灰にくすむ

冠つらら

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灰にくすむ

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 「さようなら」


 物心つく前から何千、何万回と繰り返す言葉。
 耳にタコができるほど聞きました。
 そこに意味はあったのでしょうか。


 挨拶は大事だと教えられました。
 だからこの言葉も、その教えが染みついていただけ。


 「またね」

 と私は返しました。
 そこに意味はなかったのでしょう。
 呪文のように、ただ唱えていただけ。
 この願いにあなたは何を思ったのか。


 くすんでいく記憶の中、
 あなたのはにかんだ顔に、私は問い続けてしまうのです。





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