蒼穹のゼデ

yahimoti

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第48話 亡国のゼデ2

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ゼデを見て島民達が話しはじめる。

「これが暴虐の王の子か?」

「ぷよぷよのサラサラじゃないか。」

「ちっちゃいし。」

「わしこんな孫みたいな王になら隷属してもいいかも。

「私も、好みのど真ん中よ。」

みんな適当なことを言い始める。

「こらこら、いい加減なことを言うな。王威がどんだけ恐ろしいものかわかっておらんのじゃおまえ達は。」

「村長だって2000年も前の事知らんじゃろうが。」

こまっしゃくれた子供が偉そうに言う。

ゼデはただ立っている様に見えるがその意識はここにはない。

ゼデの頭の中でたくさんのシュルツテルツ言語が渦巻いている。

おそらくロストテクノロジーを稼働する為のマジックスペルだと思われる。

尖塔が光始める。

島民が跪く。

ゼデの王威が発現した。

破損していた足元のエネルギー供給ラインがウネウネと動きまわり切れた部分の修復を始める。

地面に埋もれていた王宮の施設が隆起してくる。

「うわー、こりゃ凄い。」

デルバートが嬉しそうに言う。

「何言ってんの、こりゃこのままじゃ相当まずいよ。」

コージは周囲を見回して危機感を感じる。

このまま大陸が浮上する様な事があればドルツリア大陸の海岸線の街はただではすまない。

「ゼデ、ゼデ、やめろ。わからないのか?」

ゼデは自我を失っているようだ。
なんの反応もせずに立ち尽くしたまま何かを呟いている。

ゼデの首に巻かれたプミルが光を増す。

ラプテスが笑っている。

「あはは、王国が復活するわ。シュルツテルツ王国が復活するの。世界はみんなゼデに屈服するのよ。」

残念ながら妖精に人の善悪はないだけでは無く何かに取り憑かれたように我を失っている。

「ゼデ、このままだとシュルツテルツ大陸の浮上の余波でラウバル諸島は海に呑まれてしまうぞ。意識を戻せ。」

コージの声はゼデには届かないのか?

尖塔の光はどんどん強く大きくなって行く。

島民は地面に平伏して全く動かない。

「ゼデーしっかりしてー。」

同行して来たナイクがゼデの肩をゆする。

「ゼデはプミタスでしょう。私達の島を奪わないで。ずっと一緒にいるんでしょう?」

ゼデは身動きが出来ないまま涙を流している。

「やめてくれー。わしらは便利なもんなどいらん。王国など今さらいらんのじゃー。」

村長が地面に手をついたまま叫ぶ。

「何をバカな事を言うの、最強の至高の王国シュルツテルツが復活するのよ。」

ラプテスが叫ぶ。

ラプテスも既に正気ではないのだろう。

強くなり始めた地鳴りがピタっと止まる。

ナイクがゼデのプミルを引き剥がしたのだ。

ナイクは強く光るゼデのプミルに原因があると思ったのだろう。

ゼデの体内のラプト器官はプミルとシンクロして働いている。

急激にシンクロを解かれたラプト器官は王威の発現を停止した。

だがラプトは別の方向に暴走を始めた。

ゼデが苦しみ始めるとその胸をつきやぶってラプトは体外に飛び出して上空に飛び去った。

ゼデは大量の血を胸から流して倒れた。

ゼデは全身にショックをもたらすほどの胸の痛みと共に何か強い呪いのような重たいものが体から抜けていく快さを感じていた。

「あーっ、そんなー。ゼデがー。」

ナイクが悲鳴をあげる。

「王がーっ。王が死んでしまうー。」

ラプテスが半狂乱になる。

ロストテクノロジーであろう設備や機器が停止すると共に時間による劣化から保護する機能を失ったのかそれらは急激に腐食され塵になっていく。

島民達も王威による束縛から解放されて立ち上がる。

2000年に渡るロストテクノロジーの呪いからようやく逃れることができたのだ。











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