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1章 町娘はストーリーを変える

14話

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授業が終わって私達は保健室に急いだ。

「レイラ大丈夫!?」

「レイラ様体調はいかがですか」

「……平気よ皆。来てくれてありがとう。ごめんねアカネ私体が辛くて授業に行けなかったわ」  

ベットに寝ているレイラは弱々しくそう言った。

「そんな気にしないで、授業のノート後で見せてあげるから」 

「何言ってるんですかアカネさん。貴方のノートごちゃごちゃしてて見ずらいんですから私のを見せますよ」

「ちょっと! 酷くない!? ミキさん!」

「確かに見ずらいですわね。あのノートは学者みたいなノートですもの」

「やはり、天才と私たち凡才は分かり合えないものなのでは?」

「ねぇ、皆私の事褒めてんの? 貶してるの?」

「「「おほほほほほほ」」」

「ふふっ」

私達の会話を聞いてレイラは可笑しそうに笑う。

「むぅ、レイラまで私を馬鹿にするのー?」

「ごめんごめん。ふふっありがと皆元気でたわ」

彼女はニコッと笑って私達の心を撃ち抜く。
四人とも「うっ!」ってなってる。

「それじゃあ、次の授業始まるからいくね」

「うん。お昼までには戻るわ」

手を振って自分の教室に戻る私達。
教室に入ろうとしたら誰かに腕を掴まれた。

「……見つけたぞアキノシタ・アカネ」

……げぇーレオン様じゃないですかやだー。

「レっレオン様? 私授業があるんですけど」

「構わんサボれ」

私の腕を強引に引っ張りどこかへ連れていく性悪王子。

「ちょちょちょ! ヘルプ! 誰かーたすけっむごっ!?」

「静かにしろバカノシタ!」

私を引き寄せて自分の体で私を隠しながら口を塞いで歩くレオン。

むごごご! 口を塞ぐとかマジで悪人だよ!
くっそー! 何しやがんだよこの悪役王子!

「ぐはっ何するんですか!」

「お前に話がある」

だろうな! そうでなきゃこんな事しないもん!
薔薇が沢山咲いている綺麗な庭園に連れ込んじゃって……はぁ、これ主人公に知られたら殺されるぞ私。

「話ってなんですか。私貴方が怒るようなことしてないと思うんですけど」

私がそう言うと彼は頭を下げた。

「済まなかった! 貴方を疑って本当に済まなかった」

えっ? 普通に謝った!?

「どうやら、本当に裏表なく彼女に接していたようで! そうでなきゃ彼女をあんなに素敵に変えられない!」

「えっちょっと頭上げてください! というか謝るだけに貴方私をサボらせたんですか!?」

「王子の俺が平民のお前にヘコヘコするなんて見られたくないからな」

はいはい、そーですかそーですか。
変なプライドがあるなぁ王族って。
よかった主人公に転生しなくて、そしたらこんな奴に好かれるんだもん。

「いいですよ、別に謝んなくても。私のことを信じてくれるならそれでいいです」

「本当に心が広いやつだ……レイラを改心させるだけのことはある」

貴方も改心したらどうですかねぇ!
なにが心の広いやつだよ! あんたも自分の行動を改めたらどうなのよ!

「……でもお前に一つ釘を指すことがある」

「なっなんですか」 

彼は怖い顔で私に近づいてこう言ってきた。

「レイラを俺から奪うなよ。レイラの心を溶かしたのはお前だ。……まぁ俺のことをレイラから奪おうとするのはウェルカムだ。だがお前ごときが俺の心を奪えるわけないがな」

……よーしこいつは私の中のブラックリストに永久登録だ。
誰がお前のことなど好きになるか!
本当にやばいやつだなこいつ。
こんなやつの嫁になるレイラが可哀想だ。

「まだ、時間があるな。そうだアキノシタ面白い話はないか? そのー彼女との会話とか非常に興味がある聞かせてくれ」

……ははっもしかして一時間終わるまでこの人とお喋りしないといけないんですか?
最悪のイベントだよ。

「……いいですよ、それじゃあ何から話せばいいですか」

「うむお前と彼女の出会いはどうだ」

「その話きいたら貴方後悔しますよ……?」

「それはどういうことだ?」
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