上 下
4 / 10

4

しおりを挟む

「あの、貴方一体どこへ向かっているのですか?」

いつもの談話室への方向ではない様な気がして殿下の従者に質問をする。
なんだかこの方様子もおかしな気がするし、どうしようか。

「本日は殿下がいつもと違うお部屋でお話をされたいとの事でしたのでそちらへ案内させていただきます。」

にこっと笑ってみせる従者だがどこか不気味さを感じて足を止めて少し後退る。

「どうされたのです、セドリック様?」

「……私体調が芳しくない様ですので本日は殿下にお断りを入れていただけます?」

「おやおや、それは心配でございます ね私が御支え致しましょう。」

従者が気味の悪い笑顔を貼り付けて僕に近づいてくる。あぁ、気持ちが悪いっ。

「ち、近づかないで!それ以上近づけば父に報告させていただく!」

「そんな酷い事をおっしゃらずに、……ふっそうですねでは'私は'一切近づきません。」

「……?」

従者が僕の後ろを見て笑った気がする、なぜだ。後ろを振り向こうとすると後ろからばっと口元を何かで抑えられた。

「うっ、んんーっ!」

どうにか助けを呼ぼうとして叫ぶも口を抑えられているため声が出ない!あ、なんだか意識が遠くなってくる。

殿下、でんか……。







はっ!と目を覚ますと知らない天井が目に入り起き上がる。

「セディ目を覚ました様だね。」

そう僕に声をかけたのは同じ殿下の婚約者候補のセシリオ様だった。

「セシリオ様?ここは一体どこなのです?」
「セディ……。」


僕の名前を呼んで近づいてくるセシリオ様は少々いつもと様子が違うようだったが不思議と恐怖は感じなかった。












「セディ、すまなかった!!!」

「へっ?!」

ん!?なんだどうしたんだ?セシリオ様がいきなり頭を下げて謝罪をしている。

「セシリオ様!?あ、頭をおあげください一体どうされたというのです!」

「セディすまない、先程はとても怖い思いをしたよね?僕の懇意にしている令嬢令息が今日君と殿下の昼食の予定を知った様でそれでその、妨害したのだ。」

「妨害を?一体なぜ、そんな事をする必要が?」

「なぜと?それはセディが殿下の婚約者に内定したからだよ。」

「……………へっ?い、いえいえいえ殿下の婚約者はセシリオ様に決まったのではないのですか!」

セシリオ様に当たり前の様に言われた内容に理解が追いつかず興奮気味にセシリオ様に近づくと不意に頭がぐらっとなりセシリオ様の胸に寄りかかってしまう。

「申し訳ございませんっ、セシ」

バンッ!!!

僕の言葉を遮る様に荒々しくドアが開く。








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

そんなの聞いていませんが

みけねこ
BL
お二人の門出を祝う気満々だったのに、婚約破棄とはどういうことですか?

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

悪役王子の取り巻きに転生したようですが、破滅は嫌なので全力で足掻いていたら、王子は思いのほか優秀だったようです

魚谷
BL
ジェレミーは自分が転生者であることを思い出す。 ここは、BLマンガ『誓いは星の如くきらめく』の中。 そしてジェレミーは物語の主人公カップルに手を出そうとして破滅する、悪役王子の取り巻き。 このままいけば、王子ともども断罪の未来が待っている。 前世の知識を活かし、破滅確定の未来を回避するため、奮闘する。 ※微BL(手を握ったりするくらいで、キス描写はありません)

俺に告白すると本命と結ばれる伝説がある。

はかまる
BL
恋愛成就率100%のプロの当て馬主人公が拗らせストーカーに好かれていたけど気づけない話

婚約破棄を望みます

みけねこ
BL
幼い頃出会った彼の『婚約者』には姉上がなるはずだったのに。もう諸々と隠せません。

好きで好きで苦しいので、出ていこうと思います

ooo
BL
君に愛されたくて苦しかった。目が合うと、そっぽを向かれて辛かった。 結婚した2人がすれ違う話。

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?

麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。

処理中です...