上 下
29 / 84
第4章 孤児院の少女

第25話 第二世代??

しおりを挟む
―――兄様が見てる以上無様は晒せない

 最強の兄の妹として負けるわけにはいかなかった
ただ―――負けるとも思えなかった、キーラはいまだにレベル1だ、普通に考えたらレベル1が勇者に勝てる訳がないだろう
だが兄様のあの自信からきっと私じゃあこの人に負ける要素は無いと教えてくれている気がする

 キーラはいまだに魔法を1つも覚えていなかった、だから戦闘自体は近接戦に持ち込むしかない
こっちから仕掛けてもいいのだろうか、いつも兄様から仕掛けている様子はなかった
強者として自分から仕掛けるのはまずいのだろうか、強者としてどう立ち回るのが最適か思考を巡らせる

―――相手が仕掛けてきた
短剣程度の大きさしか持っていなかった筈がその手には身の丈もあるような大剣が握られていた
特大の剣が振り下ろされ視界が急に暗くなる

さらりと体を逸らし攻撃を回避する
なるべく手加減をしながら相手の剣を殴りつける


ドゴォォォォォン!!


けたたましい音が聞こえる
相手はうまく防げたようで地面に二つの線を残し後退している
相手の表情はかなり辛そうだった、防御してもかなりのダメージを負ったらしい

―――さらに相手が仕掛けてくる
自分との距離を瞬時に詰められる、再び目の前が暗くなる、これをわかっていたかのように指で剣を掴む

―――掴めたと思っていた。
いつの間にか剣のサイズが変わっており今は短剣程の長さしかない
あまりの恥ずかしさ―――動揺にガードが間に合わず
剣先が眼前に広がり思わず目を閉じてしまう


ガキン!!

金属のような音がなり響く

恐る恐る目を開くと剣は額に刺さっているかの様に見えた―――刺さってはいなかった当たってはいるものの傷は何一つついていなかった
ここはあえて煽るように余裕を見せる


「ごめんね、私には通用しなかったみたいだね」

なるべくかわいく見えるように微笑み、拳を握り締める
相手は短剣のサイズを変え特大剣で防ぐために剣を地面に突き刺しそこに隠れる

だからこそ、ちょっと強めに剣を殴る


―――先程とは比較にならないほどの轟音が鳴り響き砂煙が上がる

砂煙が消えた場所には対戦相手の少女が倒れていた
起き上がってこないことを確認してから振り返り笑顔でピースサインをした



―――笑顔がかわいい

 勝負はキーラの圧勝だった。
一瞬ヒヤッとしたが、さすがの防御力だ、キーラのステータスを今度見せてもらおう

ふむ、と少し考え込む、あれくらいの強さがあればもしかしたら学院でキーラの友達になれるかもしれない


「勇者よ、お前の力を戻してやる、その代わり、娘は頂いていく、返してほしかったら俺の城まで来るといい」

勇者の体の時間を過去に戻す、具体的には子供を作る前、つまり―――お前は再び童貞だ!!ガハハ!!

倒れた少女をマキが抱え少女はなされるがままに力なくぶら下がる

「それは、ゼルに預けておけ、とりあえず傷を癒して布団にでも寝かせてやれ―――行くぞ」


勇者達を閉じ込めていた箱を解除してから【転移テレポート】を発動させる。




転移テレポート】先は孤児院だキーラと二人で【転移テレポート】し遅れてマキが【転移テレポート】してくる、先程まで抱えていた少女は抱えていない言われたとおりに預けて来たようだ


孤児院の上空に転移テレポートし下を見下ろすとミシャが1人で泣いていた、なにか...いや、無いわけないか
そっと地上に降下し声をかける

「グレース様...私...怒られちゃいました...」

なんて声を掛ければいいのだろうか、きっと俺が渡した金のことで怒られたんだろう
まぁひとまず連れて行こう、多少強引にでも

「さぁ、行くぞ」

少し強引に覇王城に【転移テレポート】する。

覇王城の一室、俗にゆう修行部屋だ

この修行部屋は時間の流れを加速させていてこちらの世界での1時間が1万年ほどになっている
だからこそこの中に入って少ししたら体の進みを止めなければならない、それにこの部屋は魔力が大量に満ちていて、農作物なども育てることができる
作物自体も特殊に作られており、食べれば食べるほどステータスが上昇する―――レベルの上限を一切無視して上昇し続ける
つまり、ステータスのカンストを簡単に行える。

「この部屋は...なんですか?」

「この部屋は【時空の狭間】といってこの部屋の中は時間が加速している」

「ここで修業をするんですか?」


ミシャの危険を肯定してから【念話】を使用して龍王のシザースを呼びつけた
するとすぐさま【転移テレポート】してくる

「お呼びでしょうか、覇王様」

「あぁ、数日前に生まれたという子竜と共にこの子も修業させてやってくれ」


シザースは擬人化しており、立派な紳士老人のような見た目をしていた
シザースはミシャを下から舐めまわすように見る、そこであることに気が付く


「覇王様、この子の魂は...」

「頼めるか?」シザースの言葉を遮る

「はい、お任せください、お時間はどれほどにしますか?」

「三時間くらいで15歳くらいで体の年齢を止めてくれ」


強く肯定し深く頭を下げミシャを連れ部屋に入って行った


「兄様、ミシャの事何か知ってたの?」キーラが不思議そうに訪ねてくる

「まぁな、―――最近、新しく竜が生まれたらしくな、その竜とたまたま魔力の色が同じだっただけだ、もしかしたら、ミシャの妹かもしれないな」



はぐらかすように肩を竦める

勇者が来るまでのいい時間つぶしになるだろう

さらに【転移テレポート】し勇者の娘を捕えている玉座の間に移動する、そこにはプライバシーそっちのけで堂々と玉座の階段の下にベットが置かれており
そこで少女は眠りについていた

ただこれから行うゲームには一人足りない、俺、キーラ、娘、シーラ...あと一人は欲しいな...


思いついたかのように手を叩き【転移門ゲート】を開く

すると開いた穴から大量の水―――いやお湯が流れ出してくる、少しすると何か物体のようなものが落ちてくる
―――落ちてきたのは生まれたままの姿をしたエミールだった、玉座の前で、それも全裸で布を頭に乗っけてるのは少々滑稽でもある
長く感じるような短い時間エミールと目が合ってしまう、―――状況を理解してきたのか段々と顔が赤くなっていく

叫ばれて平手打ちされる前に創造の魔法を使い服を生み出し着せる―――もちろん同時に指を鳴らす、正直指を鳴らす必要はない
反論する暇を与えずに勇者の娘を起こす、エミールは悔しそうにしていた、正直ごめん

寝ている勇者の娘の目が覚めたので歩いて近寄る、

―――明確な敵意を向けられた、そんなにかわいい顔で睨むなよ...―――ある意味興奮する
おっとここであほみたいな顔をしてる場合ではない、ここは凛々しくそしてかっこよくさらに怪しく告げねば

「さぁ、ゲームを始めよう、―――お前が俺に勝てたら願いをなんでも叶えてやる」

「どんな...願いも叶えてくれるんですね....わかりました」仕方ないという表情をしている

勝てると思ってるのか?まぁ今回するゲームはどちらかと言えば頭脳系のゲームなので、一種のハンデともいえるだろう
指を鳴らし机と椅子を錬成する、机は天板のの部分が青色のよくあるカジノなんかに置かれているようなもの

勇者の娘の顔は驚きを顕わにしている

「私と戦うんじゃないんですか?!」

「もし仮に戦ったとすればお前の勝率は限りなく0に近い0だ」凛々しく伝える、正直、自分でも何を言ってるか理解できない

「成る程、手加減をしてくれている、と言う訳ですか」

「まぁ、そうゆう訳だ、始めようルールは簡単だ、」

それから、【大富豪】の説明をした、どうやら勇者の娘は何度かやったことがあるらしい、一番困ったことはエミールの覚えが悪い、ゼルセラを代わりに入れた方がよかったと思わせる程に



「さぁ始めよう、未来を賭けた【死のゲームデスゲーム】を!!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~

一色孝太郎
ファンタジー
【小説家になろう日間1位!】 悪役令嬢オリヴィア。それはスマホ向け乙女ゲーム「魔法学園のイケメン王子様」のラスボスにして冥界の神をその身に降臨させ、アンデッドを操って世界を滅ぼそうとした屍(かばね)の女王。そんなオリヴィアに転生したのは生まれついての重い病気でずっと入院生活を送り、必死に生きたものの天国へと旅立った高校生の少女だった。念願の「健康で丈夫な体」に生まれ変わった彼女だったが、黒目黒髪という自分自身ではどうしようもないことで父親に疎まれ、八歳のときに魔の森の中にある見放された開拓村へと追放されてしまう。だが彼女はへこたれず、領民たちのために闇の神聖魔法を駆使してスケルトンを作り、領地を発展させていく。そんな彼女のスケルトンは産業革命とも称されるようになり、その評判は内外に轟いていく。だが、一方で彼女を追放した実家は徐々にその評判を落とし……? 小説家になろう様にて日間ハイファンタジーランキング1位! ※本作品は他サイトでも連載中です。

美しくも残酷な世界に花嫁(仮)として召喚されたようです~酒好きアラサーは食糧難の世界で庭を育てて煩悩のままに生活する

くみたろう
ファンタジー
いつもと変わらない日常が一変するのをただの会社員である芽依はその身をもって知った。 世界が違った、価値観が違った、常識が違った、何もかもが違った。 意味がわからなかったが悲観はしなかった。 花嫁だと言われ、その甘い香りが人外者を狂わすと言われても、芽依の周りは優しさに包まれている。 そばに居るのは巨大な蟻で、いつも優しく格好良く守ってくれる。 奴隷となった大好きな二人は本心から芽依を愛して側にいてくれる。 麗しい領主やその周りの人外者達も、話を聞いてくれる。 周りは酷く残酷な世界だけれども、芽依はたまにセクハラをして齧りつきながら穏やかに心を育み生きていく。 それはこの美しく清廉で、残酷でいておぞましい御伽噺の世界の中でも慈しみ育む人外者達や異世界の人間が芽依を育て守ってくれる。 お互いの常識や考えを擦り合わせ歩み寄り、等価交換を基盤とした世界の中で、優しさを育てて自分の居場所作りに励む。 全ては幸せな気持ちで大好きなお酒を飲む為であり、素敵な酒のつまみを開発する日々を送るためだ。

異世界悪霊譚 ~無能な兄に殺され悪霊になってしまったけど、『吸収』で魔力とスキルを集めていたら世界が畏怖しているようです~

テツみン
ファンタジー
『鑑定——』  エリオット・ラングレー  種族 悪霊  HP 測定不能  MP 測定不能  スキル 「鑑定」、「無限収納」、「全属性魔法」、「思念伝達」、「幻影」、「念動力」……他、多数  アビリティ 「吸収」、「咆哮」、「誘眠」、「脱兎」、「猪突」、「貪食」……他、多数 次々と襲ってくる悪霊を『吸収』し、魔力とスキルを獲得した結果、エリオットは各国が恐れるほどの強大なチカラを持つ存在となっていた! だけど、ステータス表をよーーーーっく見てほしい! そう、種族のところを! 彼も悪霊――つまり「死んでいた」のだ! これは、無念の死を遂げたエリオット少年が悪霊となり、復讐を果たす――つもりが、なぜか、王国の大惨事に巻き込まれ、救国の英雄となる話………悪霊なんだけどね。

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜

アーエル
ファンタジー
女神に愛されて『加護』を受けたために、元の世界から弾き出された主人公。 「元の世界へ帰られない!」 だったら死ぬまでこの世界で生きてやる! その代わり、遺骨は家族の墓へ入れてよね! 女神は約束する。 「貴女に不自由な思いはさせません」 異世界へ渡った主人公は、新たな世界で自由気ままに生きていく。 『小説家になろう』 『カクヨム』 でも投稿をしています。 内容はこちらとほぼ同じです。

処理中です...