11 / 27
動けない
しおりを挟む
彼の去った部屋の中、動けない。
先ほどの彼の様子が、何度も頭の中でぐるぐると回る。
仕方がないと言いながらも、辛そうな顔をしていた。
決して、あっさり別れを決めた態度ではなかった。
「俺のことなど、何とも思っていない癖にっ…」
そう私を責めた時の語調の強さ。
瞳の鋭さ。
何より
「好きだった」
彼はそう言った。
彼は確かにそう言った。
そんなの、別れる女に言うセリフじゃない。
いくらでも替えのきく相手に言うセリフじゃない。
彼は…本当に私が好き…?
私のことを特別だと思ってくれている…?
彼にとって私は………冷たく突き放したあの子とは…違う……?
だったら…
私は…彼を好きでいてもいいの?
当たり障りのない夫婦以上の関係を、期待してもいいの?
彼から愛されることを期待してしまってもいいの?
それなら…
それなら…私は……彼と………
でも…
婚約解消の手続きをすると、彼は去り際にはっきりと言った。
もし、彼が本当に私のことを好きでいてくれたのだとしても…
もう手遅れ………
先ほどの彼の様子が、何度も頭の中でぐるぐると回る。
仕方がないと言いながらも、辛そうな顔をしていた。
決して、あっさり別れを決めた態度ではなかった。
「俺のことなど、何とも思っていない癖にっ…」
そう私を責めた時の語調の強さ。
瞳の鋭さ。
何より
「好きだった」
彼はそう言った。
彼は確かにそう言った。
そんなの、別れる女に言うセリフじゃない。
いくらでも替えのきく相手に言うセリフじゃない。
彼は…本当に私が好き…?
私のことを特別だと思ってくれている…?
彼にとって私は………冷たく突き放したあの子とは…違う……?
だったら…
私は…彼を好きでいてもいいの?
当たり障りのない夫婦以上の関係を、期待してもいいの?
彼から愛されることを期待してしまってもいいの?
それなら…
それなら…私は……彼と………
でも…
婚約解消の手続きをすると、彼は去り際にはっきりと言った。
もし、彼が本当に私のことを好きでいてくれたのだとしても…
もう手遅れ………
29
お気に入りに追加
1,856
あなたにおすすめの小説
頑張らない政略結婚
ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」
結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。
好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。
ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ!
五話完結、毎日更新
初恋をこじらせたやさぐれメイドは、振られたはずの騎士さまに求婚されました。
石河 翠
恋愛
騎士団の寮でメイドとして働いている主人公。彼女にちょっかいをかけてくる騎士がいるものの、彼女は彼をあっさりといなしていた。それというのも、彼女は5年前に彼に振られてしまっていたからだ。ところが、彼女を振ったはずの騎士から突然求婚されてしまう。しかも彼は、「振ったつもりはなかった」のだと言い始めて……。
色気たっぷりのイケメンのくせに、大事な部分がポンコツなダメンズ騎士と、初恋をこじらせたあげくやさぐれてしまったメイドの恋物語。
*この作品のヒーローはダメンズ、ヒロインはダメンズ好きです。苦手な方はご注意ください
この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
【完結】私の馬鹿な妹~婚約破棄を叫ばれた令嬢ですが、どうも一味違うようですわ~
鏑木 うりこ
恋愛
エリーゼ・カタリナ公爵令嬢は6歳の頃からこの国の王太子レオールと婚約をしていた。
「エリーゼ・カタリナ!お前との婚約を破棄し、代わりに妹のカレッタ・カタリナと新たに婚約を結ぶ!」
そう宣言されるも、どうもこの婚約破棄劇、裏がありまして……。
☆ゆるっとゆるいショートになります( *´艸`)ぷくー
☆ご都合主義なので( *´艸`)ぷくーと笑ってもらえたら嬉しいなと思います。
☆勢いで書きました( *´艸`)ぷくー
☆8000字程度で終わりますので、日曜日の暇でも潰れたら幸いです( *´艸`)
嫌われ王妃の一生 ~ 将来の王を導こうとしたが、王太子優秀すぎません? 〜
悠月 星花
恋愛
嫌われ王妃の一生 ~ 後妻として王妃になりましたが、王太子を亡き者にして処刑になるのはごめんです。将来の王を導こうと決心しましたが、王太子優秀すぎませんか? 〜
嫁いだ先の小国の王妃となった私リリアーナ。
陛下と夫を呼ぶが、私には見向きもせず、「処刑せよ」と無慈悲な王の声。
無視をされ続けた心は、逆らう気力もなく項垂れ、首が飛んでいく。
夢を見ていたのか、自身の部屋で姉に起こされ目を覚ます。
怖い夢をみたと姉に甘えてはいたが、現実には先の小国へ嫁ぐことは決まっており……
【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~
瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)
ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。
3歳年下のティーノ様だ。
本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。
行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。
なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。
もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。
そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。
全7話の短編です 完結確約です。
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる