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【番外編・エイベルとの恋愛エンディング】
03 エイベル視点
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メアリーの部屋は、この城内で一番広く豪華な部屋だった。隣はエイベルの部屋になっていて、二つの部屋は扉で繋がっている。
エイベルがメアリーの部屋を訪ねると、メアリーはいつでも笑顔で出迎えてくれた。メアリーが神殿から連れて来たメイド達も、エイベルが来ると気を利かせて部屋から出て行ってくれる。
「メアリー」
細い腰を抱き寄せて、豊かな金髪を指ですくと、メアリーは恥ずかしそうに頬を染める。
(ああ、可愛いなぁ)
今になって思い返せば、パティの毒殺未遂の容疑者として、メアリーを拘束するためにノーヴァン伯爵家を訪れた時、激変したメアリーを見た瞬間から、無意識に心惹かれていたのかもしれない。そうじゃないと、あの時、無理やり馬車に乗りこんだ理由が説明できない。
(初めは、本当のメアリーのことを知っているのは僕だけで、僕だけがメアリーの味方だったのに。気が付けば、カルヴァンのことをなぜか『お兄様』って呼んでいるし)
あの時は、ものすごく嫌な気分になった。でも、嫌な気分になった理由もよく分からなかった。
(たくさん贈り物をしたのは、メアリーに笑って欲しかったからだけど……)
たぶん、もっと不純な理由も含まれていた。
(僕は、メアリーに僕のことを『特別』だと思って欲しかったのかもしれない。『僕だけがメアリーを助けてあげられるよ』ってアピールしたかったのかも……)
そうこうしているうちに、メアリーはあれだけ仲の悪かったルーフォスとパティとも仲直りしていた。
(やっとメアリーが僕のことを頼ってくれたと思ったら、『誰でもいいから嫁ぎ先を紹介してくれ』って)
あのときは、悲しいを通り越して、怒りが抑えきれなかった。それなのに、自分の本当の気持ちにまだ気がつけていなかった。
(でも、メアリーが、僕の気持ちを代弁してくれた)
『エイベル様、私、貴方の全てが欲しいんです。他の女性は見ないでください。ずっと私だけを側に置いて愛してください』
(あれは、僕の気持ちだった。ずっと僕がメアリーに言いたかったことだ)
『メアリー、君の全てが欲しい。他の男と仲よくしないで。ずっと僕だけを頼って愛して』
(自分で自分の気持ちに気がつけないなんて情けない)
大人しく腕の中に納まってくれるメアリーにそっと口付けをした。
結婚してから毎日のように口付けして、身体を重ねているのに、未だにメアリーは恥ずかしそうにうつむいてしまう。こんな可愛い顔を毎日見られるなんて、なんて幸せ者なのだろうと思う。
(やっと僕だけのメアリーになった)
それなのに。
一か月もたたずに、母が乗り込んできた。父に苦情を言うと、困った顔をしながら「これでも引きとめるのに苦労したんだ」と言われてしまう。
「メアリーさん、このドレス、メアリーさんにとっても似合うと思うの!」
「メアリーさん、一緒にお茶会をしましょう」
「メアリーさん、メアリーさん」
母は、嬉々としてメアリーの後を付きまとっている。
(そうだった、メアリーは女性にもモテるんだった……)
うんざりして、「母様、もう帰って。メアリーが困っているよ」と言うと、メアリーは明るい笑顔を浮かべて首を振る。
「いいえ、私もお母様とご一緒出来てとても嬉しいです」
そんなことを言いながら、二人で仲良さそうに手を繋いでいる。
(メアリーは、今までの家庭環境が酷かったから、こういうゆるい家族が嬉しいのかも)
そう分かっていても、仲良さそうな二人を見ていると良い気はしない。特にメアリーが少し照れながら嬉しそうに母に微笑みかける姿を見ていると胸に黒いモヤのようなものが湧いた。
(僕以外に、あんなに可愛い笑顔を向けて……)
エイベルの心のモヤは、日に日に増えて広がっていった。
エイベルがメアリーの部屋を訪ねると、メアリーはいつでも笑顔で出迎えてくれた。メアリーが神殿から連れて来たメイド達も、エイベルが来ると気を利かせて部屋から出て行ってくれる。
「メアリー」
細い腰を抱き寄せて、豊かな金髪を指ですくと、メアリーは恥ずかしそうに頬を染める。
(ああ、可愛いなぁ)
今になって思い返せば、パティの毒殺未遂の容疑者として、メアリーを拘束するためにノーヴァン伯爵家を訪れた時、激変したメアリーを見た瞬間から、無意識に心惹かれていたのかもしれない。そうじゃないと、あの時、無理やり馬車に乗りこんだ理由が説明できない。
(初めは、本当のメアリーのことを知っているのは僕だけで、僕だけがメアリーの味方だったのに。気が付けば、カルヴァンのことをなぜか『お兄様』って呼んでいるし)
あの時は、ものすごく嫌な気分になった。でも、嫌な気分になった理由もよく分からなかった。
(たくさん贈り物をしたのは、メアリーに笑って欲しかったからだけど……)
たぶん、もっと不純な理由も含まれていた。
(僕は、メアリーに僕のことを『特別』だと思って欲しかったのかもしれない。『僕だけがメアリーを助けてあげられるよ』ってアピールしたかったのかも……)
そうこうしているうちに、メアリーはあれだけ仲の悪かったルーフォスとパティとも仲直りしていた。
(やっとメアリーが僕のことを頼ってくれたと思ったら、『誰でもいいから嫁ぎ先を紹介してくれ』って)
あのときは、悲しいを通り越して、怒りが抑えきれなかった。それなのに、自分の本当の気持ちにまだ気がつけていなかった。
(でも、メアリーが、僕の気持ちを代弁してくれた)
『エイベル様、私、貴方の全てが欲しいんです。他の女性は見ないでください。ずっと私だけを側に置いて愛してください』
(あれは、僕の気持ちだった。ずっと僕がメアリーに言いたかったことだ)
『メアリー、君の全てが欲しい。他の男と仲よくしないで。ずっと僕だけを頼って愛して』
(自分で自分の気持ちに気がつけないなんて情けない)
大人しく腕の中に納まってくれるメアリーにそっと口付けをした。
結婚してから毎日のように口付けして、身体を重ねているのに、未だにメアリーは恥ずかしそうにうつむいてしまう。こんな可愛い顔を毎日見られるなんて、なんて幸せ者なのだろうと思う。
(やっと僕だけのメアリーになった)
それなのに。
一か月もたたずに、母が乗り込んできた。父に苦情を言うと、困った顔をしながら「これでも引きとめるのに苦労したんだ」と言われてしまう。
「メアリーさん、このドレス、メアリーさんにとっても似合うと思うの!」
「メアリーさん、一緒にお茶会をしましょう」
「メアリーさん、メアリーさん」
母は、嬉々としてメアリーの後を付きまとっている。
(そうだった、メアリーは女性にもモテるんだった……)
うんざりして、「母様、もう帰って。メアリーが困っているよ」と言うと、メアリーは明るい笑顔を浮かべて首を振る。
「いいえ、私もお母様とご一緒出来てとても嬉しいです」
そんなことを言いながら、二人で仲良さそうに手を繋いでいる。
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そう分かっていても、仲良さそうな二人を見ていると良い気はしない。特にメアリーが少し照れながら嬉しそうに母に微笑みかける姿を見ていると胸に黒いモヤのようなものが湧いた。
(僕以外に、あんなに可愛い笑顔を向けて……)
エイベルの心のモヤは、日に日に増えて広がっていった。
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