丸投げよね。むしろ西伯候は美少女を連れてくればこうなると分かっていたとも考えられ、この件を利用して西伯候にいちゃもんつけて罰すれば大幅に制限を加えられる。
「では妃達の意見も聞こう。そうだな……我が后はどうか?」
「猫目宮に賛同いたします、我が君。放っておくわけにはいきません」
「次に皇太子妃は?」
いよいよ出番となって呼びかけられた皇太子妃は一瞬身体を震わせ、自分の身体を抱きしめながらも顔を上げた。アレが皇太子妃か、と何名かの文官が驚きを隠せなかったほどの形相だった。
「恐れながら申し上げますが、あの者は災いをもたらします。即刻消すべきです」
そして目がすわった彼女は恐ろしい提案をしたのだった。
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
夫の不貞現場を目撃してしまいました
秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。
何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。
そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。
なろう様でも掲載しております。
怠け狐に傾国の美女とか無理ですから! 妖狐後宮演義
福留しゅん
キャラ文芸
旧題:怠狐演義 ~傾国の美女として国を破滅させるなんて無理ですから!~
「今すぐ地上に行って国を滅ぼしてこい」「はい?」
従属神の末喜はいつものようにお日様の下で菓子をかじりながら怠惰を貪っていたら、突如主人である創造母神から無茶ふりをされて次の日には出発するはめになる。ところが地上に降り立ったところを青年に見られてその青年、滅ぼすべき夏国の皇太子・癸と縁が出来てしまう。後宮入りして傾国の女狐として国を滅ぼす算段を立てていくも、何かと癸と関わるようになってしまい、夏国滅亡計画はあらぬ方向へいくことになる。
「愛しの末喜よ。そなたを俺の后に」「どうしてそうなるんですか!?」
※完結済み
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる