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二部
34/もっと近くで
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ダンスパーティー会場では、多くの生徒が、友人や恋人、仲間たちと楽しく過ごしている。監督役のウィンストンとドミニフは、ここでも青の魂による問題が決して起きないように、明るい音楽とは対照的にピリピリとしていた。
生徒たちは、そんな教師たちの様子にも気づかず、軽快なリズムに身を任せて踊っていた。今は、生徒達で結成されたバンドが演奏している。術を駆使して、多くの楽器を操っていた。
「ゾマーは、踊らないの?」
レティが、ドーナツを食べながら聞いた。
「踊らないなぁ」
「こいつ、試験の結果が不安なんだよ」
「そうなの?ゾマー、やらかした?」
「ツィエ、適当なこと言うな」
「でも、幻術学はやばいだろ?」
「……否めない」
ゾマーはテーブルに腕をのせ、寄りかかりながら瞼をギューッと閉じる。
「レティは試験どうだった?」
「私は大丈夫だと思う。最低限は」
「ツィエこそどうなんだよ」
「俺、今回は自信あるから」
ツィエは得意げに笑うと、そのまま少し遠くにあるテーブル付近に目をやった。
「だから俺は心置きなく踊ってくる!」
そう言ってグラスを置くと、先ほど目が合った女子生徒のもとへと駆けて行った。そしてそのまま、ダンスホールへと乗り出していった。
「ゾマー、なんだか全然楽しくなさそう。せっかく試験が終わったのに」
「試験が終わったってことは、いろいろ考え事も戻ってきたってことだからな」
ゾマーは、もぐもぐと口を動かしているレティを見てから、溶けるようにテーブルに覆いかぶさった。すっかりレティの前では気を許すようになっていた。
実際、レティと一緒にいるのは居心地がよかった。とんだ変わり者かと思えば、その実態は普通の女子生徒だった。マイペースだが、頼りがいのある友人だ。
「私が言ったことのせいかな?」
「いや、気にすんな。レティのせいじゃないし」
ハッとするレティに、ゾマーは笑顔を返した。
「そっか。良かった」
ゾマーは、レティがほっとした顔をするのを見て、何故か嬉しかった。
「お二人とも!」
そこへ、シャノが割り込んできた。中世の舞踏会のような服装をしているシャノは、いつにも増して存在に圧があった。
「踊らないの?」
テーブルに持っていたグラスを置くと、二人の間に入って肩を組んだ。
「ゾマーは踊らないって」
「そうなの?残念だなぁ」
「今日はここで静かにしてるよ」
「へぇ。今日はティーリンも来てないのに、謙虚だね?」
「うるさいな」
「レティ、レティは踊らないの?」
シャノは、レティを見る。シャノが動くと、衣装のマントがゾマーに当たった。
「…どっちでもいいかな」
レティはそう言うと、ドーナツを食べ終えた。今日のレティは、可愛らしい灰色に近いブルーのドレスに身を包んでいる。
「そうなの?じゃあ、俺と踊ろ」
「え?」
ゾマーが、思わず口を挟んだ。
「せっかく可愛いドレスを着てるんだから、みんなに見せなくちゃ」
シャノは、ゾマーにウインクをすると、レティの手を取った。
「あ、待って…」
レティがドリンクを飲もうとする前に、シャノはレティの手を引いて行ってしまった。
「……なんだよ、あいつ」
ゾマーは、去って行った二人をじとっと見ると、ダンスホールに目をやった。生徒たちが、皆、楽しそうな笑顔で踊っている。ドミニフの魔法だろうか。天井近くでは、時折演出のようなライトや紙吹雪が舞っていた。
すると、ここでライトが大人しくなり、会場は少し暗くなった。音楽が変わるのだ。生徒たちは、二人一組になって、互いに向かい合った。曲調はゆったりとしたものになり、先ほどとは違うボーカルが歌い始める。それに合わせて、ダンスホールにいる者たちは手を取り合って身体を動かし始めた。
ふと、会場の入り口でもある大階段に、一人の女子生徒が現れた。ゾマーは、思わずそちらを見た。
その女子生徒は、ちょうどライトに照らされてキラキラと輝いて見える。彼女が一歩階段を下りるごとに、そのドレスの音が聞こえてきそうだった。
メイズは、手袋をした掌を手すりに滑らせながら、ゆっくりと階段を下りる。視線を少し動かすと、階段の下に、自分を待っている人物を見つけた。質の良い、主張しすぎないダークグレーの燕尾服に、ブロンドの髪の毛は柔らかく整えられている。
エルテは、そっと右手を差し出した。メイズは、差し出されたその手を取ると、その手に引かれるようにしてダンスホールへと降りた。
ぴったりと身体を寄り添わせ、二人は静かにステップを踏んだ。メイズのスカートがダンスに合わせてふわりと揺れ、くるくる回ると、まるで花がそこに咲いたようだった。
周りの生徒たちは、踊りながら、少しだけその二人に目線をやった。なんて息の合ったダンスなのだろう。今、このダンスホールの主役は、確実にこの二人だった。
シャノも、レティとステップを踏みながら、エルテとメイズを見た。レティも、それに釣られるようにして目線を送った。
「あの二人…」
「うん。不思議だよね」
レティが言いたいことを、シャノが言ってくれた。
メイズは、エルテのことをずっと見ていた。エルテもこちらを見ている。こんなにお互いのことを見つめることなんて、もう二度とないだろう。音楽が、まるで自分たちのためだけに流れているように錯覚した。
メイズは、ふと微笑んだ。自然と頬が緩んだのだった。彼の瞳に映る自分は、なんて幸せそうなのだろう。これ以上ないほどの幸福な笑顔だ。すっかり安心して、すべての厄介ごとや小さな悩みなんて消えてしまうくらい。今、目の前のエルテの瞳に映っているのは自分だけだった。やっと、彼の瞳の中に入れた。もうそれだけで、メイズは心の氷が溶けていくようだった。キリキリと胸を痛めつけていたつっかえが、ようやく溶けていく。
メイズの瞳が揺れている。また泣いてしまうのだろうか。一体、何度この人を泣かせれば、自分の気が済むのだろうか。償え切れないほどの罪を、どこまで求めるのだろう。
エルテは、少しだけメイズを引き寄せると、その顔を隠すように自分の顔を近づけた。すぐ近くに、メイズの温もりを感じた。なんて温かい人なのだろうか。どれだけ人のことを想うことができたら、彼女のような優しい人になれるのだろう。最早、お人好しが過ぎる。もっと我儘でもいいところを。
エルテの肩に顔を寄せて、メイズは少しまた不安になった。もう、この人に寄りかかることは出来なくなる。いつも、一方的に支えとして来たけれど、彼が本気でそれを拒むことはなかった。エルテならば、それは容易いことだったはずなのに。
まだ弱いけれど、ここからは自分の足で立って行かなくては。ただ、今だけは、あなたに支えていて欲しい。
メイズは、最後の願いを夢の続きに託した。
エルテは顔を上げ、メイズを瞳に入れた。もう泣かないで欲しい。苦しまないで欲しい。自分のことを恨んでも構わない。むしろ、恨んで、それですべてを押し付けて欲しい。しかし彼女がそうすることはないと、エルテは分かりきっている。
もし自分がロッド家ではなかったら、彼女は自分を好きになっただろうか。恐らく、イエスと答えるだろう。自惚れでもいい。そんな夢を見させて欲しいだけだ。
もし、自分に定められた運命などなかったら、彼女に気持ちを伝えられただろうか。自分には彼女ほどの勇敢さはない。これは、自信がないかもしれない。しかし、必ずそう伝えただろう。
もうじき、この曲が終わってしまう。そうすれば、この時間は終わりを迎える。二人だけの世界から、外へと戻らなくてはならない。その後は、もう、二人が手を取ることはないだろう。
エルテは、メイズをそっと抱き寄せる。こんなに傍にいるのに、なんて遠いのだろう。
それなのに、もう手を離さなければならない。二度と手の届かない彼女を、彼女の幸せの道へと返さなければならない。
夢を手放すのは、こんなにも苦しいものなのか。
「メイズ」
エルテは、ぼそりと囁いた。
「ありがとう。君がいてくれて」
メイズが何かを言ったのかは分からない。演奏は終わり、二人は手を離した。エルテはこの日、人生で初めて自分が見つけた魔法を失った。
生徒たちは、そんな教師たちの様子にも気づかず、軽快なリズムに身を任せて踊っていた。今は、生徒達で結成されたバンドが演奏している。術を駆使して、多くの楽器を操っていた。
「ゾマーは、踊らないの?」
レティが、ドーナツを食べながら聞いた。
「踊らないなぁ」
「こいつ、試験の結果が不安なんだよ」
「そうなの?ゾマー、やらかした?」
「ツィエ、適当なこと言うな」
「でも、幻術学はやばいだろ?」
「……否めない」
ゾマーはテーブルに腕をのせ、寄りかかりながら瞼をギューッと閉じる。
「レティは試験どうだった?」
「私は大丈夫だと思う。最低限は」
「ツィエこそどうなんだよ」
「俺、今回は自信あるから」
ツィエは得意げに笑うと、そのまま少し遠くにあるテーブル付近に目をやった。
「だから俺は心置きなく踊ってくる!」
そう言ってグラスを置くと、先ほど目が合った女子生徒のもとへと駆けて行った。そしてそのまま、ダンスホールへと乗り出していった。
「ゾマー、なんだか全然楽しくなさそう。せっかく試験が終わったのに」
「試験が終わったってことは、いろいろ考え事も戻ってきたってことだからな」
ゾマーは、もぐもぐと口を動かしているレティを見てから、溶けるようにテーブルに覆いかぶさった。すっかりレティの前では気を許すようになっていた。
実際、レティと一緒にいるのは居心地がよかった。とんだ変わり者かと思えば、その実態は普通の女子生徒だった。マイペースだが、頼りがいのある友人だ。
「私が言ったことのせいかな?」
「いや、気にすんな。レティのせいじゃないし」
ハッとするレティに、ゾマーは笑顔を返した。
「そっか。良かった」
ゾマーは、レティがほっとした顔をするのを見て、何故か嬉しかった。
「お二人とも!」
そこへ、シャノが割り込んできた。中世の舞踏会のような服装をしているシャノは、いつにも増して存在に圧があった。
「踊らないの?」
テーブルに持っていたグラスを置くと、二人の間に入って肩を組んだ。
「ゾマーは踊らないって」
「そうなの?残念だなぁ」
「今日はここで静かにしてるよ」
「へぇ。今日はティーリンも来てないのに、謙虚だね?」
「うるさいな」
「レティ、レティは踊らないの?」
シャノは、レティを見る。シャノが動くと、衣装のマントがゾマーに当たった。
「…どっちでもいいかな」
レティはそう言うと、ドーナツを食べ終えた。今日のレティは、可愛らしい灰色に近いブルーのドレスに身を包んでいる。
「そうなの?じゃあ、俺と踊ろ」
「え?」
ゾマーが、思わず口を挟んだ。
「せっかく可愛いドレスを着てるんだから、みんなに見せなくちゃ」
シャノは、ゾマーにウインクをすると、レティの手を取った。
「あ、待って…」
レティがドリンクを飲もうとする前に、シャノはレティの手を引いて行ってしまった。
「……なんだよ、あいつ」
ゾマーは、去って行った二人をじとっと見ると、ダンスホールに目をやった。生徒たちが、皆、楽しそうな笑顔で踊っている。ドミニフの魔法だろうか。天井近くでは、時折演出のようなライトや紙吹雪が舞っていた。
すると、ここでライトが大人しくなり、会場は少し暗くなった。音楽が変わるのだ。生徒たちは、二人一組になって、互いに向かい合った。曲調はゆったりとしたものになり、先ほどとは違うボーカルが歌い始める。それに合わせて、ダンスホールにいる者たちは手を取り合って身体を動かし始めた。
ふと、会場の入り口でもある大階段に、一人の女子生徒が現れた。ゾマーは、思わずそちらを見た。
その女子生徒は、ちょうどライトに照らされてキラキラと輝いて見える。彼女が一歩階段を下りるごとに、そのドレスの音が聞こえてきそうだった。
メイズは、手袋をした掌を手すりに滑らせながら、ゆっくりと階段を下りる。視線を少し動かすと、階段の下に、自分を待っている人物を見つけた。質の良い、主張しすぎないダークグレーの燕尾服に、ブロンドの髪の毛は柔らかく整えられている。
エルテは、そっと右手を差し出した。メイズは、差し出されたその手を取ると、その手に引かれるようにしてダンスホールへと降りた。
ぴったりと身体を寄り添わせ、二人は静かにステップを踏んだ。メイズのスカートがダンスに合わせてふわりと揺れ、くるくる回ると、まるで花がそこに咲いたようだった。
周りの生徒たちは、踊りながら、少しだけその二人に目線をやった。なんて息の合ったダンスなのだろう。今、このダンスホールの主役は、確実にこの二人だった。
シャノも、レティとステップを踏みながら、エルテとメイズを見た。レティも、それに釣られるようにして目線を送った。
「あの二人…」
「うん。不思議だよね」
レティが言いたいことを、シャノが言ってくれた。
メイズは、エルテのことをずっと見ていた。エルテもこちらを見ている。こんなにお互いのことを見つめることなんて、もう二度とないだろう。音楽が、まるで自分たちのためだけに流れているように錯覚した。
メイズは、ふと微笑んだ。自然と頬が緩んだのだった。彼の瞳に映る自分は、なんて幸せそうなのだろう。これ以上ないほどの幸福な笑顔だ。すっかり安心して、すべての厄介ごとや小さな悩みなんて消えてしまうくらい。今、目の前のエルテの瞳に映っているのは自分だけだった。やっと、彼の瞳の中に入れた。もうそれだけで、メイズは心の氷が溶けていくようだった。キリキリと胸を痛めつけていたつっかえが、ようやく溶けていく。
メイズの瞳が揺れている。また泣いてしまうのだろうか。一体、何度この人を泣かせれば、自分の気が済むのだろうか。償え切れないほどの罪を、どこまで求めるのだろう。
エルテは、少しだけメイズを引き寄せると、その顔を隠すように自分の顔を近づけた。すぐ近くに、メイズの温もりを感じた。なんて温かい人なのだろうか。どれだけ人のことを想うことができたら、彼女のような優しい人になれるのだろう。最早、お人好しが過ぎる。もっと我儘でもいいところを。
エルテの肩に顔を寄せて、メイズは少しまた不安になった。もう、この人に寄りかかることは出来なくなる。いつも、一方的に支えとして来たけれど、彼が本気でそれを拒むことはなかった。エルテならば、それは容易いことだったはずなのに。
まだ弱いけれど、ここからは自分の足で立って行かなくては。ただ、今だけは、あなたに支えていて欲しい。
メイズは、最後の願いを夢の続きに託した。
エルテは顔を上げ、メイズを瞳に入れた。もう泣かないで欲しい。苦しまないで欲しい。自分のことを恨んでも構わない。むしろ、恨んで、それですべてを押し付けて欲しい。しかし彼女がそうすることはないと、エルテは分かりきっている。
もし自分がロッド家ではなかったら、彼女は自分を好きになっただろうか。恐らく、イエスと答えるだろう。自惚れでもいい。そんな夢を見させて欲しいだけだ。
もし、自分に定められた運命などなかったら、彼女に気持ちを伝えられただろうか。自分には彼女ほどの勇敢さはない。これは、自信がないかもしれない。しかし、必ずそう伝えただろう。
もうじき、この曲が終わってしまう。そうすれば、この時間は終わりを迎える。二人だけの世界から、外へと戻らなくてはならない。その後は、もう、二人が手を取ることはないだろう。
エルテは、メイズをそっと抱き寄せる。こんなに傍にいるのに、なんて遠いのだろう。
それなのに、もう手を離さなければならない。二度と手の届かない彼女を、彼女の幸せの道へと返さなければならない。
夢を手放すのは、こんなにも苦しいものなのか。
「メイズ」
エルテは、ぼそりと囁いた。
「ありがとう。君がいてくれて」
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