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仁章
サイボーグ・ウルトラ作戦第一号
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ガチャ。っと本庁の特別会議室の扉が開く。
「遅くなりすいません。」
一人のモノクルを付けた男が会議室に入ってくる。
会議室には国家安全保障防衛隊幹部12名の面々がずらりと座っていた。
「遅かったではないか。国家防衛機密のため、一刻を争う事態なのだぞ。」
そう焦った様子でいう幹部の胸には、NSSDの刺繍が入っている。
「やはり会議にも遅れてくるところ、大してまともな人間ではなかろう。脱走まで許すとは。」
「そういう君も、この計画の総括を任されている責任者ではないのか。」
「なんだと。この脱走事案は私の責任とでもいうか。」
「そうも言えるだろう。何も技術担当者だけの責任ではない。」
そう言いあう幹部たち。
「まあまあ。兼ねてよりお役人のお家芸ともいわれる責任の擦り付け合いはそこまでに。」
そう場をなだめるのは国家安全保障庁防衛部長官のトウドウ。
「そう慌てんでも相手はたかが人間1人。事は穏便に済まないのか。」
と、落ち着いた様子で技術担当者に問いかける。
「奴はすでに人体機械技術結合手術、いわばサイボーグメンテナンスを施された機械化されたモノ。素の人間一人を相手にするのとではわけが違います。」
「そんなものが我々の監督下を脱するとは困ったものだな。それで、なにか策は講じてあるのかね。」
再び長官が技術担当者に問いかける。
が、技術担当者は黙り込む。
「おい、長官がお聞きになっているだろう。早く答えんか。」
「総括である君にも聞いているのだよ。」
「はっ、策というものは。。。」
詰められる幹部の額を汗が伝う。
「まさか脱走した際の策もなしにあのようなケモノを飼っていたわけでもなかろう。」
会議室が静まり、緊張が走る。
その沈黙を破るように
「策はございます。」
と技術担当者は言う。
「その策をお聞かせ願いたい。」
相変わらずの落ち着いた様子で担当技術者に問う。
「しかし長官。ここで一つ頼みたいことが。」
「貴様、図々しいぞ。控えろ。」
総括の幹部が焦った様子でいう。
「構わない。なんだ、言ってみてくれ。」
「今回の件、解決に向けて私に一任させてもらえないでしょうか。」
会議室に再び緊張が走り、静まり返る。
「き、貴様。。。」
総括の幹部も呆れた声で言う。
「長官、このような男に一任させるわけにはいきません。却下すべきかと。」
「そうです。こんな男に一任させては防衛隊の名に傷がつきます。」
そうだ。そうだ。と幹部たちが却下を求める。
しかしそんな制止を振り切るように、
「いや、私は彼を信用しようと思う。」
と長官がいう。
幹部たちの唖然とした様子をよそに、
「もう一つ。脱走した被験者駆除のための部隊を編成していただきたい。」
すると長官がニヤリとした表情を見せる。
「わかった。善処しよう。」
「その他の人事はお任せします。それでは、よろしくお願いします。」
そう言い残し、技術担当者は部屋を出ていった。
「長官、なぜ。。。」
長官のそばに座っていた幹部がそうつぶやく。
「これで、よかったんだろう。」
そういうと長官は、再びニヤリと笑った。
「遅くなりすいません。」
一人のモノクルを付けた男が会議室に入ってくる。
会議室には国家安全保障防衛隊幹部12名の面々がずらりと座っていた。
「遅かったではないか。国家防衛機密のため、一刻を争う事態なのだぞ。」
そう焦った様子でいう幹部の胸には、NSSDの刺繍が入っている。
「やはり会議にも遅れてくるところ、大してまともな人間ではなかろう。脱走まで許すとは。」
「そういう君も、この計画の総括を任されている責任者ではないのか。」
「なんだと。この脱走事案は私の責任とでもいうか。」
「そうも言えるだろう。何も技術担当者だけの責任ではない。」
そう言いあう幹部たち。
「まあまあ。兼ねてよりお役人のお家芸ともいわれる責任の擦り付け合いはそこまでに。」
そう場をなだめるのは国家安全保障庁防衛部長官のトウドウ。
「そう慌てんでも相手はたかが人間1人。事は穏便に済まないのか。」
と、落ち着いた様子で技術担当者に問いかける。
「奴はすでに人体機械技術結合手術、いわばサイボーグメンテナンスを施された機械化されたモノ。素の人間一人を相手にするのとではわけが違います。」
「そんなものが我々の監督下を脱するとは困ったものだな。それで、なにか策は講じてあるのかね。」
再び長官が技術担当者に問いかける。
が、技術担当者は黙り込む。
「おい、長官がお聞きになっているだろう。早く答えんか。」
「総括である君にも聞いているのだよ。」
「はっ、策というものは。。。」
詰められる幹部の額を汗が伝う。
「まさか脱走した際の策もなしにあのようなケモノを飼っていたわけでもなかろう。」
会議室が静まり、緊張が走る。
その沈黙を破るように
「策はございます。」
と技術担当者は言う。
「その策をお聞かせ願いたい。」
相変わらずの落ち着いた様子で担当技術者に問う。
「しかし長官。ここで一つ頼みたいことが。」
「貴様、図々しいぞ。控えろ。」
総括の幹部が焦った様子でいう。
「構わない。なんだ、言ってみてくれ。」
「今回の件、解決に向けて私に一任させてもらえないでしょうか。」
会議室に再び緊張が走り、静まり返る。
「き、貴様。。。」
総括の幹部も呆れた声で言う。
「長官、このような男に一任させるわけにはいきません。却下すべきかと。」
「そうです。こんな男に一任させては防衛隊の名に傷がつきます。」
そうだ。そうだ。と幹部たちが却下を求める。
しかしそんな制止を振り切るように、
「いや、私は彼を信用しようと思う。」
と長官がいう。
幹部たちの唖然とした様子をよそに、
「もう一つ。脱走した被験者駆除のための部隊を編成していただきたい。」
すると長官がニヤリとした表情を見せる。
「わかった。善処しよう。」
「その他の人事はお任せします。それでは、よろしくお願いします。」
そう言い残し、技術担当者は部屋を出ていった。
「長官、なぜ。。。」
長官のそばに座っていた幹部がそうつぶやく。
「これで、よかったんだろう。」
そういうと長官は、再びニヤリと笑った。
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