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第38話 エウルチグ猫の森学園
しおりを挟むタブレット端末のアラームがなる。
学校が出来たって案内がきた。
今までの施設から学校に付属する宿舎に移動してすぐにゴーレムがやって来てタブレット端末を渡された。
「アシャレムさん10歳ですね。エウルチグ猫の森学園にようこそ。私は教育支援型NPZ-085ゴーレム。あなたがこの学園を卒業するまでの勉強のお手伝いをします。よろしくね。」
僕と変わらない背丈の猫耳としっぽがついた女の子のゴーレムだ。
自分でゴーレムっていうからそうなんだろうけどゴーレムっぽさが全然ない。
学校が出来る迄は宿舎や宿舎の食堂やカフェで読み書きや計算など基礎の勉強をゴーレムと一緒にする。
タブレット端末にはゴーレムの取り扱い説明があった。
まず卒業までの間は自分専用として名前が付けられる。
僕はストレイフ子爵様に憧れているのでたぶん子爵様のお姉様だと思うチャオ様とおそらく妹だと思われるマヨネ様の名前をとって「マチャ」と名付けた。
マチャは教育支援型だけど子供を守る護衛の機能もある。
エウルチグ領では領法でゴーレムへの暴力や虐待は禁じられている。
違反するとゴーレムの所有権を剥奪され犯罪者として強制労働が課せられる。
ゴーレムは搭載されている防御システムで保身するとともに保護隊に通報する。
保護隊はすぐに転移してくるそうだ。
これは保護している子供にも当てはまり子供が暴力や暴言、虐待に晒されると防御システムが作動する。
こんなゴーレムが生徒の数以上にいるってここはどうなっているんだ?
学校を作っているのもいろいろなタイプのゴーレムが魔導機を駆使してどんどん作っていく。
1ヶ月もしないうちに学校が出来たらしい。
宿舎とは渡り廊下でつながっている。
この学校に何年生とか何組とか言うものはない。
自分のやりたい仕事や自分がなりたいものになる為に必要な資格や技術の取得をする為に必要な単位を重ねていくんだ。
何をすればいいのかわからないこともある。
その為のカウンセリングや適性検査などもある。
学校のロビーはムダに広い。
ここだけでエウルチグの中央時計台のある広場ほどある。
学校と言うよりも図書館とか博物館の様な感じだ。
実際、両方ともこの学校の中にある。
マチャと一緒にカフェに行く。
学校の中ではタブレット端末があればだいたい無料だ。
「アシャレム久しぶりだな。」
と声をかけられる。
同じ施設にいたユバネルとテユンツスそれからハウラだ。
女の子のテユンツスとハウラについているゴーレムも猫娘型なんだな?
男子型ゴーレムを見た事がない。
聖人コージ ストレイフ子爵様の趣味なのか?
「ついに学校が出来た。アシュレムわかっているだろうな。」
ユバネルは目をキラキラさせて話しかけてくる。
「俺たちはここで勉強して恩人ストレイフ子爵様の役に立てる様になるんだ。」
「僕はこのエウルチグの街の整備と新しい産業の開発をするんだ。」
とアシュレム。
「俺は魔国との通商を盛んにして資源の確保をする。」
ユバネルも。
「私は大陸中へのゴーレムの普及の為の法整備をするわ。」
テユンツスが言う。
「私はゴーレム運用の新しいシステムを作る。」
ハウラが続ける。
マチャがニコニコして言う。
「その為にまず文字の読み書きと九九の練習をしましょうね。」
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