転生勇者の異世界見聞録

yahimoti

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第52話 エルフの里と世界樹3

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エルフの里ではぶっとい木のウロが住居として利用されていて木と木の間に縦横に釣り橋が渡されている。

上に上がる時は木の周りに設けられた螺旋状の階段を使い、降りるときは植物の蔓なのかローブなのかわからんものをスルスルとつたって降りてくる。

女性は主に丈の短い貫頭衣の様なものを来ているので見上げるといろいろ見えてしまうのじゃ。

エルフたちは超長生きで性的なことにはほぼ無関心らしいので気にならんのじゃろう。

里の中なのでリルは人型になってわしの手を引いている。

フエツの街ではエルフは見かけないのでレティシアには珍しいのかもしれない。

おのぼりさんの様にキョロキョロしている。

一際太い木の上からローブを伝って20歳ぐらいの女性がスルスルと降りてきた。

「里長、今そちらに伺おうとしていたんですよ。」

案内していたエルフの一人が声をかける。

「人間?珍しいわね、普通は近づく事も入ることも出来ないはずなのに。」

隠蔽の結界の事を言っているんだろう。

わしやリル、ムートには纏っている魔力のレベルが違いすぎて全く関係ないからの。

すると意外とエルフの里は大森林の浅いところにあるのかもしれんな。

などと考えていると里長と呼ばれた女性は急にわしを抱き上げると顔を近づけてクンクンと匂いを嗅ぐ。

「この魔力の匂い。」

じーっとわしを見る。

「あんたなんでそんなにちっちゃいの、1000年の間に縮んだの。」

そんなわけないわ。

わしはついこの間この世界に来たとこじゃ。

と言うわけにもいかないので返答に困る。

「人間なんてすぐに大きくなるんだから、まあいいわ。10年ぐらいあっという間。」

と勝手に納得した様子。

魔王も同じ事を言っていたし何を納得したんじゃろう、ちょっとこわい。

「せっかく帰って来たんだからゆっくりしていきなさい。」

「リルもムートも久しぶりね。あなた達は変わらない様ね。」

「私はここの里長を務めているティルーン。」

「そこにいるのが娘のユリアその隣が娘の夫のマイケンでその子は孫のリスティよ。」

「みんなあなたの家族よ。」

知らん知らん、わしとあんたの知っている勇者は別もんじゃと言う事も出来ん。どうしたもんじゃろ。

木のウロとは思えない大きさの円形の広間。

天井からテントのように壁面に沿わせて垂らしている。

鮮やかな色で魔獣や神獣の絵がシンボル化されて描かれている。

丁度上座の中央には金色の箔が貼られ白で人のシルエットが描かれている。

あれは神か?

「あなたが描かれているのよ。1000年前のあなたが象徴化されて。」

わしの視線に気がついたのかティルーンが言う。

「3体の神獣と4つの種族を従える勇者ユウト。愛と力の象徴として神格化されているわ。」

あー。愛ね。それであっちこっちでやらかしてくれてんのか。

何やってんだ勇者と言いたい。
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