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日曜討論
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大日本テレビ第7スタジオでは、お決まりの場面変換音楽が鳴り、ディレクターが司会の轟アナウンサーにキューを出した。
「それでは次のコーナーです。龍神ダムに纏わる話を霊媒師である渋川染夢子先生と」
染夢子は「よろしくお願いします」とお辞儀をする。
白髪に眼鏡。金歯に金の指輪と、いかにも型にはめたような胡散臭さが漂う。
「もうひと方は緑ヶ丘大学、人類行動科学の氷室恭志郎教授による討論です」
こちらは頑固を絵に書いた様な白髪の初老。こういう場に慣れているのか、目を瞑ったままお辞儀をした。
先ず先にマイクを取ったのは染夢子。険しい表情で話し始めた。
「あの場所はねぇ、ダムに沈めてはならなかったのよ。龍神様の祟りだねぇ」
氷室は「またか、やれやれ」といったジェスチャーをし、マイクを取る。
「そんなインチキを。 きっと事故か何かでしょう。 監視カメラを設置するなり、警備を強化するなり、色々と手段はあったでしょう」
染夢子は「インチキ」と言われ、頭に来ているようだ「信じないアンタにゃ見えない世界さ」と、言い捨てた。
科学を軽んじるのもそうだが権威を傷付けられた「あんた」という言葉に噛み付く。
「あんたとは何だ!あんたとは!」
染夢子は相手のウイークポイントを付き、話の流れを有利に持っていくのがいつものやり口だった。感情が入ると理論は崩れる。
「そもそも最初の行方不明者…… 鏡いなりさんの時に気付くべきだったんだよ」
染夢子のいかにも氷室を馬鹿にした口調に、氷室も席を立ち、お湯が沸かんばかり顔を真っ赤にする。
「この世はね、科学しかないんだよ!」
染夢子はニヤリと笑い、目を細める。
「科学で証明できるのかい?」
もう理論も何も無い。そこにいるのは理論もテレビも忘れ怒りにうち震える老人だった。
「科学を馬鹿にするな!このくそババアが!」
スタジオは慌てふためき、ディレクターは轟に「次にいけ次にいけ」と身振りで催促した。
轟はさすがアナウンサー、冷静に次の項目を読み上げる。
「それではCMを挟んで、次はハリウッド俳優、マイジャル・ジャック来日のインタビューを」
ディレクターは「先生困りますよー」と氷室に近づいた。
「苦情の電話が殺到してるんです。もっと言葉を選んで頂かないと次からのお席も危なくなりますので」
氷室はまだ怒っているのか口をへの字にして鼻息が荒い。
「このテレビのスポンサーはどこだったかね?そう、私が懇意にしている企業だったね。私が本気を出せば君の首くらいなんとでもなるんだよ?わかってるのかね?」
「またー、先生ご冗談を」
ディレクターは顔色を変え「次はお願いしますよ」と立ち去って行った。
確かに今回の放送は苦情も多かったが、ヤラセが多いテレビに飽き飽きしていた層により、リアルなひとつのエンターテインメントとして人気を博していくのは氷室も染夢子も知るよしも無かった。
「それでは次のコーナーです。龍神ダムに纏わる話を霊媒師である渋川染夢子先生と」
染夢子は「よろしくお願いします」とお辞儀をする。
白髪に眼鏡。金歯に金の指輪と、いかにも型にはめたような胡散臭さが漂う。
「もうひと方は緑ヶ丘大学、人類行動科学の氷室恭志郎教授による討論です」
こちらは頑固を絵に書いた様な白髪の初老。こういう場に慣れているのか、目を瞑ったままお辞儀をした。
先ず先にマイクを取ったのは染夢子。険しい表情で話し始めた。
「あの場所はねぇ、ダムに沈めてはならなかったのよ。龍神様の祟りだねぇ」
氷室は「またか、やれやれ」といったジェスチャーをし、マイクを取る。
「そんなインチキを。 きっと事故か何かでしょう。 監視カメラを設置するなり、警備を強化するなり、色々と手段はあったでしょう」
染夢子は「インチキ」と言われ、頭に来ているようだ「信じないアンタにゃ見えない世界さ」と、言い捨てた。
科学を軽んじるのもそうだが権威を傷付けられた「あんた」という言葉に噛み付く。
「あんたとは何だ!あんたとは!」
染夢子は相手のウイークポイントを付き、話の流れを有利に持っていくのがいつものやり口だった。感情が入ると理論は崩れる。
「そもそも最初の行方不明者…… 鏡いなりさんの時に気付くべきだったんだよ」
染夢子のいかにも氷室を馬鹿にした口調に、氷室も席を立ち、お湯が沸かんばかり顔を真っ赤にする。
「この世はね、科学しかないんだよ!」
染夢子はニヤリと笑い、目を細める。
「科学で証明できるのかい?」
もう理論も何も無い。そこにいるのは理論もテレビも忘れ怒りにうち震える老人だった。
「科学を馬鹿にするな!このくそババアが!」
スタジオは慌てふためき、ディレクターは轟に「次にいけ次にいけ」と身振りで催促した。
轟はさすがアナウンサー、冷静に次の項目を読み上げる。
「それではCMを挟んで、次はハリウッド俳優、マイジャル・ジャック来日のインタビューを」
ディレクターは「先生困りますよー」と氷室に近づいた。
「苦情の電話が殺到してるんです。もっと言葉を選んで頂かないと次からのお席も危なくなりますので」
氷室はまだ怒っているのか口をへの字にして鼻息が荒い。
「このテレビのスポンサーはどこだったかね?そう、私が懇意にしている企業だったね。私が本気を出せば君の首くらいなんとでもなるんだよ?わかってるのかね?」
「またー、先生ご冗談を」
ディレクターは顔色を変え「次はお願いしますよ」と立ち去って行った。
確かに今回の放送は苦情も多かったが、ヤラセが多いテレビに飽き飽きしていた層により、リアルなひとつのエンターテインメントとして人気を博していくのは氷室も染夢子も知るよしも無かった。
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