Member of the forest

くじら

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はじまり

prologue

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 ある森の中に賢者と呼ばれた魔法使いが住んでいました。




 彼は大変、頭が良くーー……たくさんの困っている人達の相談にのる優しい人でした。




 そして、ある日……ある夫婦からの依頼で1人の子供を育てることになりました。



「……君の名前は?」

「…………」



 彼は、その子に名前を聴こうと思いましたが……その子は家族と離れた悲しみからかーー……その子がずっと泣いていたため、彼に名前を教えることはありませんでした。



 そんな子供の様子を見て、彼はその子の目線があうようにしゃがみこんで言いました。




「君の髪と瞳は、まるでにある木々の葉のように綺麗な緑色だね。君がに名前を教えたくないならーー……それでもいいよ。」




「……?」





 青年の言葉の意味が理解できないのか、その子は……可愛らしく首を傾げました。




 その子がやっと彼の表情かおを見たので彼は嬉しくなって微笑みながら、言いました。




「僕が君に、新しい名前をつけてあげる」



「……え?」




 その子は、不思議そうに聞きました。



 その子の瞳から再び悲しみの涙が流れることは、ありませんでした。



 かわりに、期待を込めた瞳が彼の目にも映りました。



「君の名前はーーーー…………」



 彼の言葉にその子は、驚いたあとに嬉しそうに笑いました。



 その子がに来て、初めて笑ったのです。




 青年は、嬉しくなりました。




 そしてーー……青年は、自己紹介をしました。




「僕の名前はーーーー…………」




 彼は、自分の名前との持ち主であることをその子に教えました。







 それがーーーーーー………………



その子と青年の出会いでしたーー……





 2人で過ごした時間は、人の一生を考えたら短いものでしたが……とてもキラキラとしていて……


2人の大切な時間たからものでした。







 しかし、今ではその子と青年は一緒に暮らしていません。





 悪い人達の所為せいで離れ離れになってしまったのです。








 そして……2人とも独りぼっちで生きていきました。







 いつしか、2人ともーー……







大切な……宝物じかんを無くしてしまいました。



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