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第87話 王国筆頭魔法師クリムロンタ2
しおりを挟む「はあ、姫達はそんな事になってんの。」
クライアス王は頭を抱えた。
「姫達はまだ子供だぞ。」
「それでそんな力を持ってしまったら他所の国に嫁がせる事は出来ん。」
「国内でも誰に嫁がせたら良いのか難しいぞ。」
デルバート宰相にも息子はいるがそんな力のある姫を嫁にして息子がまともでいる自信はない、とんでもない事だ。
「元々、勇者に縁付けるためにロイス侯に預けたのですから三人とも勇者に面倒を見てもらったらいいんじゃないですか?」
とユウトに押しつける。
「うーむ、それはそれでいいかもしれないが、、、。」
王も他にいい考えが出ない。
デルバート宰相がいい事を思い付いたみたいに言う。
「大聖女様に相談したらいいんじゃないですか?」
この人達はなんでもあっちこっちに丸投げだね。
「また大聖女様に、、、。わしは大聖女様が怖いんだが。」
「この間カニ持って行ってご機嫌だったから今度は先日ロイス侯が持って来た漬物と言う珍味を持って行ったらどうですか?」
王も特別名案もないので
「そうして見るか。」
と力なく言った。
「何これ、腐っているんじゃないの。早くフタをしなさい。こんなの食べるなんて勇者は変態なの。」
大聖女はお怒りです。
失敗だ。
クライアス王は頭を抱えた。
それでも勇気を振り絞って姫達の事を相談してみた。
相変わらずソファーにもたれて何かの原稿に目を向けている。
王が焦っているのは完全に無視だ。
わし王様なのに雑魚扱いって酷い。
元々この国は勇者が建国して自分が施政するのが面倒くさいと言って当時優秀な宰相だったご先祖様に
「任せるから王様やって。」
と押しつけたのが始まりで勇者と大聖女の子供達もその子孫も政治的な事には無関心で貴族ではあるけれど全く何もしない。
ヤーマンダ公爵家がそうなんじゃが。
というのもこの1000年の間殆んどと言って国家間のトラブルはなかった。
まあ勇者がいる、あるいは現れるかもしれないと言う状態で侵略や戦争をしようものならたちまち勇者が来て蹴散らかしてしまう。
内政干渉になろうが、ただのお節介だろうがお構いなしに。
だからどこの国も戦争なんか出来なかった。
「そんなの何にも考えずにやらかしたユウトのバカのせいなんだから私は知らないわよ。」
「ユウトに押しつけなさい。他にどうしようもないんだし。」
と言われてしまう。
わしは怒られに来ただけか。
「私は忙しいんだから用が済んだらさっさと帰りなさいよ。」
と言って教会を追い出された。
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