【完結】僕とばーちゃん

夏1 クーラー

あっつい。
めちゃくちゃあっつい。
溶ける。

うちの家はあんまり密閉されてないからクーラーの効きが悪い。
だから電気代がもったいないので、クーラーつけずに扇風機と窓全開で凌ぐことも多いんだけど、これはダメだ。

風鈴の音が、もはや暑さをかき立てる。
そんなレベル。

ばーちゃんと一緒に涼もうと思って居間に移動したら、もうばーちゃんはクーラーを稼働させてた。いつも通り扇風機も併用して。

「いいところに来たね」

って。
ちょうど部屋が涼しくなり始めたところだったみたい。
今年の夏も暑いけど、ばーちゃんは例年通りに見える。顔色も悪くない。

よかった。
横目にそっと様子を伺って、ほっとため息をついた。


いったん台所に行って、アイスを取ってくる。ばーちゃんの分も。
うちのアイスは僕のお手製だ。
一回作ってみたら意外と簡単だったので、それ以来、夏はストックを切らさないようにしてる。

暑さでさっそく溶けだしたアイスに、荒く砕いたクルミをかけて食べる。
美味い。この溶けかけたとこ好き。
ばーちゃんもアイス結構好きで、美味しそうに食べてる。
そして用意されてた冷えたお茶を飲む。

はー、生き返る。
っていうかさっきまで死んでた。
ちゃぶ台にグテッともたれて、生を実感する。


カリカリと襖をひっかく音がした。少しだけ開けて毛皮族のニャンコさんを部屋に招き入れる。そして即閉める。
一緒に涼もう。

何故かペタっと脚にくっつかれた。まぁ、今のクーラー効いた室温なら許せる。クーラーなくても僕はどうせ許すけど。でもきっとニャンコさんは許さない。

とりあえず撫でようとしたら、嫌そうな顔をされた。くっついてはいたいけど、撫でられたい気分じゃないらしい。
あきらめて手を引っ込めた。
気まぐれなニャンコさん、本当可愛い。

あー、クーラー最高。
…太ももの一部だけニャンコさんで暑いけど…



リーン


縁側で澄んだ音が鳴った。
クーラーの効いた部屋にいると、風鈴の音も涼しげに聴こえる。
不思議だなぁ。