17 / 31
告白
しおりを挟む
「でも、そんな心配いらなかったみたいだよね」
「そ、そうだね」
「あのさ、あのときは僕もいっぱいいっぱいで言えなかったんだけど」
「なに?」
「……僕も、好きだよ」
「……え?」
「だから、僕も夏生くんのことが好きだよって。何回も好きって言ってくれたじゃん」
榛名くんが好きと言ってくれた。それは、めちゃくちゃに嬉しい。
けれど、僕も、という言葉に引っかかった。俺の好意はバレバレだろうし話したような覚えもあるけれど、ちゃんと告白した記憶はなかった。
「……え!? 俺告白してたの!?」
「覚えてないの?ひどいなあ、本気じゃなかったってこと?」
「本気!!!じゃない訳ない!!めっちゃ好き!!……言った覚えは正直ないですけど、好きなのは本当です!!」
「声でか」
好きだって、言えなかったと俺は思っていた。俺が自覚もなく何かを言ってしまっていたとしたら、タイミングはひとつしかない。
「俺、なんか最後のほうはマジで興奮しすぎて頭回ってなくて……」
「まあ、そうかもなとは思ったけどさ。僕のことめちゃめちゃにしながら、数えきれないくらい好き、好き、かわいいってたくさん言ってたよ」
「あーーーーまじで恥ずかしいやめて」
「僕は嬉しかったんだけど」
「俺は恥ずかしい」
「あはは、うける」
おかしそうに笑ってる榛名くんは本当にかわいいけれど、熱に浮かされたような勢いで告白してしまっていたことを知って、俺はものすごく恥ずかしい。顔から火が出そうなんて言うけれど、こういう感じのことか、と身をもって実感した。
夢でも見ているんじゃないかと思う。だって、つい数日前までは、彼の動画をスマホで眺めながら毎日なんじゃないかってくらい一人でシていたんだ。
「ね、僕と付き合ってくれる?」
こんなこと、妄想でしかあり得ない。今だって、彼が目の前に居るということさえちょっと信じられないのに、彼が動画で聞いていたあの声で、俺に告白してくれている。
「……っ! 俺と、付き合ってください!」
「あはは、お願いし返されちゃった」
絶対俺のほうが榛名くんのことを好きなのに、好きになったのは俺が先なのに、榛名くんに告白させてしまうのはなんだか自分の気が済まなかった。改めて自分からも告白したら、榛名くんは笑っていた。イエスもノーも返ってきていないのに、怖くはなかった。
「じゃあ、これからよろしくね、夏生くん」
「~~っ!嬉しい、大事にします」
「僕も」
自分でもまだ事態が飲み込めていない部分もあるけれど、覚悟は決まっている。
叶うなんてちっとも思っていなかった恋だけれど、俺の緊張も何もかもを、全然特別じゃないかのように当たり前に受け入れて笑っていてくれる榛名くんを見ていると、ああ、これって現実なんだなという実感を得られる。
そして、現実味のなかった恋は、実って一度手にしてしまえば、もう絶対に離したくない、離すものかと思えた。
「そ、そうだね」
「あのさ、あのときは僕もいっぱいいっぱいで言えなかったんだけど」
「なに?」
「……僕も、好きだよ」
「……え?」
「だから、僕も夏生くんのことが好きだよって。何回も好きって言ってくれたじゃん」
榛名くんが好きと言ってくれた。それは、めちゃくちゃに嬉しい。
けれど、僕も、という言葉に引っかかった。俺の好意はバレバレだろうし話したような覚えもあるけれど、ちゃんと告白した記憶はなかった。
「……え!? 俺告白してたの!?」
「覚えてないの?ひどいなあ、本気じゃなかったってこと?」
「本気!!!じゃない訳ない!!めっちゃ好き!!……言った覚えは正直ないですけど、好きなのは本当です!!」
「声でか」
好きだって、言えなかったと俺は思っていた。俺が自覚もなく何かを言ってしまっていたとしたら、タイミングはひとつしかない。
「俺、なんか最後のほうはマジで興奮しすぎて頭回ってなくて……」
「まあ、そうかもなとは思ったけどさ。僕のことめちゃめちゃにしながら、数えきれないくらい好き、好き、かわいいってたくさん言ってたよ」
「あーーーーまじで恥ずかしいやめて」
「僕は嬉しかったんだけど」
「俺は恥ずかしい」
「あはは、うける」
おかしそうに笑ってる榛名くんは本当にかわいいけれど、熱に浮かされたような勢いで告白してしまっていたことを知って、俺はものすごく恥ずかしい。顔から火が出そうなんて言うけれど、こういう感じのことか、と身をもって実感した。
夢でも見ているんじゃないかと思う。だって、つい数日前までは、彼の動画をスマホで眺めながら毎日なんじゃないかってくらい一人でシていたんだ。
「ね、僕と付き合ってくれる?」
こんなこと、妄想でしかあり得ない。今だって、彼が目の前に居るということさえちょっと信じられないのに、彼が動画で聞いていたあの声で、俺に告白してくれている。
「……っ! 俺と、付き合ってください!」
「あはは、お願いし返されちゃった」
絶対俺のほうが榛名くんのことを好きなのに、好きになったのは俺が先なのに、榛名くんに告白させてしまうのはなんだか自分の気が済まなかった。改めて自分からも告白したら、榛名くんは笑っていた。イエスもノーも返ってきていないのに、怖くはなかった。
「じゃあ、これからよろしくね、夏生くん」
「~~っ!嬉しい、大事にします」
「僕も」
自分でもまだ事態が飲み込めていない部分もあるけれど、覚悟は決まっている。
叶うなんてちっとも思っていなかった恋だけれど、俺の緊張も何もかもを、全然特別じゃないかのように当たり前に受け入れて笑っていてくれる榛名くんを見ていると、ああ、これって現実なんだなという実感を得られる。
そして、現実味のなかった恋は、実って一度手にしてしまえば、もう絶対に離したくない、離すものかと思えた。
58
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
皇帝の肉便器
眠りん
BL
この国の皇宮では、皇太子付きの肉便器というシステムがある。
男性限定で、死刑となった者に懲罰を与えた後、死ぬまで壁尻となる処刑法である。
懲罰による身体の傷と飢えの中犯され、殆どが三日で絶命する。
皇太子のウェルディスが十二歳となった時に、肉便器部屋で死刑囚を使った自慰行為を教わり、大人になって王位に就いてからも利用していた。
肉便器というのは、人間のとしての価値がなくなって後は処分するしかない存在だと教えられてきて、それに対し何も疑問に思った事がなかった。
死ねば役目を終え、処分されるだけだと──。
ある日、初めて一週間以上も死なずに耐え続けた肉便器がいた。
珍しい肉便器に興味を持ち、彼の処刑を取り消すよう働きかけようとした時、その肉便器が拘束されていた部屋から逃げ出して……。
続編で、『離宮の愛人』を投稿しています。
※ちょっとふざけて書きました。
※誤字脱字は許してください。
パパボク×スワップ
ルシーアンナ
BL
パパ会主催の父子スワップにハマってくDS4礼くんのお話。
何も知らずに連れて来られた初めてのパパセックスで処女喪失するので、最初だけ怖がったり嫌がったりしますがメス堕ちハッピー展開です。
疑似父子相姦がメインで、主人公と実父の性的関係はありません。
むしろ共犯関係。
他キャラの実父子相姦についての表現はありますが、具体的な描写はありません。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
潜入した僕、専属メイドとしてラブラブセックスしまくる話
ずー子
BL
敵陣にスパイ潜入した美少年がそのままボスに気に入られて女装でラブラブセックスしまくる話です。冒頭とエピローグだけ載せました。
悪のイケオジ×スパイ美少年。魔王×勇者がお好きな方は多分好きだと思います。女装シーン書くのとっても楽しかったです。可愛い男の娘、最強。
本編気になる方はPixivのページをチェックしてみてくださいませ!
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21381209
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる