転生勇者の異世界見聞録

yahimoti

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第104話 暗冥の王2

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「チューッ!」

3人共しっぽをぴんと立ててびっくりしている。

バレてるじゃない。名前、私たちの名前覚えてるし。

何にも覚えて無さそうとかいったじゃない。

僕もようやく意識がはっきりして来たところだったしね。

人化している彼女達は大体17歳前後に見える。

丸い耳が頭についてヒョロリとしたしっぽがついている以外は普通に可愛い美人さんだ。

某ネズミーランドに遊びに行っているお嬢様達の様なもんだ。

でもこの子たちは獣人族ではない。

この城を建てた時に迷い込んで来たネズミに人化の魔法と知能を高める魔法をかけて使い魔にしてみたのだ。

今は耳を垂れて股の間に挟んだしっぽを両手でつかんで青くなっているけど。

「ばれてました?」

「何がかな。こっちにおいでよ,奥様方。」

3人がおずおずと僕の前に集まりひざまづいて、前足じゃなくて右手を差し出してくる。

僕は3人を抱きしめて言う。

「長い事待たせたね。また楽しく暮らそうね。でも嘘つきには、お仕置きだね。」

3人のメイドはポンっと小さくなって3匹の白いネズミになった。

なんか必死になってチューチュー言っている。

「頑張れよ。ネコのおやつにならないようにね。」

ネズミの居場所といえばこの壁の厚みの中、とりあえずここならネコもイタチも入って来ない。

「ペトロの薄情者めーっ。1000年も復活を待っていたのに。」

チェリが地団駄を踏んで怒る。

「嘘をつくからよ。」

ツッピはむしろチェリに怒っている。

テトはばれると思っていたからわりと平気だ。

勇者の魔力が再び街を漂い世界を満たし始めたのでそろそろご主人様も目覚める頃だと思っていた。

ご主人様は魔力の量は勇者ほどではないが魔法の知識や技術、出力は勇者に勝る大魔法王なのだ。

私たちの王ペトロニウス・グローヴズ。

「チュー。』

テトが勝手に盛り上がるとテト達の従者ネズミ2万匹も「チュー。」と盛り上がる。

「テト、うるさいよ。」

と壁の外からペトロの声。

怒られた。

ネズミならいっぱいいるのになんで私って分かったのかしら。

「さて、勇者に会いに行こうかな。」

そう言うと3匹の白いネズミがどこからか現れてローブのポケットに飛び込んで来た。

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