転生勇者の異世界見聞録

yahimoti

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第4話 レティシア

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私はこの西門に配置されている衛兵。

騎士団の新人だ。

この地方の領主の娘だが社会勉強として騎士団に所属している。

今は先程の門の前での騒ぎから連れてきた子供の面倒をみるように上司でもある兄に言われて詰所にいる。

椅子に座って足をぷらんぷらんさせているおそらく十歳に満たないぐらいの子供。

金髪碧眼、肌は白い。

この容姿は貴族に多く見られる特徴だ。

声や見た目では男の子なのか女の子なのか判別がつかない。

だが、かっ可愛い。

持って帰っていいだろうか。

人さらいの馬車に乗っていたのだがどこから来たのかわからないし身寄りもないようだ。

いや、あるのかもしれないが覚えていないらしい。

名前はユウトだと答えていた。
その際ユウト ヤマダと答えたので王都のヤーマンダ公爵家に問い合わせた。

しかしユウトという子供は関係者にいないとのことだ。

ヤーマンダ公爵家はこの国の大貴族だ。

千年前に現れた魔王を倒してこの国を開いた勇者を先祖とする。

しかもユウトはその勇者の名前だ。
報告に行った使いの者はヤーマンダ公爵家の家令に冗談はやめてねと言われたらしい。

偽名なのかもしれないが勇者にあやかってその名をつける者も多い。

ユウトが関係者なら今頃大騒ぎになっているところだろう。

どこか他の地域の貴族の子なのかもしれない。

不安ではないのだろうか。

妙に落ち着いている。

荷台にはユウト以外に袋に入れられた3人の子供がいた。

その子たちはすでに身元が分かり迎えを待っている。

ユウトは何を聞いても「わからない」と言う。

突然のことで何も信用できなくなっているのだろうか。

「もう行ってもいいか」

とユウトが言う。

「だめだ、身寄りもない子どもが一人で出ていってどうする。」

「はらへった。なんか食べるものを買ってきてくれないか。」

と言ってユウトはどこからかコインを出して差し出してくる。

金貨?それもエリミリア金貨。
1000年前の建国の時代に勇者と共に戦った聖女が描かれている。
現行のドルクル金貨の100倍の価値がある。

「こんなもの人前で出すなー。食べるものは用意するから早くしまえ。」

ユウトは目を見開いて驚いている。

「これ使えないのか?」

「使えるがこのままじゃダメだ」

ユウトに通貨についてや金貨の価値、両替が必要なことを教える。

この新人の衛兵はいいやつみたいだ。

用意されたパンを食べながら考える。

ここの衛兵は公爵家の騎士団が当番制で勤めているらしい。

レティシアも貴族の子女で騎士団員だそうだ。

金貨のことや時代背景からすると今はあのゲームのストーリーから1000年後になる。

さすがに1000年もたてばかなり変わっているだろうからゲームの知識はあまり役に立たないじゃろうな。

しかし勇者がヤマダってそれわしなんじゃないか。

この世界にゲームの内容が反映されているのか?

面倒くさそうなのでこれからは苗字を名乗るのはやめておこう。

しかしストーリーは魔王を倒したところで終わり。

エンディングロールが始まってしまう。

その後勇者が何をしたのかはわしには分からない。
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