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酷く不幸で平和な
出会い
しおりを挟む「…来て、くれたんだ」
廻は抱きしめられたまま
動けずにいた
(やっぱ人間じゃない)
「は、なせ…よ。バケ、も、の」
すると”誰か”は廻を離した
振り向くとそこには
_____人がいた
「…え?…人?なんで、だって」
廻は動揺を隠せずにいた
そうして飛び去ろうとした時
「……なんで……」
廻は耳を塞いで蹲った
そんな廻を心配そうに見つめ
誰かは近いてきた
「…聞こえるんだろ?廻。
”幸せの壊れる音”が」
そうして誰かは廻を抱きしめた
「大丈夫だよそんな音
俺が聞こえなくしてあげる」
廻には訳がわからなかった
「な、んでだ…この音をなんで!
なんでなんでなんで…っ…」
しばらくして廻が顔を上げると
そこには誰もいなかった
ただ何処からともなく
_水仙の花の香りがした_
「お前は…何だ。人?妖怪?
悪?善?わからない……」
まだ混乱している廻の所に
息を切らして蒼が来た
「…廻っ!?…大丈夫!?…
廻…っ……無事…?……」
廻はその慌て様に
少しだけ安心した
普段視えないフリをしている手前
こうゆう時に抱き締めたり
そういった事は出来ないが
それでも幾分かは
気持ちが楽になった
そして廻はそこで意識が途切れた
蒼はそれを見て
心臓が止まるほど驚いた
「…廻!?大丈夫?ねぇ!
あーもう!…八咫!八咫!」
すると複数の羽音を連れて
八咫は降りてきた
「喧しいなぁ蒼。
…おや?お姫様はいつから
眠り姫に転職したんだい?」
蒼は八咫を睨むと
「つべこべ煩い
早く廻を此処から連れ出さなきゃ
此処は嫌な匂いがする…
俺が此処に入れなかったのも
少なからず此の所為だろ」
八咫はそれを聞いて
やれやれと顔を顰めた
「どいつもこいつも
お姫さんにご執心なこったね
こんな小娘にどれ程の価値があるのか」
八咫はそう言って一声鳴いた
「こいつらに指示は出した
んじゃ、帰るとするよ。」
蒼は鼻を鳴らすと背中を向けて
廻の家に走って行った
廻を運ぶ烏達はその後を
慌ててついて飛んで行った
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