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第5章 厄災と救世
第38話 事情聴取
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うっすらと意識が戻り、目を開くと見知らぬ天井が広がっている。
体に痛みは無い、違和感は多少動きずらいという程度ではあるが存在する。
「ようやく起きたか...」
「ひんッ!」
不意に声を掛けられ驚きに変な声がでてしまった。
恐る恐る声の方を向くとそこには覇王が居た。
「目覚めたばかりで悪いが、今回の件をきっちりと説明してもらうぞ」
「あ、あぁ」
それから私は今回の事を説明した。
この国を―――もとい、娘に危害が加わらない内に手を打とうと思ったこと。
王女に召喚されたこと、それから、覇王の妹に招待された事。
この期に及んで嘘をつく必要は無い、私は敗れ命まで助けてもらった。
私はこいつの配下を殺したというのに...。
覇王が頭に疑問を浮かべていると覇王の背後からあの少女が現れた。
覇王の妹―――シーラ・シュテルケだ。
銀髪の美しい長髪は覇王に似ている、忘れたくても忘れられない程の美しさを誇るからだ。
「超魔王を茶会に招待したのは私ですが、どうやら勘違いしてしまったようですね」
「な!あれは確実に力でねじ伏せるという口調だったではないか!」
「私ははっきりと言いましたよ『話したい事があるから兄の城に来てほしい』とそれに、『お茶くらいなら出します』とも言ったはずですが...」
た、確かに...自分の中にある記憶でも確かにそんなことを言っていたと記憶している。
シーラは軽いため息をつく、私が間違えたのか?あの状況では誰だって...。
「まぁ、俺たちが修羅の世界から来たのだと知っていたら、宣誓布告だと思うだろうな...まぁお前のお陰で俺の配下の者たちも更なる強さを求め修行に励んでいるから、いい経験にはなったんだがな」
その言葉に疑問が生まれた、私はあの場で最後に戦った騎士と天使とドラゴン、あの者たちは確かに強かった今まで戦ってきた中でも最上位に位置するほどの存在だ、一番強いと感じたのはこの男だが...
ドラゴンは生きてはいるだろうが後の二人に関してはあの傷では助からない、例え向こうの世界の住人であったとしてもだ。
それをいい経験になっただと?配下の命をなんだと思っているのだ。いや―――。
あぁ...それが普通なのか...あの世界は弱肉強食、弱きは淘汰され強きは更なる力を求めるそれが【修羅】という世界なのだから
だが、茶会の申し出に早とちりをしたのは自分だ素直に謝罪をするしかないだろう。
「すまなかった、騎士と天使の二人には掛ける言葉もない...」
そして覇王は困惑した表情を浮かべる、それと同時くらいに部屋の扉が叩かれる。
「覇王様ーー入ってもいいですかーー?」
「構わん」
ゆっくりと扉が開かれる、その存在に私は驚きを隠せずにいた。
背中から真っ白な羽を生やし禍々しい天使の輪をした赤眼の天使
純白の鎧で身を包み歩くたびに靡くブロンドヘア―はキラキラとしている
だが、もう一人の存在を私は知らない
空色の髪をした少女だ。
だが、確実に人ではない、それを証明するかのように頭部には角が二本生えていた。
この少女は...まさか、あのドラゴン?もし予想が当たっているのなら辻褄が通る...気がする。
「ミーシャか...どうしたんだ?体の調子はもういいのか?」
「もちろん!だって覇王様に治してもらったからか前よりも体が動きやすい気がしますよー!」
「あぁ少しスキルの統合と調整をさせてもらった、ゼルに関しては既に最適の状態だったから弄ってはないがな」
「覇王様が統合してくださったのですね、私はミーシャの様に【並列意志】を多重に持っているはけでは無いので、色々と大変だったのですが...随分とすっきりしました」
「また、時間がある時にでもスキルの確認をしとおくといい」
言われた二人の少女が同時にいい返事をし視線をこちらに向けてきた
「超魔王さんでも覇王様には勝てなかったかー...唯一の希望だったんだけどなぁ~~」
少女は悔しみながらも笑う。
一応、本人前に居るけど....。
「君達の主じゃないか、そんなこと言ってもいいのか?」
ちらりと覇王を見ると覇王は誰かに連絡を取っている様子だった。
それに対し少女たちは頭を抱えながら悩み怪しい笑みを浮かべた。
「超魔王さんも戦ったでしょ?どうしたらというより誰なら倒せるか知りたいんだもん」
「私とミーシャでは手も足も出ないですからね...まだ可能性があるのが超魔王とクロノスあとはウラノスとガイアくらいだったのですが...」
視線を伏せる二人を見るとこっちまでもが悪い気がしてしまう、期待してた所悪い....
いや、なんでこの私が謝らねばならんのだ!!
だがクロノスにウラノスそれにガイア...私も戦ったことが無い連中だ【時と天と大地】もしこいつらが他の神達より群を抜いて強いならあり得るかもしれんな...
「俺はクロノスを探しているんだ、奴の持つスキル時を遡る能力をな、それに大事な奴を忘れているぞ...【混沌】の存在をな」
私達がそんな話をしていると覇王が話に入ってきた。
混沌、原初の神の一人であり修羅の世界の創造主だ、つまりは、【初代覇王】
今迄覇王になった人物は創造主である混沌とこの目の前に居る男だけだ
特に詳しく話すことはせずにこの場を去ろうとする覇王、おそらく先ほどのやり取りの事だろう、だがあまりにも不用心だ
もし私がまた戦闘を始めたらどうするつもりなんだ
「まぁお前もまずは状況の把握がしたいだろう、シーラ、何かあれば手伝ってやれ、俺はゼルを連れて学院に戻る」
「はい、お任せくださいお兄様」
覇王は行くぞとだけ告げ天使を連れて転移してしまった、だが警戒はしているようだ、この場にシーラ・シュテルケが居る以上私は無茶な真似は出来ない
瞳を閉じ大きく息を吸い吐き出す、そして覇王の言っていた状況確認の事を考えてみる
そもそも、ここに来たのは覇王潰すためだった、だがそれは私が勘違いしていたことそれに覇王はこの世界をどうこうするつもりはないこともわかった
まぁこの世界がどうなろうとも私の娘が守れればそれでいいんだが...だが...まずはこのシーラとかいうのが私となんの話をしたかったのかを聞くのが先だな
「シーラと言ったな、私に話とは何だったのだ?」
「それは、魔王会議を開くのであなたにも出席してほしいのです、ついでに正式に魔族のトップに立ってほしいのです」
『は?!』
私と同時に間の抜けた返事をしたやつらがいた、ドラゴンと騎士の二人だ
実際私も驚いたのだからこの二人も驚いてしまうのだろう
「そうなのシーラちゃん!まだこの人魔族の頂点じゃなかったの?」
あぁそこか...強さでは魔族の頂点に君臨しているが...実質的なトップは私ではない。
【魔神王サタン】やつと堕天使ルシファーを同一にとらえられるかもしれんが大きな間違いなのだ...
魔神王サタン、奴はルシファーの悪の心本物のルシファーは幽閉され悪の心だけが地上に残ってしまった。
「私を頂点にするのは私だけの力では無理なのだ!力になれなくてすまんな...」
「もう手筈は整ってるので大丈夫です、魔王達を招集し既に傘下に収めたので大魔王達の勢力図が大きく傾くことになります、そして他の大魔王達が協力し攻めてきた所で潰し残りも傘下に加えることで魔神王を引きずり落とします」
確かにシーラが提案した計画は大雑把ではあるが理にかなっている、それに私としても魔神王を放っておくわけにはいかない、ルシファーの為にも....ならば私にできる事は一つ....
「なるほど...既に私は担がれた神輿というわけか、いいだろう、精々踊ってみるさ。これで状況確認は終わったな」
「いいえ、まだ終わってませんよ?」
何を言ってるんだ?私たちは協力関係にある味方同士と言う事で話は終わりだろう...。
ほかに何か...ん?
覇王の妹が鏡を生成し私の体が映る。
な!?
なな!?
「んーそうだねまだ確認したいことあるんじゃない?私達も気になるし...」
騎士が頬を搔きながら半笑いで答える、いやそれどころじゃない!
「なんじゃこの見た目はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
この時初めて自分の体が幼くなっていることに気付いた超魔王:ヴェルダナータはようやく気付いたのだ最初から拒否権などなかったことを。
そしてその幼い肉体で魔族のトップにならなければならないという事実を突きつけられ絶望に打ちひしがれるのだった。
体に痛みは無い、違和感は多少動きずらいという程度ではあるが存在する。
「ようやく起きたか...」
「ひんッ!」
不意に声を掛けられ驚きに変な声がでてしまった。
恐る恐る声の方を向くとそこには覇王が居た。
「目覚めたばかりで悪いが、今回の件をきっちりと説明してもらうぞ」
「あ、あぁ」
それから私は今回の事を説明した。
この国を―――もとい、娘に危害が加わらない内に手を打とうと思ったこと。
王女に召喚されたこと、それから、覇王の妹に招待された事。
この期に及んで嘘をつく必要は無い、私は敗れ命まで助けてもらった。
私はこいつの配下を殺したというのに...。
覇王が頭に疑問を浮かべていると覇王の背後からあの少女が現れた。
覇王の妹―――シーラ・シュテルケだ。
銀髪の美しい長髪は覇王に似ている、忘れたくても忘れられない程の美しさを誇るからだ。
「超魔王を茶会に招待したのは私ですが、どうやら勘違いしてしまったようですね」
「な!あれは確実に力でねじ伏せるという口調だったではないか!」
「私ははっきりと言いましたよ『話したい事があるから兄の城に来てほしい』とそれに、『お茶くらいなら出します』とも言ったはずですが...」
た、確かに...自分の中にある記憶でも確かにそんなことを言っていたと記憶している。
シーラは軽いため息をつく、私が間違えたのか?あの状況では誰だって...。
「まぁ、俺たちが修羅の世界から来たのだと知っていたら、宣誓布告だと思うだろうな...まぁお前のお陰で俺の配下の者たちも更なる強さを求め修行に励んでいるから、いい経験にはなったんだがな」
その言葉に疑問が生まれた、私はあの場で最後に戦った騎士と天使とドラゴン、あの者たちは確かに強かった今まで戦ってきた中でも最上位に位置するほどの存在だ、一番強いと感じたのはこの男だが...
ドラゴンは生きてはいるだろうが後の二人に関してはあの傷では助からない、例え向こうの世界の住人であったとしてもだ。
それをいい経験になっただと?配下の命をなんだと思っているのだ。いや―――。
あぁ...それが普通なのか...あの世界は弱肉強食、弱きは淘汰され強きは更なる力を求めるそれが【修羅】という世界なのだから
だが、茶会の申し出に早とちりをしたのは自分だ素直に謝罪をするしかないだろう。
「すまなかった、騎士と天使の二人には掛ける言葉もない...」
そして覇王は困惑した表情を浮かべる、それと同時くらいに部屋の扉が叩かれる。
「覇王様ーー入ってもいいですかーー?」
「構わん」
ゆっくりと扉が開かれる、その存在に私は驚きを隠せずにいた。
背中から真っ白な羽を生やし禍々しい天使の輪をした赤眼の天使
純白の鎧で身を包み歩くたびに靡くブロンドヘア―はキラキラとしている
だが、もう一人の存在を私は知らない
空色の髪をした少女だ。
だが、確実に人ではない、それを証明するかのように頭部には角が二本生えていた。
この少女は...まさか、あのドラゴン?もし予想が当たっているのなら辻褄が通る...気がする。
「ミーシャか...どうしたんだ?体の調子はもういいのか?」
「もちろん!だって覇王様に治してもらったからか前よりも体が動きやすい気がしますよー!」
「あぁ少しスキルの統合と調整をさせてもらった、ゼルに関しては既に最適の状態だったから弄ってはないがな」
「覇王様が統合してくださったのですね、私はミーシャの様に【並列意志】を多重に持っているはけでは無いので、色々と大変だったのですが...随分とすっきりしました」
「また、時間がある時にでもスキルの確認をしとおくといい」
言われた二人の少女が同時にいい返事をし視線をこちらに向けてきた
「超魔王さんでも覇王様には勝てなかったかー...唯一の希望だったんだけどなぁ~~」
少女は悔しみながらも笑う。
一応、本人前に居るけど....。
「君達の主じゃないか、そんなこと言ってもいいのか?」
ちらりと覇王を見ると覇王は誰かに連絡を取っている様子だった。
それに対し少女たちは頭を抱えながら悩み怪しい笑みを浮かべた。
「超魔王さんも戦ったでしょ?どうしたらというより誰なら倒せるか知りたいんだもん」
「私とミーシャでは手も足も出ないですからね...まだ可能性があるのが超魔王とクロノスあとはウラノスとガイアくらいだったのですが...」
視線を伏せる二人を見るとこっちまでもが悪い気がしてしまう、期待してた所悪い....
いや、なんでこの私が謝らねばならんのだ!!
だがクロノスにウラノスそれにガイア...私も戦ったことが無い連中だ【時と天と大地】もしこいつらが他の神達より群を抜いて強いならあり得るかもしれんな...
「俺はクロノスを探しているんだ、奴の持つスキル時を遡る能力をな、それに大事な奴を忘れているぞ...【混沌】の存在をな」
私達がそんな話をしていると覇王が話に入ってきた。
混沌、原初の神の一人であり修羅の世界の創造主だ、つまりは、【初代覇王】
今迄覇王になった人物は創造主である混沌とこの目の前に居る男だけだ
特に詳しく話すことはせずにこの場を去ろうとする覇王、おそらく先ほどのやり取りの事だろう、だがあまりにも不用心だ
もし私がまた戦闘を始めたらどうするつもりなんだ
「まぁお前もまずは状況の把握がしたいだろう、シーラ、何かあれば手伝ってやれ、俺はゼルを連れて学院に戻る」
「はい、お任せくださいお兄様」
覇王は行くぞとだけ告げ天使を連れて転移してしまった、だが警戒はしているようだ、この場にシーラ・シュテルケが居る以上私は無茶な真似は出来ない
瞳を閉じ大きく息を吸い吐き出す、そして覇王の言っていた状況確認の事を考えてみる
そもそも、ここに来たのは覇王潰すためだった、だがそれは私が勘違いしていたことそれに覇王はこの世界をどうこうするつもりはないこともわかった
まぁこの世界がどうなろうとも私の娘が守れればそれでいいんだが...だが...まずはこのシーラとかいうのが私となんの話をしたかったのかを聞くのが先だな
「シーラと言ったな、私に話とは何だったのだ?」
「それは、魔王会議を開くのであなたにも出席してほしいのです、ついでに正式に魔族のトップに立ってほしいのです」
『は?!』
私と同時に間の抜けた返事をしたやつらがいた、ドラゴンと騎士の二人だ
実際私も驚いたのだからこの二人も驚いてしまうのだろう
「そうなのシーラちゃん!まだこの人魔族の頂点じゃなかったの?」
あぁそこか...強さでは魔族の頂点に君臨しているが...実質的なトップは私ではない。
【魔神王サタン】やつと堕天使ルシファーを同一にとらえられるかもしれんが大きな間違いなのだ...
魔神王サタン、奴はルシファーの悪の心本物のルシファーは幽閉され悪の心だけが地上に残ってしまった。
「私を頂点にするのは私だけの力では無理なのだ!力になれなくてすまんな...」
「もう手筈は整ってるので大丈夫です、魔王達を招集し既に傘下に収めたので大魔王達の勢力図が大きく傾くことになります、そして他の大魔王達が協力し攻めてきた所で潰し残りも傘下に加えることで魔神王を引きずり落とします」
確かにシーラが提案した計画は大雑把ではあるが理にかなっている、それに私としても魔神王を放っておくわけにはいかない、ルシファーの為にも....ならば私にできる事は一つ....
「なるほど...既に私は担がれた神輿というわけか、いいだろう、精々踊ってみるさ。これで状況確認は終わったな」
「いいえ、まだ終わってませんよ?」
何を言ってるんだ?私たちは協力関係にある味方同士と言う事で話は終わりだろう...。
ほかに何か...ん?
覇王の妹が鏡を生成し私の体が映る。
な!?
なな!?
「んーそうだねまだ確認したいことあるんじゃない?私達も気になるし...」
騎士が頬を搔きながら半笑いで答える、いやそれどころじゃない!
「なんじゃこの見た目はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
この時初めて自分の体が幼くなっていることに気付いた超魔王:ヴェルダナータはようやく気付いたのだ最初から拒否権などなかったことを。
そしてその幼い肉体で魔族のトップにならなければならないという事実を突きつけられ絶望に打ちひしがれるのだった。
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