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第24話 レイアン八つ当たり

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「ちくしょう、ちくしょう、同郷だからってコージなんかをパーティに入れたのがケチの付き始めだ。」

レイアンは他の盗賊達と一緒に捕縛されてダリオスの鉱山に移送されている。

何十人もの犯罪者が数珠つなぎになって手枷と足枷をつけられてズルズルと足を引きずりながら先行する馬車の後を歩かされている。

街道とはいえ大荒野の中には違いがない。

岩と砂しか無い。

延々と続くでこぼこ道。

砂埃が目に入っても手枷で拭うこともできない。

気温はさほどでもないが避けることの出来ない日差しが肌を焼く。

なんの装備もなく、魔法も封じられた状態で街道から逸れればたちまち魔獣のおやつになってしまう。

街道から離れ過ぎると設置されている半永久的に稼働すると言われる魔物避けが効かないのだ。

ステップリザードの様にジャンプして襲ってくるものや、巨大なサンドワームの様に地中から伸び上がって襲ってくるものがいる。

野良のワイバーンやハーピーなど飛んで襲ってくる魔物ももちろんいる。

犯罪者を移送するには絶好のルートだろう。

俺は帝国で捕まったが王国の出身という事で帝国から犯罪奴隷として払い下げられたのだ。

なんで出身がわかったのか?

帝国の人間からすると同じ言語でも王国訛りがあるらしい。

王国訛りってお前らこそ帝国訛りだろうがっと張りあっても仕方がない。

前科や逃亡歴がバレていたら死罪になるところだった。

髪の毛を坊主刈りにして髭を伸ばして、眉毛も剃ってやったし名前もアレインに変えた。

別人だ。

ギルドカードを失って身分証明が無いんだからなんでもいいのだ。

今回は貴族の旅隊を潜り込ませた冒険者と連携して襲う計画だったのだが行動を開始した途端に制圧されてしまった。

警告するような音がしたと思うと目の前が真っ白に光り、オタオタと狼狽しているうちに細いが強固なロープ状のものでぐるぐる巻きになっていた。

しかも武装は全て剥ぎ取られてすっぽんぽんだし魔法も使えない様に頭に制御リングを嵌められていた。

いったい何が起こったのかさっぱりわからない。

なんでも最近帝国で作られた浮動馬車にはセキュリティシステムとして防衛機能をおまけでつけているらしい。

おまけなんてもんじゃないだろあれは。

あんなものが馬車に普通についていた日にゃ盗賊は商売上がったりだ。

冒険者も護衛の仕事がなくなっちまうんじゃないのか?

ダリオスの鉱山での終身強制労働は露天掘りの鉱山。

お天道様が拝めるだけ他の鉱山労働よりましだと言われるが過酷な事に違いはない。

鉱山に入ってしまったら逃げられるチャンスは無い。

徐々に体力と気力を失って早晩死んでしまうのだ。

この移動中に逃げなければ....。

レイアンは必ず脱走して復讐してやると思っていたがその対象がコージなのだから訳がわからない。

八つ当たりなのだが自分の気持ちの持って行きどころが他に見つけられないのだろう。

他のパーティメンバーはというと、マウジェとカンパーナはギルドをクビになっただけでトリミド村に帰った。

マウジェは村の自警団に入り、カンパーナは薬屋に勤めて魔法薬を作っているらしい。

うまく脱走して金儲けして迎えに行ってやるさ。

レイアンは諦めない男だ。
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