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一部
17/いたいから
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このところ、ゾマーはいつの間にかレティが傍にいることに気づいた。ツィエと一緒にいるときにも、当たり前のようにそこにいるので、特に違和感もなく、ゾマーは何も思うところはなかった。しかし、よく考えてみると、何故なのか、という迷宮ループに入ってしまった。
ツィエも、イラストの件で殊の外仲良くなっていたのだろう。レティがそこにいることに、何の疑問も抱いていなかった。
「ちょっと待て、レティ」
「なに?」
思い切って、ゾマーはそのことに突っ込んでみることにした。
「お前、最近よく顔を出すが、どうしたんだ?」
「どうしたって、どうかしなくちゃダメ?」
「いや、そういうことじゃなくって…」
ゾマーは、こいつは何を言っているのか、とでも言わんばかりのレティの表情に、眉を下げる。
「一緒にいたいからいるの」
「うんうん。俺はそれでいいと思うよ」
ツィエは無邪気に笑った。
「レティの何が気に食わないんだ?ゾマー」
「気に食わないなんて一言も言ってないだろ!?」
「じゃあ、いてもいいよね」
レティは、よし、と頷いてツィエと一緒にイラストを描き始めた。この二人は、いつからこんなに打ち解けていたのだろうか。
「結構レティ、俺たちと同じ授業とってたんだね。全然気がつかなかったよ」
「私、目立ちたくないから」
「ははは。目くらましの術でも使ってるのか?」
和やかに話すツィエとレティに、ゾマーはこれ以上の追及は諦めた。レティは、幻術学以外にも同じクラスがいくつかあった。ツィエの言う通り、これまでは全く気がつかなかった。レティの、存在感を消す能力は一級のようだ。
「とにかく」
ゾマーは、気を取り直して咳払いをした。
「同情だったら、そういうの気にしなくていいからな」
レティとツィエは、同じような顔をしてゾマーを見る。
「なんだよ?」
「もう、ゾマーは一人じゃないから!」
ツィエが満面の笑みで抱きついてきた。
「安心していいでしゅよ」
「やめろよ、気色悪い」
ゾマーは、青ざめた顔でツィエを見た。それでも、気遣ってくれる友人を無理に引き剥がそうとはしなかった。
レティはそんな二人をそっと見守っている。
授業が一通り終わると、ツィエはリケッジレースの練習のために遊戯場へと向かった。ゾマーとレティは、特に急ぐ用事もなく、カフェ・ジジへ向かうことにした。
店に入ると、看板娘でもあるメーナが笑顔で出迎えてくれた。メーナとゾマーは親しくなかったが、一緒にいるレティを見たメーナは、嬉しそうにレティに手を振った。
「メーナと友達?」
「ううん。知り合い」
「随分とドライだな」
二人は奥のボックス席に座り、それぞれドリンクを注文した。
「カフェ、よく来るの?」
「最近は来てないな。いろいろあったし」
「私は全然来ないよ」
「そうだろうな」
ゾマーは、淡々としゃべるレティが面白くて、思わず肩の力が抜ける。
「最近、ゾマーは古代派と問題起こさないね?」
「まぁ、そんな気分じゃなかったし。…いや、これまでで一番あいつらには腹が立ってるけどさ」
「鬱憤たまってるんだ」
「まぁな」
レティは、運ばれてきたクランベリー色のジュースを手に取った。
「ごゆっくりどうぞ!」
二人のドリンクを運んできたメーナは、そう言うとレティにだけウインクをして去っていった。
「ゾマーは、どうしてそんなに古代魔法が嫌いなの?」
「…古臭いからだよ。あの魔法からは、カビの匂いがする」
「ほんと?鼻がいいね」
「例えだよ、例え!それに俺の両親、近代科学魔法の研究者なんだけど、古代派のやつらに襲われて、ケガして帰ってきたことも多々あった。魔法の始祖だの、自然の力を敬えだの、あいつらは、お上品ぶってるけど、実際のところは一番人間臭いんだよ。陰湿で、じめじめしてやがる」
「それは大変だったね」
「メーナは、シャドウハイル以外に興味はないのか?」
ゾマーは、声のトーンを落とした。
「うーん、…ないね」
「悩むふりしなくてもいいから」
「私は古代魔法も近代科学魔法もどっちも良いところとダメなところがあると思う。だから、どっちかって言われても、どっちもどっちとしか…。それに、この二つの魔法には制約が多いし、なんだか私たちの能力をわざと抑え込んでいるみたいに見える。本当は、もっと豊かなことができるはずなのに」
レティは、ストローを口にくわえたまま話した。
「シャドウハイルなら、私たちはもっと豊かな世界を作れる。空を覆う不気味な雲なんて、なくなっちゃうよ」
ゾマーは、窓の外を見た。確かに、この世界は曇り空が多い。しかし、不気味な雲なんて言えるようなものはない。レティは、何が言いたいのだろうか。
「ゾマーは、近代科学魔法を極めて何がしたいの?」
「え?」
「私みたいに、何か目的があるんじゃないの?」
「そうだな…」
ゾマーは、腕を組んで考えた。頭に浮かんでくる野望はあるが、果たしてこれは話して良いものだろうか。馬鹿にされて終わるだけじゃないだろうか。
「何かあるんだ」
「…まぁ、なくはないよ」
勘の良いレティが、ジュースを半分まで飲んだ。
「俺、表の世界に行ってみたいんだ。表の世界は、いつだって混沌としてる。魔法もないし、きっと不便だろうなって思うんだけど、それでも自らで技術を進歩させてるだろう?だから、よっぽど賢い人たちがいると思うんだ。それなのに、表の世界が良くなることは全然ないじゃないか。国も人種も多いから、いつもどこかで誰かが悲しい思いをしている。孤独に苦しい思いをしている人がいる。社会が閉塞しているんだ。自らの手で、魔法も使わずにあんなに豊かな世界を作り上げてきたのに、このままじゃ自らの手で壊してしまうよ。俺は、そんな表の世界へ行って、魔法の力で救いたいんだ。あんなに勇敢な愛らしい人たちを、見殺しになんてしたくはない。それができるのは近代科学魔法だ。古代魔法じゃ、向こうじゃただの呪いなんじゃないかと思うよ」
ゾマーはそこまで言うと、レティの顔をハッと見る。真剣な表情でこちらを見ている。ゾマーはそれが恥ずかしくなってきた。それを証明するかのように、耳がほんのり赤らんだ。
「魔法の力で、救うの?」
「ああ。きっと、みんなを驚かすことができる」
「……そう」
レティは、グラスを机に置いた。
「魔法の力は強力だものね」
そして、そうぽつりと呟くと、ずいっと顔を前に出した。
「ところで、私、ピンチかもしれない」
「ん?なんで?」
ゾマーは、自分の話が終わったことにほっとした。早いところ話題を変えて欲しかったところだ。
「ティーリンに、私の研究のことバレてるから」
「そういえば、そんなこと言ってたな」
「うん。まずいと思わない?ハイディ家でしょ?名家だから、執政府とも繋がりがあるよね?」
レティは、そわそわとしていた。確かに、厄介かもしれない。ハイディ家に密告されたら、レティは。
「逮捕されるな」
「はっきりと言わないで。私、そういうのは嫌」
「そういう覚悟で研究してたんじゃないのかよ?」
「そんなわけない。私、そんなにできた人間じゃないもん」
レティがそう話していると、ゾマーの視線がどこかで止まった。
「どうしたの?」
何かを見つけたのだろうか。レティはそう思い、振り返ってゾマーの視線の先を追った。店内には、生徒が大勢いた。この時間は、暇な生徒がよく来ている。
ゾマーの視線は、店内の反対側の奥の方にあるテーブル席に向かっていた。そこには、二人の生徒が座っていて、一人は向こう側を向いていたが、もう一人の正面はこちらの方に向いていたため、その顔がよく見えた。
ティーリンだ。恐らく、ダニーと一緒だろう。
レティは、慌ててゾマーの方に向き直った。
「どうしよう、いる」
「店出るか?」
「でも…」
レティは、名残惜しそうにグラスに残っているクランベリー色の液体を見た。そして、もう一度ティーリンの方を見る。すると、向こうもこちらに気づいたらしい。ティーリンの視線が、レティとゾマーを捉えていた。
「出よう!」
レティは、意を決して急いで立ち上がった。今、ティーリンの尋問は受けたくない。しかもゾマーも一緒とあれば、厄介なことになりかねない。ゾマーも、レティを巻き込みたくはなかった。
ゾマーとレティは、そのまま店を出た。
ティーリンは、そそくさと店を出ていく二人を視線で見送った。
ツィエも、イラストの件で殊の外仲良くなっていたのだろう。レティがそこにいることに、何の疑問も抱いていなかった。
「ちょっと待て、レティ」
「なに?」
思い切って、ゾマーはそのことに突っ込んでみることにした。
「お前、最近よく顔を出すが、どうしたんだ?」
「どうしたって、どうかしなくちゃダメ?」
「いや、そういうことじゃなくって…」
ゾマーは、こいつは何を言っているのか、とでも言わんばかりのレティの表情に、眉を下げる。
「一緒にいたいからいるの」
「うんうん。俺はそれでいいと思うよ」
ツィエは無邪気に笑った。
「レティの何が気に食わないんだ?ゾマー」
「気に食わないなんて一言も言ってないだろ!?」
「じゃあ、いてもいいよね」
レティは、よし、と頷いてツィエと一緒にイラストを描き始めた。この二人は、いつからこんなに打ち解けていたのだろうか。
「結構レティ、俺たちと同じ授業とってたんだね。全然気がつかなかったよ」
「私、目立ちたくないから」
「ははは。目くらましの術でも使ってるのか?」
和やかに話すツィエとレティに、ゾマーはこれ以上の追及は諦めた。レティは、幻術学以外にも同じクラスがいくつかあった。ツィエの言う通り、これまでは全く気がつかなかった。レティの、存在感を消す能力は一級のようだ。
「とにかく」
ゾマーは、気を取り直して咳払いをした。
「同情だったら、そういうの気にしなくていいからな」
レティとツィエは、同じような顔をしてゾマーを見る。
「なんだよ?」
「もう、ゾマーは一人じゃないから!」
ツィエが満面の笑みで抱きついてきた。
「安心していいでしゅよ」
「やめろよ、気色悪い」
ゾマーは、青ざめた顔でツィエを見た。それでも、気遣ってくれる友人を無理に引き剥がそうとはしなかった。
レティはそんな二人をそっと見守っている。
授業が一通り終わると、ツィエはリケッジレースの練習のために遊戯場へと向かった。ゾマーとレティは、特に急ぐ用事もなく、カフェ・ジジへ向かうことにした。
店に入ると、看板娘でもあるメーナが笑顔で出迎えてくれた。メーナとゾマーは親しくなかったが、一緒にいるレティを見たメーナは、嬉しそうにレティに手を振った。
「メーナと友達?」
「ううん。知り合い」
「随分とドライだな」
二人は奥のボックス席に座り、それぞれドリンクを注文した。
「カフェ、よく来るの?」
「最近は来てないな。いろいろあったし」
「私は全然来ないよ」
「そうだろうな」
ゾマーは、淡々としゃべるレティが面白くて、思わず肩の力が抜ける。
「最近、ゾマーは古代派と問題起こさないね?」
「まぁ、そんな気分じゃなかったし。…いや、これまでで一番あいつらには腹が立ってるけどさ」
「鬱憤たまってるんだ」
「まぁな」
レティは、運ばれてきたクランベリー色のジュースを手に取った。
「ごゆっくりどうぞ!」
二人のドリンクを運んできたメーナは、そう言うとレティにだけウインクをして去っていった。
「ゾマーは、どうしてそんなに古代魔法が嫌いなの?」
「…古臭いからだよ。あの魔法からは、カビの匂いがする」
「ほんと?鼻がいいね」
「例えだよ、例え!それに俺の両親、近代科学魔法の研究者なんだけど、古代派のやつらに襲われて、ケガして帰ってきたことも多々あった。魔法の始祖だの、自然の力を敬えだの、あいつらは、お上品ぶってるけど、実際のところは一番人間臭いんだよ。陰湿で、じめじめしてやがる」
「それは大変だったね」
「メーナは、シャドウハイル以外に興味はないのか?」
ゾマーは、声のトーンを落とした。
「うーん、…ないね」
「悩むふりしなくてもいいから」
「私は古代魔法も近代科学魔法もどっちも良いところとダメなところがあると思う。だから、どっちかって言われても、どっちもどっちとしか…。それに、この二つの魔法には制約が多いし、なんだか私たちの能力をわざと抑え込んでいるみたいに見える。本当は、もっと豊かなことができるはずなのに」
レティは、ストローを口にくわえたまま話した。
「シャドウハイルなら、私たちはもっと豊かな世界を作れる。空を覆う不気味な雲なんて、なくなっちゃうよ」
ゾマーは、窓の外を見た。確かに、この世界は曇り空が多い。しかし、不気味な雲なんて言えるようなものはない。レティは、何が言いたいのだろうか。
「ゾマーは、近代科学魔法を極めて何がしたいの?」
「え?」
「私みたいに、何か目的があるんじゃないの?」
「そうだな…」
ゾマーは、腕を組んで考えた。頭に浮かんでくる野望はあるが、果たしてこれは話して良いものだろうか。馬鹿にされて終わるだけじゃないだろうか。
「何かあるんだ」
「…まぁ、なくはないよ」
勘の良いレティが、ジュースを半分まで飲んだ。
「俺、表の世界に行ってみたいんだ。表の世界は、いつだって混沌としてる。魔法もないし、きっと不便だろうなって思うんだけど、それでも自らで技術を進歩させてるだろう?だから、よっぽど賢い人たちがいると思うんだ。それなのに、表の世界が良くなることは全然ないじゃないか。国も人種も多いから、いつもどこかで誰かが悲しい思いをしている。孤独に苦しい思いをしている人がいる。社会が閉塞しているんだ。自らの手で、魔法も使わずにあんなに豊かな世界を作り上げてきたのに、このままじゃ自らの手で壊してしまうよ。俺は、そんな表の世界へ行って、魔法の力で救いたいんだ。あんなに勇敢な愛らしい人たちを、見殺しになんてしたくはない。それができるのは近代科学魔法だ。古代魔法じゃ、向こうじゃただの呪いなんじゃないかと思うよ」
ゾマーはそこまで言うと、レティの顔をハッと見る。真剣な表情でこちらを見ている。ゾマーはそれが恥ずかしくなってきた。それを証明するかのように、耳がほんのり赤らんだ。
「魔法の力で、救うの?」
「ああ。きっと、みんなを驚かすことができる」
「……そう」
レティは、グラスを机に置いた。
「魔法の力は強力だものね」
そして、そうぽつりと呟くと、ずいっと顔を前に出した。
「ところで、私、ピンチかもしれない」
「ん?なんで?」
ゾマーは、自分の話が終わったことにほっとした。早いところ話題を変えて欲しかったところだ。
「ティーリンに、私の研究のことバレてるから」
「そういえば、そんなこと言ってたな」
「うん。まずいと思わない?ハイディ家でしょ?名家だから、執政府とも繋がりがあるよね?」
レティは、そわそわとしていた。確かに、厄介かもしれない。ハイディ家に密告されたら、レティは。
「逮捕されるな」
「はっきりと言わないで。私、そういうのは嫌」
「そういう覚悟で研究してたんじゃないのかよ?」
「そんなわけない。私、そんなにできた人間じゃないもん」
レティがそう話していると、ゾマーの視線がどこかで止まった。
「どうしたの?」
何かを見つけたのだろうか。レティはそう思い、振り返ってゾマーの視線の先を追った。店内には、生徒が大勢いた。この時間は、暇な生徒がよく来ている。
ゾマーの視線は、店内の反対側の奥の方にあるテーブル席に向かっていた。そこには、二人の生徒が座っていて、一人は向こう側を向いていたが、もう一人の正面はこちらの方に向いていたため、その顔がよく見えた。
ティーリンだ。恐らく、ダニーと一緒だろう。
レティは、慌ててゾマーの方に向き直った。
「どうしよう、いる」
「店出るか?」
「でも…」
レティは、名残惜しそうにグラスに残っているクランベリー色の液体を見た。そして、もう一度ティーリンの方を見る。すると、向こうもこちらに気づいたらしい。ティーリンの視線が、レティとゾマーを捉えていた。
「出よう!」
レティは、意を決して急いで立ち上がった。今、ティーリンの尋問は受けたくない。しかもゾマーも一緒とあれば、厄介なことになりかねない。ゾマーも、レティを巻き込みたくはなかった。
ゾマーとレティは、そのまま店を出た。
ティーリンは、そそくさと店を出ていく二人を視線で見送った。
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