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第13話 ハンネス子爵
しおりを挟むダリオスの街の冒険者ギルドに行くとクラクルさんのパーティがいた。
「やっと会えたな。先に着いていると思ったんだけどな。」
途中の荒野でサンドワームやデザートサーベントやらスコーピオンなどをちょこちょこ狩りながら来たからね。
ここでしか手に入らない鉱物系のアイテムがいろいろ手に入ったし、いろいろな魔物のお肉も珍味だった。
黄土色の土とゴロゴロとした岩の荒野が地平線まで続いている景色も安全さえ確保できれば美しいと感じ事が出来る。
マヨネもいろんなものが見られて楽しそうだったしチャオも機嫌が良さそうだしやっぱり旅は楽しい。
「コージ、オレと一緒にハンネス子爵のお屋敷に行ってくれ。子爵に頼まれてんだよ。」
さすがは景気のいいダリオス領の子爵邸、前に訪問したフエツ領のロイス侯爵邸に匹敵する規模のお屋敷だ。
メイドさんの案内がなければ絶対迷う。
部屋数は多いし、廊下は入り組んでいる。
「やあ、良く来てくれた。」
ハンネス子爵は気さくに声をかけて来る。
コージが「ああ。」とか「うう。」しか言わないのでマヨネも「ああ。」と言うので、チャオが代わりに挨拶をする。
するとチャオを見習ってマヨネもちゃんと挨拶する。
出来ないのはコージだけ。
顔を赤くして固まっている。
「気楽にしておくれ、命の恩人達。」
そうハンネス子爵が言うとコージは余計に緊張する。
席を勧められてテーブルにつく。
テーブルの紅茶とお菓子を見てマヨネが手を伸ばす。
チャオがマヨネの頭を撫でて「まーだ」と言って嗜める。
マヨネが伸ばした手を止めて子爵の顔を見る。
「遠慮はいらないよ。」
とハンネス子爵が言う。
「最低限の作法は教えたいんです。」
チャオは言う。
マヨネはなんでも教えたとおりに覚えてしまうから間違った事や変な事も覚えてしまうので大変なのだ。
後からペトロニウスに聞いた話しだと集めた情報量が多くなれば最適、最善な対応が出来る様になるのでそんなに心配しないでも良かったみたいだけど。
「お礼をしたかったんです。盗賊をやっつけてくれた上に馬車を素晴らしい馬車にしてくれた。なのにお礼も言えないままだったので。」
それでと同席していた商人のゴレンフロさんが話しを続ける。
「コージさんは私にとっても命の恩人です。失礼ながら私、コージさんの事を調べさせていただきました。」
コージが錬金術と付与を使うことや勇者と面識がありロイス侯爵邸に出入りしていた事などは印象を良くしている様だ。
あの即席で修理した馬車が凄く気にいられた様で特許をとってはどうかと勧めてくる。
しかしあれは帝国のレフト姉妹が開発した魔導飛機を馬車にくっつけただけで特許になる要素がないのではと思うが。
ゴレンフロさんが言うにはレフト姉妹は魔導飛機の元々の魔法は魔法師に教えてもらったものなので強く権利を主張するつもりはないそうだ。
使用方法などの工夫をして広く使って欲しいと言うことだ。
パーツの販売に力を入れているので転用についてはそれなりの権利が認められるそうだ。
ハンネス子爵としてはしばらく子爵邸にいて何台かの馬車にも同じ加工をして欲しいそうだ。
子爵邸に逗留している間にマヨネに作法などを教える先生をつけてもらえるようにお願いして要望を聞き入れることにした。
マリタさんは不機嫌だ。
ずっと同席しているのにコージは全然自分を見ないし、商人がずっと話しをしていて声もかけられない。
まあ、しばらく邸に居るみたいなのでまた話しをする機会があるだろうと、とりあえず納得することにした。
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